李登輝元総統インタビュー(3) 山本 善心(時局心話會代表)

李登輝元総統インタビュー(3) 山本 善心(時局心話會代表)
【山本善心の週刊木曜コラム〈328号〉:2011年5月19日】

 7月17日から台北で行われる「日台アジア会議」の発足に向けての準備が大詰めを迎えて
いる。そこで先月の3月18日に訪台し、李登輝元総統を訪ねた。李氏は約2時間にわたって
インタビューに答えられたが、元気溌剌で90歳とは思えぬ迫力に筆者もたじたじであった。
本稿では3週にわたり会談内容を掲載します。

*編集部注:インタビューは今回が最後です。

山本:最近、グアムに行って米軍基地のトップと会いました。アメリカのステルスファン
トム22戦闘機、日本のF15戦闘機がコンビを組んで猛訓練しているそうです。アメリカは
日本の軍事力、航空技術、パイロットの優秀性は世界一だと言っていましたよ。中国に見
せたいとも言っていました。そうすれば軍拡をやめるだろうと(笑)。

李氏:それはぜひとも必要だ。

山本:「そうなれば中国は歯が立たないということを理解するだろう」と言っていたのが
印象的です。

李氏:そうかもしれませんね。ところで今回、北朝鮮が韓国を爆撃して軍艦を爆撃したで
しょう。アメリカは一番大きい原子力空母「ジョージ・ワシントン」を黄海にもっていっ
た。そうなれば中共は黙って見ているしかない。だから、中国人に対しては決して弱みを
見せたらだめなんです。日本は外交で政府が弱みをずっと見せ続けてきたから中国はいい
気になっているんですよ。

山本:ああ、いまのお話、ぜひわが国民に聞かせたいですね。外務省のある職員は『弱み
を見せているんじゃなくて、中国の民主化を促進するためにあえて言いなりになっている
んだ!』などと馬鹿なことを言っているようです。中国に弱みを見せたらどんどん浸蝕し
てきます。尖閣が一つの例ですね。

李氏:たとえば、私の総統選挙1996年のとき、中国はミサイルを撃ち込んできた。その後
すぐに米国から空母がきました。そしたら中国は黙ってしまったんです。

山本:空母がくるのがわかっていたんですか?

李氏:それはわかりますよ。今だから言えますが、当時、日米台で数カ月かに一度お互い
に情勢の交換会議やっていました。ですから三国間の関係は非常によかったのです。しか
し、日本の外務省の連中はびっくりするほどだめだったなあ(笑)。

山本:朝鮮戦争のときも第七艦隊が台湾海峡にでてきました。米国が朝鮮戦争で戦ってい
るときも台湾を心配してくれたんですね。

李氏:そう。朝鮮戦争があったから蒋介石政権は維持された。その代わり、台湾からもあ
る程度応援にでたのでしょう。

■台湾はあくまで「現状維持」だ

山本:70年前もこれからも、アメリカの台湾に対する重要性は変わらないでしょう。問題
は米国発の「一つの中国」という誤ったシグナルです。中国の軍拡や挑発を正当化する危
険きわまりないものでした。中国の暴走を制止するには米国は「国と国との関係」と発言
すべきです。

李氏:そもそも、シーレーンの中心は台湾なんですよ。「台湾海峡の現状維持」というの
はアメリカが取り出した問題で、この台湾をどう活かすかを台湾の指導者は考えなくては
いけません。しかし、今の政府はなにも考えてない。わかっていないんです。ただ、中国
と行き来さえすれば問題は解決すると思っていますが、それは違う。武者小路実篤の言葉
を引用するならば、「君は君、私は私、だけど仲良くやっていきましょう」ということで
すよ。

■左翼勢力に牛耳られる日本の行政

李氏:いまの民主党も同じ。私は若いころ、唯心論も色々やったけど、唯物論、マルクス
の弁証論はだめ。物と物の関係しか言っていないから。人間の社会は心と物と、そのうえ
に神がいる。この考え方が非常に重要です。日本ではなにかあると右とか左に分けますが、
これもよくないと思いますね。右も左もないんですよ。

山本:残念ですが、今の日本ではそうはいきません。日本社会は、完璧に左の勢力に牛耳
られています。元北朝鮮工作員や元核マル派の流れが大量に各省庁に潜入し、とくに法制
局は完全に牛耳られていると聞きます。つまり、彼らに日本の行政権力が仕切られている
と言ってよいでしょう。当時、航空幕僚長だった田母神俊雄氏が愛国主義者的な発言をし
たらその日に更迭されたくらいですから。一方、民主党25人の職員のうち23人は旧社会党
系出身者や一部勢力に牛耳られていると聞きます。鳩山前首相は彼らが書いたものを会見
で読み上げていただけとも言われ、日本は左翼勢力の天下だとの見方があります。

李氏:そうですか。かつて日比谷公会堂で坂本竜馬の船中八策について講演したことがあ
ります。私は明治生まれの官僚を見ているので、そうしてみると今の日本の官僚、総理が
無能になっているということですかね。

山本:残念ながらまさしくそう言わざるを得ません。それは国民の大勢が思う気持ちです
が、日本の政治と外交は、国民の気持ちや時代の変化に適応できないばかりか改革にブレ
ーキをかける勢力がいます。すべてが、先送り事なかれ主義で何も解決できないんです。

■「日本は世界最大の個人資産を生かせる」

李氏:私にいわせると日本は日本銀行が問題です。まず日銀を整理していかないといけな
いと思います。個人資産について言えば、世界では日本が一番高いんですよ。そういうの
をうまく活用しないでバブルがはじけて20年近く経っても、まだ国民を困らせている。国
民の生活はいまのような苦しい生活じゃなくて、もっと余裕のもてる政策をとるべきだと
思います。3%くらいのインフレ政策で、利息も3%くらいにあげたら年金生活者もずいぶ
ん助かります。このお金は正常な金融システムの中に入ってきますから、日本としては効
果的な対外投資をすることができると思います。

 また、日本の政治形態を変えるには「みんなの党」みたいに日本を道州制のような形で
8州に分けて地方に権力を持たせる。そうすると地方が少し強くなって中央集権が強すぎ
るのを拡散し、バランスがとれます。それと、日本はなんでも世襲するのもあまりよくな
いですね。作家の山崎豊子さんは、考え方は左翼だけど日本の欠点をよく著しています。
「華麗なる一族」とかにね。

山本:それはまさしく正論ですね。震災で見せた原発担当の経産省の事後処理は機能不全
でした。右往左往するばかりでいったい何をしていたのかさっぱりわかりません。

李氏:私から言わせれば、日本で本当にしょうがないのは外務省です。1999年に起きた台
湾の大地震では、当時、曽野綾子氏が会長だった日本財団がすぐ援助に来てくれて、台湾
でも非常に強い「捜救総隊」ができました。今回の東日本大震災では恩返しの意味で、す
ぐにこの救援隊を派遣すべくずっと連絡をしていたのですが、外務省は「受け入れの準備
ができていない」の一点張りでした。結局、日本へ行った救援隊の35人は山梨県甲府市に
あるNPOの救援隊と共に被災地に行き、大船渡あたりで救助活動をして来ました。

山本:あ〜、もっとお話ししたいのですが時間です。あらためて今回の震災でたくさんの
義援金を頂き感謝申し上げます。また、たび重なる外務省の非礼に対し日本国民の一人と
して申し訳なく存じます。また本日は中身の濃い本音のお話を頂きましてありがとうござ
いました。

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