【地図帳問題】京大学生新聞もコラムで問題を指摘

30年以上にわたって虚偽記述を放置してきた失態は日本の「戦後問題」

 弊紙10月5日号に「地図帳問題」として中国と台湾の間に国境線が書かれていない件につ
いてコラムで取り上げたところ、新聞購読者の中から「このような事態(中国と台湾が「
同一国」扱いになっていること)になっているとは知らなかった」という便りがありまし
た。
 貴会が指摘されているように、地図帳の表記は国民政府との断交後、現在まで中台間に
国境線が書かれていないわけです。30年以上にわたってかかる失態が放置されることを知
らない方がいらっしゃることに驚いたとともに、30年以上たって虚偽の記述が「既成事実
化」していることに国民が自覚していないのではないかと感じました。
 歴史問題に関しては、扶桑社の教科書を通してかなり一般国民の中で知られてきたと思
いますが、中国に関する問題や戦後冷遇されてきた台湾問題、過激な性(ジェンダーフリ
ー)教育をはじめとする教育問題に国民の知識・関心が薄いことは非常に気がかりです。
 結局は、12日のような活動を地道に進めるしかないのでしょうか。我が国の「戦後問題
」はまだまだ終わっていないと強く感じます。
 今後ともよろしくお願い申し上げます。
                                 京大学生新聞会


 真実をありのまま(謙虚)に伝える。これは、メディアのみならず人間としてあるべき
姿である。ましてや、これからの国を担う子供たちの教育にとっては欠かせないことであ
るといえる▼しかしながら、現状の教科書は必ずしもそれができていないのではないか。
現在市販されている世界地図帳の大半で、台湾は中国の領土として扱われている。すなわ
ち、中台間に境界線が書かれておらず、台湾が「(中国の)台湾省」として扱われている
というわけである▼たしかに中国は台湾を自国の一部としてみなしており、日本政府は一
九七二年の日中共同声明で「台湾は中国の不可分の領土」とする中国政府の主張を「理解
し、尊重する」としている▼だが、実際問題として中華人民共和国が台湾を統治したこと
は一度もない。台湾の人は中国の旅券で海外に行くわけではないことから見ても、台湾は
中国の領土ではないことは明確である。現に台湾は主権・領土・国民という国家成立のた
めの要素を持っており、台湾人は自らの手で台湾を運営している▼現状から判断すると、
地図の表記で中国と台湾は別扱いにすることが必要ではないか。実際、中華人民共和国と
国交を結ぶ前は中台間に国境線を引いて区別していた▼今の地図表記では、中国と台湾を
同一視する子供たちが出てくる可能性がある。だが、これは誤解であり、教科書の信用を
失うことになる▼子供の頃の教育は、将来に大きな影響を与える。一度誤解が生じると、
信頼回復には大変な努力が必要になる。正しく物事を伝えることが重要なのではないか。



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