昨年7月、羅福全氏の後任として台湾駐日代表(大使に相当)に着任した許世
楷氏(71歳)は、その直後から精力的に活動されている。本誌でもたびたびお伝
えしてきたが、講演依頼があれば、土日もなく、時間が空いていればどこへでも
出掛けられている。これまで東北、北海道、東海、北陸、近畿、関西、中国、九
州と、日本全土を回られたはずだ。そのほとんどに児童文学者でもある盧千恵夫
人が同行されている。まさに夫唱婦随の日本行脚といってよい。
講演では、なぜ台湾で新しい憲法を制定しようとしているのかなど、台湾の現
状を説明して理解を求めている。最近は「72年体制の克服」についてよく話され
ている。
72年とは昭和47年9月29日、日本が中国との国交正常化を発表し、当時の中華
民国と断交した年であり、その当時の情勢を基につくられた体制を指している。
しかし、その後の台湾は蒋介石・蒋経国独裁時代から李登輝時代に入って民主
化が伸展し、その内部環境は大きく変わってきている。日本国内もまた、先の日
米安全保障協議委員会が「台湾海峡問題の平和的解決」を両国の戦略目標に設置
されるなど、その対台湾対策は変化している。
このように72年当時とは日本も台湾も、さらには国際関係も大きく変化してい
るのだから、これまでの体制(制度)を見直して「台湾と日本が国交正常化を成
し遂げ、ごく普通の関係をもつことを目指すべきだ」というのが「72年体制の克
服」の趣旨だ。
本会の小田村四郎会長も、日本李登輝友の会は台湾との国交正常化を促進すべ
き旨をその会長就任挨拶において述べており、許世楷代表の見解と一致している。
このような許世楷代表が千恵夫人と共著で出されたのが『台湾は台湾人の国』
(はまの出版)だ。もちろん、「72年体制の克服」の話も第7章「台湾と日本、
国交正常化への夢」に出てくる。
本書は7章からなり、台湾独立運動化として活動されてきた代表夫妻の生まれ
てからこれまでの来し方がつづられているが、その道程は戦後台湾の裏面史その
ものであり、読み進めながら、思わず李登輝前総統の「台湾人として生まれた悲
哀」という言葉が思い浮かぶ。しかし、その筆致はけっして暗くない。命の遣り
取りを克服してきたからなのだろうか、むしろ明るいといってよい。石原慎太郎
都知事が推薦する理由も、その辺にあるのかもしれてない。
許世楷代表の「台湾共和国憲法草案」をその主宰する雑誌に掲載し、台湾独立
を初めて唱えた鄭南榕との交流などもつづられていて、日本人が台湾を知るうえ
で欠かせない事柄が満載されている。ぜひご一読を奨めたい。(編集部)
■書 名 『台湾は台湾人の国』
■著 者 許世楷、盧千恵
■発 行 はまの出版
東京都千代田区九段南2−5−10
TEL 03-3234-9779 FAX 03-3234-9840
■定 価 1,680円(税込)
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