鴻海・TSMC契約の独製BNTワクチン1,000万回分を台湾政府に無償提供

鴻海・TSMC契約の独製BNTワクチン1,000万回分を台湾政府に無償提供

 日本から237万回分(124万回分+追加113万回分)と米国からの250万回分を含め、台湾はワクチンを702万回分(米モデルナ製330万回分、英アストラゼネカ製372万回分)を確保しています。しかし、この分量はまだ台湾の全人口の29.8%にしか接種できない量で、まだまだ不足しています。

 このような時期に、鴻海精密工業と台湾積体電路製造(TSMC)は7月11日に、ドイツのビオンテックとワクチン1,000万回分、総額は約3億5000万ドル(約385億円)に上る契約を締結したと発表したそうです。中国における同ワクチン販売権を持つ上海復星医薬(上海フォサン・ファーマシューティカル)も11日に契約締結を発表したと報たと報じられています。

 ロイター通信によれば「TSMCと鴻海は共同発表文で、ビオンテックのワクチンの第1弾はドイツから直接送られ、到着するのは9月下旬以降になるとの見通し」を示しているそうです。

 台湾国際放送は「衛生福利部疾病管制署(台湾CDC)は11日深夜、電子機器受託生産(EMS)大手の鴻海精密工業(ホンハイ)傘下の永齢基金会、および台湾の半導体大手の台湾積体電路製造(TSMC)と新型コロナウイルスワクチンの無償提供について契約を結んだことを明らかにしました」と報じ、12日午前の臨時記者会見において行政院報道官が「無償提供契約は、TSMCと永齢基金会が台湾CDCと締結。今回のワクチン調達は、『ドイツ製』、『ドイツ製のラベル』、『産地から台湾への直送』の三原則を満たしている」と説明したことを伝えています。

 このニュースを読んだとき、よくも中国政府がビオンテック製の台湾への提供を許したものだと首をひねりましたが、中央通信社が「総統府の当局者は、日米が台湾に提供したワクチンが現時点で約487万回分に達していることに触れ、民主主義国家が台湾に『即時救援』を行ったことは中国にとって大きなプレッシャーになったと指摘。この時点で中国が手を放さなければ、かえって中国が台湾のワクチン購入を妨害していた証明になるとの見方を示した」と伝えていて、なんとなく腑に落ちました。

 しかし、鴻海精密工業とTSMC両社の誠意と努力を多とするも、この仕方なく提供という経緯が気になります。

 中国政府や中国企業が絡んでいて、果たして「ドイツ製」「ドイツ製のラベル」「産地から台湾への直送」という契約が守られるのか、台湾の人々に安心、安全なワクチンが無事に届けられるのか、一抹の不安が残ります。台湾国産ワクチンの接種が早々に始まることを期待しつつ、今後の経緯を見守りたいと思います。

—————————————————————————————–行政院、ホンハイ・TSMCとワクチン寄付について契約【台湾国際放送:2021年7月12日】https://jp.rti.org.tw/news/view/id/93820

 行政院(=内閣)は12日午前、臨時記者会見を開き、衛生福利部疾病管制署(台湾CDC)は11日深夜、電子機器受託生産(EMS)大手の鴻海精密工業(ホンハイ)傘下の永齢基金会、および台湾の半導体大手の台湾積体電路製造(TSMC)と新型コロナウイルスワクチンの無償提供について契約を結んだことを明らかにしました。

 行政院の羅秉成・報道官によりますと、永齢基金会とTSMCは、アメリカの製薬大手ファイザーとドイツのビオンテック社が共同開発した新型コロナワクチン(BNTワクチン)をそれぞれ500万回分を政府に無償提供し、政府はそれを分配・使用するということです。

 羅秉成・報道官は、「今回のワクチン調達について政府は、永齢基金会、およびTSMCとそれぞれ調達契約と無償提供に関する契約を結んだ。調達契約では、TSMCと永齢基金会が台湾の裕利医薬に委託してワクチンの大中華地区の独占代理店、中国の上海復星医薬の子会社である、復星実業からワクチンを調達することと、ドイツのビオンテック社が、ワクチンがドイツ製であることを確認する書類を添付する必要があることが明記されている。無償提供契約は、TSMCと永齢基金会が台湾CDCと締結。今回のワクチン調達は、『ドイツ製』、『ドイツ製のラベル』、『産地から台湾への直送』の三原則を満たしている」と説明しました。

 一方、台湾の仏教系慈善団体、慈済基金会もアメリカのファイザーとドイツのビオンテック社が共同開発した新型コロナワクチンを政府に無償提供する予定です。現在、その調達プロジェクトが進められています。すべてが順調に行けば、年内には一定の量のファイザーワクチンが台湾に到着する見込みです。

 なお、契約済みの505万回分のアメリカのモデルナ製ワクチンのほか、政府は、来年か再来年にモデルナ社から次世代の新型コロナワクチンをそれぞれ1500万回分購入する可能性も探っているということです。

──────────────────────────────────────※この記事はメルマガ「日台共栄」のバックナンバーです。

タグ: , , , , , , , ,