産経新聞が2面ぶち抜きで台湾の民主化特集 『李登輝秘録』は7月末に出版

 昨日の本誌で、香港国家安全維持法の即日公布・施行をめぐり、「香港は死んだ」と大見出しを打った昨日の産経新聞1面について「今朝の産経新聞1面は異様だった。3段のところを2段組に、黒ベタ白抜きの文字。まるで訃報を伝える見出しだ」とお伝えした。

 ツイッターなどでも「異様だ」という感想が飛び交っていたので、多くの人が同じ印象を抱いたようだ。

 今朝の産経新聞も、異様というわけではないが、人目を惹くに十分なインパクトある記事を掲載していた。ずいぶんと思い切った記事で、第12面と13面の2面ぶち抜きの見開きで、論説委員の河崎真澄記者が昨年4月3日から今年2月2日まで78回にわたって連載した「李登輝秘録」に関する記事を掲載している。

 「台湾を変えた民主化の激流」という大見出しの下に「『李登輝秘録』連載を終えて」と副題を添え、「李登輝時代からの民主化の動きは中国や日米といかに関わり、台湾をどこまで変化させたのか。李登輝退任から20年を経て、改めて検証する」と記事の目的を記し、台北支局長だった論説委員の河崎真澄氏、現在の台北支局長の矢板明夫氏、前台北支局長の田中靖人氏の3氏による5本の記事を掲載している。

 それぞれの記事の見出しと執筆者は下記のとおりだ。

・李登輝の遺産:蔡英文が引き継ぐ民主化路線    河崎真澄・警戒する中国:国家分裂の「二国論」に反発    矢板明夫・香港と台湾:結びついた2つの学生運動       河崎真澄・日本へ期待・失望:中国への弱腰姿勢にいらだち  河崎真澄・米国との距離:「支持」確保が政権存続の要    田中靖人

 「李登輝秘録」を読んだ読者なら、ほぼこの見出しだけで記事の内容は推し量れるかもしれない。大見出しにあるように、李登輝政権前の蒋経国政権からはじまった台湾民主化をテーマにそれぞれ書かれている。

 当時もいまも、台湾にとっての最大の課題は「中国との関係にどう決着をつけるか」で、李登輝が「台湾の地位確立に、民主化が欠かせない」と考え、民主化を選択したことが分かれ道であり、河崎氏は総統直接選挙を実施したことが台湾の転換点で「台湾の民主化は分水嶺(ぶんすいれい)を越えた」と指摘している。

 このように、台湾のこの20年を俯瞰できるような記事はありがたい。日本の台湾政策は中国政策の裏返しでしかない現在、政府関係者にも有用な記事だろう。

 李登輝氏が総統を退任してから20年。節目の年である今年、7月末に「李登輝秘録」が単行本として出版されるという。意義深い出版だ。

 2月から休会していた本会の台湾セミナーもこの7月から再開する。河崎真澄氏にはすでに講師を快諾いただき、5月のセミナーでお話しいただく予定だったが、武漢肺炎により延期せざるを得なかった。より多くの方々に参加していただきたいと思っているが、武漢肺炎の影響で定員制限があり、大きな会場確保はなかなか難しいものの、8月か9月に開催したいと思っている。

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