そもそも「台湾正名運動」を発案して運動化したのは、2001年(平成13年)当時、在日台湾同郷会
会長をつとめていた林建良氏でした。
在日台湾人の外国人登録証明書の国籍記載が「中国」になっていたことから、それを「台湾」に
改めることを求めて「正名運動プロジェクトチーム」を発足させたのがその嚆矢です。
翌年3月に台北市内で開かれた世界台湾人大会はテーマを「台湾正名・国家制憲」とし、台湾正
名とは「中華民国」の国名を「台湾」に正名することと理解されたことから台湾で急速に正名運動
が広がっていきました。5月には「511台湾正名聯盟」の呼び掛けにより、3万5千人がデモ行進に参
加し、李登輝元総統も支持を表明されるなど、台湾正名運動が本土派社会運動の主流になっていき
ます。
このほど、台湾正名運動発案者の林建良氏が蔡英文政権より、その功績を讃え「二等華光専業奨
章」が授章されることとなりました。本当に嬉しいことです。メルマガ「台湾の声」が伝えていま
すので、下記にご紹介します。
昨年秋は羅福全・元台北駐日経済文化代表処代表、今春は許世楷・台北駐日経済文化代表処代表
が日本政府から旭日重光章を授章されましたが、羅氏も許氏も、中華民国政府からパスポートを取
り上げられてブラックリストに載せられた台湾独立の運動家で、いわば「国家反逆者」でした。そ
のお二人の功績を日本政府が認定したわけです。
それに続いて、林建良氏が今度は台湾政府から叙勲されることになり、1960年に日本で王育徳先
生がはじめた台湾独立建国運動から約60年、歴史はやはり正当な判断を下すものだと深い感慨を覚
えます。
◆林建良氏プロフィール
1958(昭和33)年9月、台湾・台中市生まれ。1987(同62)年、日本交流協会奨学生として来
日。東京大学医学部博士課程修了。医学博士。2001(平成13)年6月、在日台湾同郷会会長の
折、日本において在日台湾人の外国人登録証明書の国籍記載「中国」の「台湾」への改正をめざ
した「正名運動プロジェクト」を発足。「台湾正名運動」の発案者。現在、メルマガ「台湾の
声」編集長、日本李登輝友の会常務理事、台湾独立建国聯盟日本本部中央委員、台湾団結聯盟日
本代表、在日台湾同郷会顧問、日光日台親善協会顧問。
主な著書に『日本よ、こんな中国とつきあえるか?─台湾人医師の直言』(並木書房、2006
年)、『中国ガン─台湾人医師の処方箋』(並木書房、2012年)、共著に『中国の狙いは民族絶
滅─チベット・ウイグル・モンゴル・台湾、自由への戦い』(まどか出版、2009年)、漢文版
『母親 e名叫台湾─「正名運動」縁由』(一橋出版社、2003年)など。
林建良に二等華光専業奨章 外登証正名運動で【6月4日に伝達式】
【メルマガ「台湾の声」:2017年5月25日「台湾の声ニュース」】
【台湾の声編集部 多田恵】本誌編集長・林建良に台湾政府が二等華光専業奨章を与えることが明
らかになった。受勲が決まった林建良は、「これは個人としてではなく、外国人登録証正名運動を
代表して受けるものだ」、「多くの在日台湾人たち、台湾研究フォーラムの永山英樹氏、日本李登
輝友の会の柚原正敬氏、自民党の若手議連、特に岸信夫氏の尽力があったものであり自分だけが授
章するのは心苦しい」と話している。
かつて台湾の外国人登録証の国籍欄が「中国」とされていた問題で、2001年6月、在日台湾同郷
会が発起して多くの団体が「台湾」表示を求めて共闘し、2012年7月から、旧外国人登録制度に変
わって実施されている「在留カード」での「国籍・地域」欄への「台湾」表示の実現につながっ
た。林建良は当時、在日台湾同郷会の会長としてこの運動を始めた。
今回の叙勲は、台湾政府が、台湾人が「中国人」としてではなく「台湾人」として海外で活躍す
ることを肯定することを表していると見られる。伝達式は、6月4日、帝国ホテルでの「全日本台湾
連合会」創立大会の中で行われる。