情報伝達を行う自律型センサーネットワーク技術の共同研究を行うことを発表、プレスリ
リースを配信した。
東海地震に備えた地震および津波災害への対策に取り組んでいる静岡県(川勝平太知
事)は昨年8月26日、大須賀淑郎・副知事を団長とする静岡県台湾訪問団を派遣して台北市
内のホテルで防災会議を開催、台湾の3市2県(台北市、新北市、台南市、桃園県、嘉義
県)と防災覚書を締結している。
これは、防災分野における情報交換および相互支援交流を進め、災害救援経験の交流な
どを強化するために結ばれている。日台は同じ地震多発国として情報の共有や相互支援の
ための交流は願ってもないこと。
自治体同士はもちろん、研究機関同士の共同研究が始まったことは朗報だ。
それにしても、例えば中国が発する黄砂やPM2.5(微小粒子状物質)では日本も台湾も
被害国と言ってよい。日本気象協会では毎日、黄砂情報やPM2.5の分布予測を発表してい
るが、せめて日台が気象情報を共有して相互支援交流ができるようになれば、日本人も台
湾人も今より安心して暮らせるようになる。
それにまた、静岡県と台湾の自治体、富士通研究所と台湾の工業技術研究院というよう
な個別的な交流ではなく、自然災害など生命に危険を及ぼす事柄に関しては、日本が国家
として台湾政府と必要な情報を交換できるようになることがベストなのだが、安倍首相の
考えを聞いてみたいところだ。
富士通研究所と台湾の工業技術研究院が防災に関する共同研究を開始
自律型センサーネットワーク技術を応用し、安心安全な社会の実現に貢献
【富士通プレスリリース:2013年1月8日】
株式会社富士通研究所(本社:神奈川県川崎市、代表取締役社長:富田達夫、以下 富
士通研究所)と台湾の研究機関である工業技術研究院(本部:台湾新竹県竹東鎮、院長:
徐爵民)は、防災分野において人手を介さずに機器同士が情報伝達を行う自律型センサー
ネットワーク技術に関する共同研究を開始しました。
現在、世界各地で自然災害が発生し大きな問題となっていますが、従来の減災・防災に
関連するレーザー計測などの技術では測定機器のコストやメンテナンスの手間から限られ
たエリアの測定しかできないという課題がありました。
本共同研究は、自律型センサーネットワーク技術の防災システムへの適用を想定してい
ます。多数の無線センサーが連携し、一部のセンサーが発電量不足や故障により機能しな
くてもシステムが継続的に動作可能で、広域かつ網羅的に環境データを取得する技術開発
を行います。さらに地すべりや土砂災害などを対象に減災・防災試験システムを構築し、
実証実験を行っていきます。
【工業技術研究院について】
工業技術研究院(Industrial Technology Research Institute、以下ITRI)は、1973
年に設立された台湾政府直轄の組織で、応用研究、技術開発を行う研究開発センターで
す。国内外の主要機関、企業との積極的な交流活動を展開し、先進的、革新的な技術創出
に貢献しています。
【背景と課題】
近年、風水害などによる自然災害が世界各地で発生しています。従来の防災・減災に関
連する技術では、例えば地すべりなどに対する地質のデータ収集や、予兆の分析手法とし
て、レーザー計測や、斜面を掘削して高精度ひずみ計を埋設した測定分析を行う技術など
がありました(図1)。
しかし、測定機器自体が高価なことに加え、配線や設置、電池交換などの手間がかかる
ため限られたエリアの測定しかできず、結果的に広域で網羅的なデータを取得することが
できませんでした。
〔図1:従来の技術による測定〕
※添付の関連資料を参照
【共同研究の概要】
富士通研究所とITRIは、測定地域を面として広域かつ網羅的にデータを収集する技術開
発を行います。自己発電を行う多数のセンサーが無線で結合され、自律的に連携するM2M
(注1)ネットワークにより、崩落が発生しそうな場所のデータを収集するシステムを開
発します(図2)。
〔図2:自律型センサーネットワークシステムによる測定〕
※添付の関連資料を参照
<ITRI>
主にセンサーノード開発を担当し、センサー・通信ネットワーク・無線ソフトウェア・
電力制御の研究開発を行います。センサーノードを地すべりが発生しそうな場所に多数配
置し、サーバに送信されたデータを現地大学の土木工学の専門家の協力を得ながら分析を
行います。自主開発したソーラーアンテナの技術を用い、効率のよい通信と発電の両立を
実現します。
<富士通研究所>
主に多数のセンサーノードを自律制御するソフトウェア開発を担当し、遠隔制御やセン
サー間の通信エラー回避の研究開発を行います。組み込みソフトウェアや分散処理の技術
により、無線通信時のノイズやセンサー故障が発生しても周りのセンサー同士が連携でき
る仕組みを構築します。これにより環境変化に起因する故障に強いシステムを実現します。
富士通研究所とITRI双方の技術の長所を融合することで、自律型センサーネットワーク
技術を確立し、将来、防災・減災に関するデータ収集と分析システムへの活用に限らず、
幅広く応用を行っていきます。
【商標について】
記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
以上
「注釈」
注1 M2M:Machine to Machine。ネットワークにつながれた機械同士が人間を介さず
に情報交換して動作するシステム。
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
図1:http://release.nikkei.co.jp/attach_file/0352570_01.JPG
図2:http://release.nikkei.co.jp/attach_file/0352570_02.JPG
【本件に関するお問い合わせ】
株式会社富士通研究所
ユビキタスプラットフォーム研究所 アンビエントプラットフォーム研究部
電話 044-754-2781(直通)
メール m2m-disaster-prevention@ml.labs.fujitsu.com
工業技術研究院
情報通信研究所
電話 +886-3-591-4545(直通)
メール alicepai@itri.org.tw