11月25日、熊本県の人吉盆地の球磨川流域を走る「くま川(がわ)鉄道」の湯前線(ゆのまえせん)には「おかどめ幸福駅」、新北メトロには「幸福駅」があり、どちらにも「幸福」とつく名の駅があることから「同駅名による友好鉄道協定」を締結しました。
調印式は幸福駅で行われ、くま川鉄道の松岡隼人・代表取締役会長と新北メトロの林祐賢董事長が臨んだそうです。
ちなみに、熊本県球磨郡あさぎり町免田にある「おかどめ幸福駅」は、始発駅の人吉温泉駅から7つ目の駅で、駅の近くにある岡留熊野座神社(おかどめくまのざじんじゃ)が昔から幸福祈願に御利益のある神社として知られ、「幸福神社」と呼ばれていることから命名されたそうです。
これまでも日台間の鉄道提携は同名駅同士を由来としたケースが少なくなく、本会の調査によればが下記の6件があります。
・JR四国の松山駅と台湾鉄道の松山駅が「姉妹駅」を締結(2013年10月13日)・山陽電鉄の亀山駅と宜蘭線の亀山駅が「姉妹駅」を締結(2014年12月22日)・帯広市の幸福駅と新竹県の合興駅が「姉妹駅協定」を締結(2016年10月22日)・えちごトキめき鉄道の関山駅と台鉄台東線の関山駅が「姉妹駅協定」を締結(2017年11月10日)・しなの鉄道の田中駅と台鉄縦貫線(南段)の田中駅が「姉妹駅協定」を締結(2018年3月26日)・宮崎県日南市と台中市の日南駅が「姉妹駅協定」を締結(2023年11月1日)
日台間の鉄道交流は、1986年1月25日に大井川鐵道と阿里山森林鉄道が「姉妹鉄道」を締結したことに始まり、本年11月21日のJR東海と台湾高鐵の「協力覚書」まで45件。
今回のくま川鉄道と新北メトロが「同駅名による友好鉄道協定」で46件となり、このうち7件、約15%が同名駅にちなんでいますので、かなり高い比率で結ばれています。
熊本県はTSMC(台湾積体電路製造)による半導体工場の建設で、熊本空港と桃園空港に直行便が飛ぶようになるなど、台湾との交流が密になっています。このような背景もあってのくま川鉄道と新北メトロの提携かと思われます。
なお、新竹県の合興駅と「姉妹駅協定」を結んだ帯広市の「幸福駅」は、1987年2月2日に広尾線とともに廃止となっています。
くま川鉄道と新北メトロの提携を心からお祝い申し上げ、双方の交流の深化を願いつつ、下記に中央通信社の記事をご紹介します。
—————————————————————————————–新北メトロとくま川鉄道、友好鉄道協定締結 双方の「幸福駅」が縁で【中央通信社:2023年11月29日】https://japan.focustaiwan.tw/travel/202311290003
(新北中央社)新北メトロ(MRT)は25日、熊本県の第三セクター、くま川鉄道と、双方に「幸福」の名が付く駅があるのを縁に「同駅名による友好鉄道協定」を締結した。鉄道を絡めた観光交流や相互の送客などを目指し、今後、SNSによる相互の情報発信やツアー商品の造成などを行っていく。新北メトロが28日、報道資料で発表した。
新北メトロには幸福駅(北部・新北市)が、くま川鉄道にはおかどめ幸福駅(熊本県あさぎり町)がある。幸福駅は2020年に環状線の営業運転開始と同時に開業。一方、おかどめ幸福駅は1989年に湯前線がJR九州からくま川鉄道に移管された際に新駅として開業した。同鉄道によれば近隣に幸福をもたらすとされる神社があることが駅名の由来だという。
幸福駅で締結式が行われ、新北メトロのの林祐賢董事長(会長)やくま川鉄道の松岡隼人代表取締役会長らが出席した。林氏は協定締結を通じて台日の観光交流を促進したいとし、美しく特色ある新北市を日本の人々に訪問してもらえればと期待を寄せた。
(王鴻国/編集:田中宏樹)
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