地震の被害にあった人々は貧しい少数民族の多い地域に集中しているようだ。心より、
お見舞い申し上げる次第である。
チベット弾圧をはじめとする人権問題、世界中の顰蹙をかった北京五輪の聖火リレー
の騒動、環境汚染、食の問題、資源の買いあさり、中国は世界中の注目を集める出来事
を提供している。
これでオリンピックを開催できるのだろうか。中国政府は、何が何でも開催すること
はできるであろう。
中国国内のインターネットなどによる批判に応じて聖火リレーの規模を縮小すると発
表した。そのような姑息な手段では、もはや中国国民には通じまい。
今回の地震は、一連の出来事に対して中国政府がどのように対応するかを天が試して
いるのだと思う。
こういう言い方は被害にあった多くの貧しい人々には大変申し訳ない言い方かもしれ
ない。
極端な言い方をすれば、天は、中国が世界に対して信頼される国になれる最後のチャ
ンスを与えたのかもしれない。
この際、オリンピックを中止して被災者の救助・復興に邁進する。勿論、チベットで
拘束している人々を開放し、また世界中にいる、いわゆる政治犯の名誉回復を図ること
も条件である。
素直に、諸外国の人的救助・復興活動を受けれることである。それによって、中国の
いままで見えなかった部分を世界中にさらけ出すことである。
これまで軍拡に莫大な金を費やし、貧しい地域の幸福をないがしろにしてきたことへ
の神の怒りが爆発したと反省しなければならない。
虐げられた人々だけが地震の犠牲になった形であることは、非情なことではある。
経済的に恵まれた政府の特権階級、人口の密集した豊かな地域がその災難を免れたと
いうことは、天の最後の情であると考えなければならない。
それは言うまでもないことであるが、天が、中国が今までのことを反省して平和で本
当に豊かな国になれる余力を残してくれたと思わなくてはならない。
もし地震も無く、オリンピックを成功させ、国の威信を国内外に示し、今まで以上の
軍備の増強と経済の成長を突き進んでいたらどのようなことになったか。
進むも地獄、止まるも地獄の中国は、自分の力ではどうしようもなっかたのではない
か。
後戻りをして民主化の道を歩むことが一番の方策だという、中国政府の最も嫌がる方
法を天が示してくれたのだと思う。
毛沢東は、その昔、「ズボンをはかなくても核を」と大号令をかけて国民の生活を犠
牲にして原爆を開発した。
その付けが、いま回ってきたのである。国民の幸福を省みず、建築の許可を賄賂と引
き換えにした。その結果、賄賂の分だけ手抜き工事になる。勿論そのような不正を律す
る教育をないがしろにしたこともその根底にある。
中国のテレビは一所懸命、地震被害に対する政府の対応の部分だけを、被災者が救出
された劇的な場面だけを、温家宝首相の被災者を激励する場面だけを、救助隊を叱咤し
て陣頭指揮をしている場面を、垂れ流している。
しかし、それもしばらくして、地震被害の甚大さが白日の下にさらけ出されれば、中
国国内はどのような事態になるか想像できよう。
その前に、やることはただひとつ。オリンピックを中止して国難に誠意を持って対処
することである。
オリンピックまでの時間稼ぎは、台湾に於ける、2・28事件の時の陳儀のとった行動と
同じである。オリンピック終了後は保障されない。
チベットの代表はそれを解っているであろうから、安易な妥協はしないだろう。また、
台湾との対話も結論ありきの手法で来ているのだからこれまた、同じである。台湾もチ
ベットも独立した国であることを中国は認めることである。
そうすれば、多少、別な困難が始まるかもしれないが、丸く収まる方向に進むという
ものである。
世界も、援助の手を、惜しまないであろう。
これは、夢物語であろうか。
今回の、大地震で亡くなられた人々の、ご冥福をお祈りすると共に、その死を無駄に
しないでと願わずにはいられない。
中国が日本の手助けを必要としているのは、先般の国家主席の来日時の言動で理解で
きる。
今こそ、素直に目覚めるときである、中国よ。(5月14日)
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