9月28日、秋晴れに恵まれたこの日、第11回台湾セミナーが都内・文京区のアカデミー茗
台(めいだい)にて、弁護士の尾崎幸廣(おざき・ゆきひろ)本会理事と千葉ガス常務取
締役の反町佳生(そりまち・よしお)本会理事のお2人を講師に開かれた。
会場には前々回講師の呉正男氏や前回講師の嶋田敦子さん、東京台湾の会の喜久四郎会
長など約30名が集い、それぞれ1時間にわたる興味深い講演に聞き入った。
◆裁判勝訴の可能性に言及した尾崎弁護士
最初は尾崎弁護士が登壇し「NHK・JAPANデビュー裁判の控訴審を終えて─その
争点と問題点」と題して話された。
尾崎弁護士はNHK「JAPANデビュー」裁判の中心的弁護士として裁判に臨んでき
ており、裁判は控訴審の口頭弁論が終わって11月28日に判決言い渡しが行われることか
ら、まずNHKが平成21(2009)年4月5日に放映した「JAPANデビュー・アジア
の“一等国”」の放送内容の問題点を指摘。
とりわけ大きい問題として、1)日本の台湾統治を否定的に描いたこと、2)台湾人を
漢民族として扱い、当時の言葉をすべて中国語としたこと、3)日台戦争という用語を使
い、あたかも日本と台湾が戦争したように印象づけたこと、4)人間動物園という言葉を
使用したこと、という4点を挙げ、それぞれの理由を述べた。
また、昨年12月14日に言い渡された東京地裁の一審判決について、11の問題点とそれに
対応する控訴理由を列記したレジュメにそって解説。中でも一審が「NHKが取材後に知
った『人間動物園』という言葉を使用したことは、NHKの自律的判断によるものだから
高許月妹の人格権を侵害しない」としたことが一番の問題で、「このような立場によれば
すべて自律的判断ということになる。見せ物と人間動物園は全く次元の異なる言葉」と指
摘し、「人間動物園を歴史的事実と認めた。恐るべき偏見」だと、舌鋒鋭く批判した。
尾崎弁護士は、一般的に一審で敗訴すると、控訴審でも90%以上の確率で敗訴になる可
能性があるが、今回の控訴審では普通1回で終わる口頭弁論が3回も開かれたことで、勝訴
する可能性はかなりあると述べ、判決に期待を持たせた。また、負けたとしても、台湾の
人々のために日本人が信義を守ったことで意味のある裁判となると締めくくった。
◆忘れえぬ邂逅が台湾に導いてくれたと反町理事
続いて登壇した反町理事は「邂逅の宝島」と題し、「台湾との出会い」「わが家の台湾
教育」「忘れ得ぬ邂逅」「不思議なご縁」「思いがけない別れ」について、それぞれ体験
的「台湾と私」を話していただいた。
反町理事は1995(平成7)年12月、会社(東京ガス)の旅行先として台湾を訪問したこと
からの「渡航歴」をレジュメとして配布して話をはじめたが、この最初の訪台で出会った
台湾人のガイドが普通の観光ガイドと違い、中正記念堂などの観光案内をしなかったこと
が印象的だったと述べ、そのとき台湾に感じた「あったかさ」が台湾との最初の出会いだ
ったという。
その後、2度ほどの訪台を経験し、このころから反町理事の台湾への関心はさらに深ま
り、2002年12月には新聞記事で本会が設立されることを知って即入会したそうだ。2007年
に仕事で訪台したときの「大台北ガス」や「台湾ガス協会」の方々との出会いも印象深
く、仕事で行ったのか、毎晩一緒に飲むために行ったのか分からなくなるほどの歓待を受
けたという。
2009年10月には長女を連れて第12回日本李登輝学校台湾研修団に初参加、翌年からは毎
年、家族との訪台を続け、4人の子供たちには事実を押さえて台湾のことを話しているとい
う。
友愛会で1、2度しか会ったことのないある日本語世代の方の日本での納骨を依頼された
ことや、廣枝音右衛門の慰霊祭を続けてきた劉維添氏の急逝など、台湾では不思議としか
言いようのない巡り合わせが多く、「台湾はものすごい出会いの力を秘めているところ」
と感慨深く語った。また台湾に行くたびに懐かしさを覚えることが多く、前世では台湾に
いたのかもしれないと思えるほどだと述べ、忘れえぬ邂逅が台湾に導いてくれたことを話
していただいた。
参加者もそれぞれに思い当る節があるようで、最後まで熱心に耳を傾けていたのが印象
深く、第11回台湾セミナーを盛会裡に終えることができた。
その後に開かれた懇親会には出席者の半数以上が参加、お2人の講師を囲んで台湾の話な
どに花が咲いた。
なお、当日は台湾新聞や日本時事通信などのメディアも取材に来ており、台湾新聞は翌
日のブログで早速アップしている。下記からご覧いただきたい。また、次回(第12回)は
下記の要項で開催し、近々、本誌でも案内します。
◆台湾新聞:「JAPANデビュー」二審判決前に弁護士が講演〜日本李登輝友の会第11回台湾セミナー
http://blog.taiwannews.jp/
◆次回(第12回)台湾セミナー
・日 時:10月26日(土)午後2時〜5時(午後1時30分開場)
・会 場:文京シビックセンター 5階 会議室A+B
東京都文京区春日1-16-21 TEL:03-5803-1100
http://www.city.bunkyo.lg.jp/sosiki_busyo_shisetsukanri_shisetsu_civic.html
・講 師:多田 恵(亜細亜大学講師、本会理事)
「台湾語が持つ政治的意味―台湾との関わりからの発見」
王 明理(台湾独立建国聯盟日本本部委員長、本会理事)
「父王育徳と台湾の独立」
・申込み:申込みフォーム、メール、FAXにて
・http://www.ritouki.jp/seminar/seminar11.html
・E-mail:info@ritouki.jp
・FAX:03-3868-2101