産経がNHK「JAPANデビュー」裁判の最高裁判決について検証記事

去る1月21日、NHK「JAPANデビュー」裁判の最高裁判決が下された。最高裁第一小法廷
の大谷直人裁判長は「放送によって原告の社会的評価が低下したとはいえない」として、NHKに
約100万円の支払いを命じた二審の東京高裁判決を破棄し、高許月妹さんの請求を棄却、NHKの
勝訴となった。

 台湾の中央通信社は1月23日、高許月妹さんら高士村の人々がどのように判決を受け止めたかに
ついて「女性をはじめ多くのパイワン族の人が住む屏東県牡丹郷高士村から不満の声が上がってい
る」と報じた。

 NHKのこの番組のために通訳した陳清福氏も「NHKが女性の気持ちを歪曲して報じるとは思
いもしなかったと語り、人間動物園(という表現)は明らかに誹謗(ひぼう)中傷で、なぜ無罪と
言えるのかと述べた」と伝え、また「高士村の李徳福村長は、NHKの台湾原住民に対する侮辱に
村全体が憤慨したと当時を振り返り、女性の娘、高香梅さんも判決にはがっかりしたと肩を落とし
た」と報じている。

 素人が読んでも整合性に欠ける判決で、高士村の人々が落胆している様を知るにつけ、改めて
「不当判決」との思いが沸き上がってくると同時に、高許月妹さんをはじめ高士村の人々に申し訳
ない思いが募る。

 昨日の産経新聞も「日台関係にも暗い影を落とした番組には、どんな問題点が指摘されてきたの
か」と検証記事を掲載している。下記にご紹介したい。


Nスペ訴訟 台湾先住民が逆転敗訴 日台関係に暗い影、残る問題点
【産経新聞:2016年1月26日】

 日本の台湾統治を扱ったNHK番組をめぐり、最高裁第1小法廷は21日、名誉を傷つけられたと
した台湾先住民族の女性の訴えを退けた。NHKに100万円の支払いを命じた2審東京高裁判決は破
棄され、女性の逆転敗訴が確定した。日台関係にも暗い影を落とした番組には、どんな問題点が指
摘されてきたのか。(NHK取材班)

                     ◇

 番組は平成21年4月5日放送の「NHKスペシャル・シリーズJAPANデビュー」第1回「アジ
アの“一等国”」。1910年に英国で開かれた日英博覧会で、台湾先住民族のパイワン族が日本に
よって「人間動物園」として展示され、台湾では現在も日本統治の傷が残る─とする内容だった。
訴えを起こした高許月妹(こうきょ・げつまい)さんは博覧会に参加した父を持ち、番組出演し
た。

 2審判決は、NHKが一部学者の唱えた「人間動物園」という差別的言葉に飛びつき、番組制作
の前提にしたことを問題視。「志と誇りを持って博覧会に出向いたパイワン族や高許さんを侮辱し
た」と認定した。一方、最高裁は「視聴者が、父親や娘が動物園の動物と同じように扱われるべき
者と受け止めるとは考えがたい」と判断。制作上の問題には言及しなかった。

◆「問題あり」変わらず

 NHKが「正当な判決」とする一方、高許さんの弁護団は「不当な判決」とコメント。弁護団の
高池勝彦弁護士は「名誉毀損(きそん)は認められなかったが、取材や演出、編集など、多くの点
に問題があった番組なのは変わりない」と訴える。

 番組で父の写真を見せられた高許さんは、日本語で「かなしい」と発言。「生前、父親は博覧会
について子供たちに語ることはありませんでした」とのナレーションが流れた後、高許さんがパイ
ワン語で話す映像に「悲しいね。この出来事の重さ語りきれない」との日本語字幕が表示された。

 しかし、高許さんは放送後、「突然、父の写真を見せられ、自然に涙が流れた」と説明。弁護団
は、高許さんは日本語が不得意で「父が懐かしい、いとしい」との意味で「かなしい」と語ったと
主張した。また、NHK側が取材時に「人間動物園」「見せ物」などと説明せず、写真を見せたこ
とも問題視。NHKは「『見せ物』という言葉で説明した」と反論していた。

◆不透明な対応に批判

 番組をめぐっては、訴訟の主な争点となった高許さんの出演場面以外にも、公平性の観点から複
数の問題が指摘されてきた。番組は台湾統治下の暴動・鎮圧を、「平成に入ってから用いられた造
語」と指摘される「日台戦争」と表現。後藤新平の諸政策を「日本統治の深い傷」と伝えるなど、
「内容が一面的だ」との批判が集まった。

 NHKには放送後、出演した台湾人をはじめ、日台の議員や関係団体、視聴者から相次いで抗議
が寄せられた。当時の福地茂雄NHK会長(アサヒビール元会長)は21年5月の記者会見で、「あ
の番組はいいところも随分言っている」と強調。だが、NHK側がその後、出演したパイワン族に
抗議の意思がない旨の文書にサインをするよう求めていたことも発覚。NHKの不透明な対応にも
批判が集まった。NHKは現在、番組の妥当性について、「放送ガイドラインに則(のっと)って
適切に対応している。個別の対応については答えていない」としている。


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