本州最北端の日台交流〜大間町の天妃祭に参加して 中西 功(青森県支部事務局長)

本州最北端の日台交流〜大間町の天妃祭に参加して 中西 功(青森県支部事務局長)
本州最北端の町、青森県の大間町(おおままち)といえば「マグロ」を思い出す人が多
いかもしれないが、大間町には台湾の神様「媽祖(まそ)」を天妃(てんぴ)様と呼ん
で、毎年夏、天妃様行列というお祭りもある。

 大間に媽祖像を祀る天妃祠が創建されたのは、300年ほど前の元禄9(1696)年のことと
される。海の安全を守る神様とされているのが媽祖だからだろう。それ以来、地元民だけ
でなく多くの船舶の参拝も集め、明治6(1873)年には大間町稲荷神社に合祀され、今日に
至っているが、祠の扉が久しく閉じられていたため、住民は近年までそれが何の神様かわ
からなくなっていたという。

 勧請300周年にあたる平成8(1996)年、大間町観光協会長だった大見光男(おおみ・み
つお)氏の発議で、天妃祭での町おこしが始まった。この年の7月、日本媽祖会と台湾の北
港朝天宮との協力で、天妃祭で初めて媽祖行列(天妃様行列)が実現する。またこれが縁
で、翌年7月20日、大間町稲荷神社と北港朝天宮(媽祖廟)は姉妹宮を締結している。

 大見光男氏(当時、青森県議会議員)を支部長に、本会12番目の支部として平成18
(2006)年6月に設立された青森県支部(菊池晃支部長)は、その年から毎年、この天妃様
行列に参加している。初参加した中西功(なかにし・いさお)事務局長がそのときの模様
をレポートしているので下記にご紹介したい。


本州最北端の日台交流〜大間町の天妃(媽祖)祭に参加して

                  日本李登輝友の会青森県支部 事務局長 中西 功

 なぜ大間に媽祖(まそ)様が祀られているのか。これが初めて天妃(てんぴ)祭の話を
聞いた時の私の率直な疑問だった。そして天妃祭に参加した今、その疑問は驚きと尊敬に
変わった。

 中国や台湾と特別深い関わりがあったとは思えない北の地で、300年以上も前に遷座され
た異国の神様を今なお信仰しているという事実に驚くとともに、長い年月その信仰を続け
てきた歴史の重さ、そして現在このような盛大な祭りにした町の人々の情熱に尊敬の念を
抱いたのである。

 青森県下北郡大間町は本州最北端に位置し、「大間まぐろ」、NHK連続テレビ小説
「私の青空」、「大間崎」が全国的に有名な、漁業と観光を中心とした町で、人口は6,400
名余りである。この町では毎年海の日に天妃祭が行われ、今年(2006年)は7月16日に宵宮
祭、翌17日に本祭典が行われた。

 予報では雲行きが心配された本祭典であったが、前夜の宵宮祭の祈祷が天に届いたので
あろうか、当日は歩いているだけで汗ばむほどの晴天だった。朝8時より稲荷神社で始まっ
た祈祷には、金澤満春町長を始め町議会議員、観光協会、漁業協同組合といった町の中心
人物、そして日本媽祖会、青森日台交流会、日本李登輝友の会本部や青森李登輝友の会と
いった日台交流団体が参列した。

 神主が祈祷し、獅子が舞い、そして御神酒が振舞われる本祭典は、神様が天妃様である
ことを除けば全く日本の祭りである。

 明治6年(1873年)に稲荷神社に天妃様が合祀され、平成8年(1996年)から祭りが行わ
れるようになったことで、より身近な神様になったからなのだろうか。

 祈祷が終わると、祭りは海の町大間の装いに変わる。大漁旗やまぐろのぼりで彩られた
10隻ほどの船が海へ繰り出すのだ。我々は千代谷誠・町議会議員の船、日本媽祖会は大見
光男・青森李登輝友の会会長の船にそれぞれ乗船させていただき後に続いた。船は港内を
何周か回ってから外海へ出ると、全ての船が一列に並び、御札を海に沈めて大漁を祈願す
る儀式が行われた。

 30分余りの海上運行を終えた船が港に戻ると、祭りは終盤に差し掛かる。天妃様行列が
町内を練り歩くのだ。行列には天妃様の守り神である千里眼(遠くの動きを監視する神)
と順風耳(遠くの悪巧みを聞き分ける神)も加わり、龍が踊り、銅鑼や爆竹が鳴る台湾式
のものである。そして、金澤町長や町の中学生が在日台湾同郷会旗を持って歩く姿は、沿
道で見物する多くの人に台湾を深く意識づけ、関心を持った子供たちからはそれが何の旗
か質問される場面もあった。

 宵宮祭と祭典の祈祷、天妃様の海上運行、青空に届かんばかりの激しい爆竹音。天妃祭
は正に日本と台湾、そして海の町大間が見事に融和された祭りであった。しかし、漁業の
町で長年海の安全を守ってきた神様が現在日台交流の象徴になるとは、神様だって予想し
ていなかったに違いない。


 天妃様とは、台湾では媽祖様として広く信仰されている航海や漁業の安全を守る女神様
である。大間町と媽祖様の縁は、元禄9年(1696年)に伊藤五左衛門が天妃媽祖大権現を遷
座したことに始まる。勧請300周年の平成8年(1996年)、同町観光協会会長であった大見
光男氏(現青森李登輝友の会会長・県議会議員)の発議により天妃祭が始まった。祭りで
お目見えする本尊分身や千里眼、順風耳、その他行列用品は、台湾の媽祖信仰の総本山で
あり、現在稲荷神社と姉妹宮にもなっている台湾雲林県の北港朝天宮から寄贈されたもの
だ。
                          (平成18(2006)年7月22日記)

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