[感想]第5回台湾李登輝学校研修団に参加して(2)

[感想]第5回台湾李登輝学校研修団に参加して(2)
9月8日付の本誌で第5回台湾李登輝学校研修団に参加された方々の感想の第一弾を掲載い
たしました。その後も続々とお寄せいただいています。いささか間が開いてしまいました
が、第2弾分をご紹介します。
 ただし、メルマガでご紹介するにはいささか長文ですので、第2弾はお二方といたします。
                                    (編集部)


■本で読んでいた人達の息吹をじかに感じた[愛知県 馬場晃弘]

 自分は、小学5年生の時に 夏休みの読書感想文の宿題で『森村誠一の悪魔の飽食731
部隊』を題材に選んで以来、歴史に興味があったものの、第二次世界大戦の本は、最近ま
で読まずに明治維新で止まっていました。
 ある時、古本屋で黄文雄さんの『大東亜共栄圏の精神』という本を見つけ、日本と台湾
との関わりを知り始めた次第です。そして、いろいろな本を読み進めるうちに、ジイさん
達に負けない自分になろうという気持ちが起き、前に進もうと決意した次第です。
 まず何かしないと落ち着かない、口ばかりでは前に進まないと考えていた時、李登輝学
校のパンフレットを見て参加を決めました。元々、千代大海の若い時と同じ青春を過ごし
ていた只の生意気坊主なのですが、負けん気だけはあるみたいで、歴史に名を残す人物、
戦前の教育を受けた昭和のサムライとはどんな人物か見たかったのが今回の参加の真意で
した。
 そして研修に参加し、一番に感じたことは、台湾のスタッフ日本のスタッフが入り交じ
り、日本人と台湾人の文化の違い、考え方を実際に感じたこと。また、いつも本で読んで
いた人達の息吹をじかに感じたことが深く印象に残りました。
 だけど、台湾の人達は日本の良い面を強調しすぎるようにも思えます。僭越ながら、台
湾と日本の関係を太陽と月に例えるならば、月は太陽の光りを受けて初めて光り輝くこと
ができる。しかし、月の光りが闇夜を照らしてくれなければ、太陽はとうに闇夜に迷い果
てていたかも知れません。日本は台湾の近代化に多くの影響をあたえましたが、台湾は俺
達に、かつて日本にあった誇りと勇気を与えてくれました。
 これからも、李登輝さんに負けぬよう、昭和のサムライ目指して頑張ります! 押忍!

追伸
 もうひとつ欲を言えば、鞄にあったような李登輝さんの揮毫を別の紙にコピーして貰い
たかったです。額縁に入れて飾れば、記念と励みになるかと。(9月8日)


■研修に参加して2つの疑問が氷解した[東京都 佐藤真一]

 この研修に参加する前に次のような疑問を感じておりました。
 まず第一に、なぜ台湾の特に年配の方はなぜここまで親日的なのであろうか。二つ目は
、台湾人は本当に中国人ではないのであろうか、ということです。

 私の妻は台湾人(本省人)で、結婚してから既に10年近くになりますが、妻の両親、祖母
、親戚のすべてが非常に親日的であったことに多少の疑問を感じておりました。いや単な
る親日ではなく、日本人の私をまるで長年離れ離れになっていた兄弟に会ったような目で
見ていただけるわけです。
 15年前の私の理解では、中国は巨大とはいえ共産主義国家であるため、東アジアで最大
の経済大国であり、隣国の日本への羨望の気持が親日につながったのであろう、と単純に
考えておりました。しかし、台湾を頻繁に訪問するようになってからは、どうもそうでは
ないのではないかと感じるようになったわけです。
 一方、国民党接収後の台湾で何が起こったか等については多少は勉強を始めておりまし
たので、台湾の年配の方がなぜ親日的なのかについては理解しているつもりでした。ただ
し、それは国民政府による統治があまりに酷かったために、その反動として親日であるだ
けで、日本の殖民統治を本当に肯定するものではないという理解でした。
 ところが、それでもどうもすっきりしていませんでした。
 10年近く前のことですが、旧日本兵だったという台湾出身の老人に、日本政府からの恩
給申請に関する回答にある日本語を翻訳してほしいと頼まれたことがありました。日本政
府からの回答は遺憾なものだったのですが、この老人が日本兵として徴用されたことに恨
みを持っているどころか、逆にそれを誇りにさえ思っているように見受けられたことをた
いへん不思議に思ったことがありました。これは、私にはどうにも理解できないことでし
た。
 このたびの研修において黄昭堂先生、張炎憲先生、呉蜜察先生、林明徳先生、張良澤先
生、黄天麟先生による経験に基づいた丁寧かつ白熱した講義をいただいたことにより、そ
の一端をはっきりと理解することができたことは大きな成果だったと思います。
 すなわち、日本による台湾統治とは異民族支配ではあったけれども、それは建設と創造
の歴史でもあったと。現在の台湾の繁栄は決して中華文明を基礎にして起こったわけでは
なく、日本時代に得た教育・精神を基礎に、台湾の人たちの不断の努力により達成された
ものだと。それを知っているからこそ台湾の人々は日本人を同志と思ってくれており、ま
た日本人以上に日本の将来を按じてくれているのだと。
 研修3日目には課外活動として総統府に行ったわけですが、案内役をして下さった蕭錦文
さんには度肝を抜かれました。我々日本人は、教育勅語については「日本軍国主義の元凶
であり、現代において学ぶべきところは何もない」というように教わったわけで、もちろ
ん中身などは全く見たことがありませんでした。
 蕭錦文さんからお配りいただいた教育勅語の抜粋(あれは前文かなにかなのでしょうか)
を見て、頭を打ちぬかれるような思いでした。なんら間違ったことは書いてありません。
いえ、素晴らしいことが書いてあります。
 最終日の李登輝先生のお言葉の中に「日本のエリート教育がこの『李登輝』という人間
を作り上げたのだ」というようなニュアンスのお言葉があったと思いますが、それをもっ
てしても、戦前の日本の教育からこのような20世紀のアジアにおいて類まれなるリーダー
が生まれたということ自体が、戦前の日本教育の奥の深さを物語っているものかと思いま
す。

