李登輝氏が残した台湾和牛  矢板 明夫(産経新聞台北支局長)

李登輝氏が残した台湾和牛  矢板 明夫(産経新聞台北支局長)

 一昨年7月30日に亡くなられた李登輝元総統はことのほか牛肉が好きだった。2016年に石垣島を訪問されたときには、石垣牛のセミナーが開かれ、JA沖縄石垣支部が開いた晩餐会でも石垣牛が振舞われた。

 前年、仙台市を訪問されたときも昼食会では仙台牛のステーキを召し上がり、その前の年に札幌市を訪問されたときにも、本会の梅原克彦・常務理事と柚原正敬・事務局長が招かれた昼食会でもステーキを振舞われた。

 石垣訪問から帰台してからは、台湾の人々に美味しい牛肉を食べてもらいたいと肉牛の飼育を始められた。日本畜産学会の専門誌に論文「SNPマーカーを用いた台湾牛種と黒毛和種および欧米種との遺伝的関係の解析」を執筆、陽明山で放牧されていた台湾牛19頭は但馬牛の血統を引く直系の子孫に当たると発表されたほどだった。

 ご自分の生まれ育った台北州淡水郡三芝庄(現在の新北市三芝区)にある生家「源興居」から、19頭の台湾牛を「源興牛」と名付けられている。その源興牛はいまや乳牛456頭、肉牛250頭にまで増えているという。

 去る2月13日、「源興牛」を使った火鍋レストラン「源牛火鍋餐庁」1号店(台北市松山区南京東路四段21号2F)がオープンした。産経新聞の矢板明夫・支局長が本日付の同紙「台湾有情」にオープンの模様をつづり、「席は月末まで予約でいっぱいだ」と伝えている。

—————————————————————————————–李登輝氏が残した台湾和牛【産経新聞「台湾有情」:2022年2月18日】https://www.sankei.com/article/20220218-72WJSAO7EVOVZIKWSUOXGIQKKY/?758820

 台湾の李登輝元総統が晩年、心血を注いだ牛肉ブランド「源興牛」の料理を提供する火鍋レストラン「源牛」が13日、台北市中心部でオープンし、話題を集めている。

 李氏が総統を務めていた時代の側近で、金庫番ともいわれた台湾財界の大物、劉泰英氏がオープニングセレモニーに出席し「李氏の最後の願いがようやくかなった」とあいさつした。

 京都帝大(現京大)で農業経済学を学んだ李氏は総統を退任後、台湾の畜産を発展させるために、自身が会長を務めた「李登輝基金会」を通じて牛の飼育を始めた。和牛のようなおいしい牛肉をつくり、台湾のブランドにすることが夢だったという。

 日本統治時代に台湾に運ばれた但馬牛の血を引く牛19頭を2016年に購入し、東部・花蓮の牧場で飼育して品種改良などを重ねたという。

 晩年、時間さえあれば、牛を見に牧場に通っていたという李氏だが、2020年7月に死去し、牛肉の初出荷を見ることができなかった。

 「源牛」で火鍋は1人当たり1千台湾元(約4千円)程度となっている。話題を集め、席は月末まで予約でいっぱいだという。

 食事をした大学職員の男性は「肉はとても軟らかく、日本で食べた神戸牛と同じぐらいおいしい」と語った。

(矢板明夫)

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