ました。
戦後の左翼的風潮が猖獗を極めるなかで、國民新聞は「本邦唯一の正論紙」との自負と気概のも
と、国体護持、伝統文化の擁護、外交、軍事、歴史認識、国土防衛、北方領土・竹島奪還、台湾擁
護、ソ連や中国北朝鮮そして国内左翼の危険な動向等をはじめとする国内外の情勢等々に関して、
議論や情報を読者に伝へてきました。
社主・主筆である山田惠久氏をはじめとする編輯者と執筆者の使命感のみによつてつづいてゐた
新聞であり、全く右顧左眄することなく執筆、発行されてゐました。
専門分野に関して造詣が深く、的確な論考を提示する論客であつても、大手の新聞雑誌では目に
する機会が少ない人もゐます。國民新聞には有名な論客が登場することは多くない一方で、そのや
うな論客が登場することが多かつたと思ひます。他では指摘されない、見落されがちな論点が提示
されることが多くありました。
不況が長引き、出版事情が良好でないと云ふ状況から、國民新聞の経営も悪影響を免れることは
出来なかつたやうです。唯、財政的な面は、満身創痍になりながらも、山田社主の奮戦により休刊
の決定的な要因にはならなかつたやうです。然し、山田社主は今年始めに重病に罹患されてゐるこ
とが判明したさうで、これだけは直ちには如何ともしがたく、休刊の已むなきに至つたのでした。
「ゼンボウ(全貌)」や「月曜評論」、「諸君!」に続いて國民新聞までも消えてしまふと、本
当に保守のミニコミ誌(紙)、雑誌が少なくなつてしまひます。
最近はインターネツト上に様々な議論や論考があると云はれます。インターネツトにも役割があ
るとしても、印刷物に比べると恐らく文章、記事の分量は少なく、補助手段に過ぎないと思ひま
す。
今年3月号迄は刊行月には毎号届いてゐましたが、4月からはもう来ません。私のやうな雑誌類を
読むのが好きな者にとつては、何とも寂しい限りです。
山田社主には、十分ご療養になつて頂きたいと思ひます。そして、いつの日にか復刊がなること
を期待したいと思ひます。
(3月28日)