 さて、二つ目の疑問ですが、台湾が現在の中国と違うのは判る、しかしそれは政治体制
や経済・社会の発展の段階が違うだけであり、それを除けば台湾人もやはり中国人ではな
かろうか。かつて国民党政府が言っていたように、中国が発展し台湾と同じような民主主
義国家になり、台湾と同等の経済水準になることが統一の条件である。逆にいえば、民主
主義で経済が発展してさえいれば、それ以外に台湾と中国の違いはないということでしょう。と以前はこのように考えていました。
 妻は時折「私は中国人ではない。台湾人だ!」と言っておりましたが、私から見れば台
湾の人は中国語を話し、宗教は中国式であり、台湾料理もどう見ても中華料理である。
 では、何が違うのか。「精神」が違うのです。
 見かけではない。美しい台湾の風土、そして、中国から隔絶された日本統治時代および
国共分離時代の台湾経験により、その「精神」が中国と台湾では圧倒的に異なってしまっ
たのだ、とお教えいただいたと理解しています。
 台湾は日本ではない。しかし、中国でもない。台湾人の大半は漢族を祖としている。し
かし、中国人ではない。
 シンガポールは国連加盟の独立国である。その独立国の人口の75%は華人である。華人
とは先祖として中国人をもつ人たちのことではなく、中国の文化を継承した人たちのこと
である。シンガポールの華人は独自の文化をもっているわけではないのでIdentityはやは
りWe are Chineseである。
 しかし、台湾人はすでに華人ではない。もちろん中国人でもない。または華人としての
束縛を越えようとしている。しかし中国に吸収される危機に瀕している。チベット族やウ
イグル族と同じように、危機に瀕している。そして台湾人は日本や中国の優れた文化を吸
収して、独自のすばらしい文化を作り出す一歩手前まで来ている人たちである。このまま
消えてしまうのはあまりに惜しい「美しい国」である。
 独立した台湾とその文化を守り育てることは、東アジアの発展、ひいては世界を新しい
段階を導いてくれるであろうと硬く信じる次第です。
 私は微力どころか全く役に立ちませんが、いずれ大きな志を持っておられる台湾の皆様
のお役に少しでも立てれば大変光栄と感じる次第です。
 黄昭堂先生、黄天麟先生がおっしゃられたように台湾は今、目先の経済的利益のために
、その総ての技術、資本を中国に持ち出してしまっています。目の前の経済的利益の追求
が将来の私たちの生活を、ひいては国を滅ぼす結果になることにあまりに多くの方が気が
つかないことを憂いておられましたが、これは全く日本にも当てはまることです。経済的
繁栄が人間の究極的な目的ではないはずです。いつしか台湾がそのことを世界に示すこと
ができる国になりうると期待しております。

 最後に、李登輝前総統閣下にお目にかかれたことを生涯忘れえぬ思い出になりました。
私のような小市民にはなかなかお会いできる方ではないので、このたびこのような機会を
いただけるとは全く思ってもみませんでした。これも日本李登輝友の会理事、事務局の皆
様のご人徳の賜物かと存じます。
 あのような偉業を成し遂げられた方でありながら、微塵も偉ぶるところがなく、私たち
に気軽にお声をおかけいただき、多大なる失礼を大きなお心で見守っていただいたことに
関して心より感謝いたします。私は何も達成できぬまま人生の半ばを過ぎようとする年齢
になってしまいましたが、一歩でも李登輝先生のような方に近づけるよう生涯努力し続け
る所存でございます。

 帰国の飛行機の中で、こんなことを想像していました。
 いまから35年後、老人ホームにて余生を送っている私の机の横には2枚の写真が立てかけ
てあります。1枚は家族の写真、2枚目は2006年9月5日に撮った李登輝先生との写真です。
                                    (9月8日)


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