【祝】 八田技師を縁に石川県農業協同組合中央会と台南市農会が「友好交流協定」締結

 日台間では、姉妹都市や友好交流都市などの都市間提携や姉妹校などの学校提携は言うに及ばず、鉄道提携、温泉提携などさまざまな提携関係が網の目のように張り巡らされています。日台間では、弁護士会やゴルフコースさえ提携しているほどです。

 しかし、果物王国と言われる台湾と農業関係の提携は、不思議なことにほとんどありません。青果物・生花の輸出入、加工及び販売などを手掛けている日本のファーマインドと台湾国際農業開発が「青果物の輸出入相互協力の基本合意書」を締結(2017年10月13日)したり、茨城県笠間市と台湾の農業委員会(現、農業部)農糧署が「食を通じた文化交流と発展的な連携強化に関する覚書」を締結(2019年7月24日)するなど、2、3件しか思い当たりません。

 これは、自治体同士の都市間提携の中に農産物や特産品の相互紹介を含めるケースが少なくないことも一因かと思われます。

 そのような中、10月11日、烏山頭ダムを造った石川県出身の八田與一技師を縁として、石川県農業協同組合中央会(JA石川県中央会)と台南市農会が「友好交流協定」を締結しました。これは、農業分野で技術面や人材面の交流を拡大させ、農産物の市場開拓などで連携することを目的として結ばれたそうです。

 台南市で開かれた調印式にはJA石川県中央会の西沢耕一(JA小松市)会長と台南市農会の呉嘉仁総幹事が臨み、締結式後に行われた懇親会では、双方の農産品などが紹介され、石川県側の出席者が八田技師作詞による「烏山頭踊り」を披露したそうです。

 この提携について「JAが海外の農業団体と協定を結ぶのは珍しく、県中央会にとっては初の試み。台南市農会にとっても海外の組織とは初めての連携となる」と報じた「北國新聞」の記事を下記に紹介します。

 今後、日台双方が農産物や特産品を紹介しやすい環境づくりのためには、全国農業協同組合連合会(JA全農)と自治体の連携も必要になってくるようで、JA全農インターナショナルは2018年8月、台湾に子会社と台湾事務所を開設しているのですから、JA石川県中央会と台南市農会の提携をバックアップするとともに、このような提携関係を日本全国に広めてゆくことに期待したいものです。

 さらには、フィリピンのバナナが安いのは日本とフィリピンが経済連携協定(EPA)を結んでいることが要因ですから、JA全農には、日本と台湾が自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)を結ぶよう政府に働きかけていくことを期待します。

—————————————————————————————–八田技師の縁、販路拡大へ JA県中央会、台南で協定【北國新聞:2023年10月12日】https://news.yahoo.co.jp/articles/696c9d4115d0648925785f11301c50b4316d785d

●西沢会長が署名

 【台南市=藤澤瑛子】JA石川県中央会は11日、台湾・台南市の農業組合「台南市農会」と交流協定を締結した。台南に烏山頭(うさんとう)ダムを築いて農業発展をもたらした金沢出身の八田與一技師を縁に、米など農産品の販路拡大に相互協力するほか、栽培技術や品質管理の向上で連携する。現地を訪問中の西沢耕一JA県中央会長が協定書に署名し、「八田技師の功績を契機に、技術や人の交流を盛んにしていきたい」と語った。

 台南市は日本の行政区分で都道府県に相当し、人口は約180万人。台南市農会は32の地域農会を傘下に持つ、JA県中央会と同等の組織となる。同農会によると、組合員に当たる会員は10万人以上おり、主要産品は米、マンゴー、文旦(ぶんたん)、パイナップルなど。年間生産額は約55億台湾ドル(255億円)。

 JAが海外の農業団体と協定を結ぶのは珍しく、県中央会にとっては初の試み。台南市農会にとっても海外の組織とは初めての連携となる。調印式は台南市内にある同農会の施設で行われ、西沢会長と同農会のトップに当たる呉嘉仁総幹事が文書を取り交わした。  西沢会長は八田技師の功績に触れた上で、県が開発した高級ブドウ品種「ルビーロマン」やJA志賀のころ柿が既に台湾で高い評価を得ていると紹介。県産米のオリジナル品種「ひゃくまん穀(ごく)」の輸出拡大に強い意欲を示した。

●2024年、台南からも訪問

 呉総幹事も八田技師の名前を挙げ「市民は皆八田さんの素晴らしさを知っており、石川の農産物を台南で売る上でもアピールになる」と説明。台南産の果物や加工品を石川の消費者に知ってもらいたいと話し、栽培に関する技術指導にも期待を寄せた。来年、県を訪問する意向も示した。  

 協定は台湾出身の県人らでつくる県台湾交流促進協会の協力を得て、北國新聞社が橋渡しした。JA側からは西利章県中央会専務理事、末政満全農いしかわ県本部長が出席し、竹沢淳一県農林水産部長と砂塚隆広北國新聞社社長が立会人を務めた。農会側は台南市農業局長らが出席した。商談会も開かれ、「ひゃくまん穀」の新米を使ってその場で握ったおにぎりなどが振る舞われた。

※この記事はメルマガ「日台共栄」のバックナンバーです。


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