感動呼んだ安倍氏追悼コンサート  矢板 明夫(産経新聞台北支局長)

感動呼んだ安倍氏追悼コンサート  矢板 明夫(産経新聞台北支局長)

【産経新聞「矢板明夫の中国点描」:2022年8月24日】https://www.sankei.com/article/20220823-7Q7QFXAIPFKOZGKOVAZ44ZH5QQ/?890651

 台北市中心部にある国際会議センターホールで20日夜、「台湾の真の友人、安倍晋三・元首相追悼コンサート」が盛大に行われた。頼清徳副総統、蘇嘉全・台湾日本関係協会会長、李永得文化部長(文部科学相に相当)、林鴻聯・聯邦銀行会長ら、台湾の政財界関係者が多く出席し、会場の約3100席は老若男女でほぼ埋め尽くされた。

 コンサートの冒頭、頼副総統は7月12日に東京・増上寺で行われた葬儀に参列し、安倍氏に最後の別れを告げたときの心境を報告した。これまで台湾への新型コロナウイルスのワクチン提供や、台湾産パイナップルが中国から禁輸措置を受けたときの支援など、安倍氏の日台関係への貢献を振り返りながら、「安倍氏に対する感謝の気持ちは、安倍氏の死によって変わることはない。われわれは安倍氏の信念と理想を引き継いで、台日関係をさらに発展させたい」と頼氏が語気を強めると、会場から大きな拍手が湧き起こった。

 その後、医師で歌手の劉立仁氏による「千の風になって」、著名な歌手、曽心梅氏による「涙そうそう」など日本の人気歌曲が披露された。台北市の日本人幼稚園の園児による台湾童謡の合唱などもあり、若者の間で高い人気を誇るロック歌手、朱約信氏の熱唱による安倍氏にささげる台湾語の新曲「街路灯」が大きな感動を呼んだ。

 最も注目されたのは、日本から来た全盲のシンガー・ソングライター、大山桂司氏による「安倍総理応援歌」だった。熊本出身の大山氏はコンサートの約10日前に台北に到着した。付き添いで来る予定だった友人がコロナで来られなくなり、言葉が通じずに台北のホテルで約3日間の単独隔離生活を送った。

 「スタッフの皆さんがやさしいので、心が通じ合っていた。不安はなかった」と語った大山氏。「安倍総理応援歌」を作ったのは安倍氏が首相を務めていた数年前だという。その後、コロナの感染拡大で視覚障害者は急に仕事がなくなり困っていたところ、政府からマスク製造の注文が大量に来て、多くの人が助かった。周囲は安倍氏に感謝していたが、メディアが「アベノマスク」などと揶揄(やゆ)して批判していたことを知り、悔しかったという。

 大山氏はこの日、2曲目として、安倍氏が生前、ピアノ演奏した東日本大震災の復興支援ソング「花は咲く」も力を込めて歌った。

 岸信夫前防衛相、高市早苗経済安全保障担当相、有村治子参院議員がコンサートにビデオメッセージを寄せた。3氏は「追悼コンサートを開いてくれた台湾の皆さんに感謝するとともに、日台関係を推進する安倍路線を継承したい」と口をそろえた。

 コンサートのフィナーレは「蛍の光」の大合唱。観客が総立ちとなり、目に涙を浮かべながら歌う人も少なくなかった。

 安倍氏の死去を受けて、台湾のシンクタンク「台湾民意基金会」が台北市民ら千人を対象に電話調査したところ、「7割超の台湾人が悲しんでいる」との結果が出た。安倍氏の追悼イベントを実施したいとの声が民間の間で高まり、10以上の台湾企業、日台友好団体などの共同主催で今回のコンサートが実現した。開催決定から本番までわずか3週間あまり、多くのボランティアが不眠不休で準備にとりかかったという。コンサートの総監督を務めた音楽家、邱貴氏は「台湾人が安倍さんに感謝していることを日本の皆さんにも知ってほしい」と話している。(台北支局長)

*矢板支局長の記事は胸を打つものが多い。ただ、「中国点描」という連載タイトルの中で台湾のことを取り上げる のはいかがなものか、誤解を受けないかといつも心配している。誤解とは台湾は中国の一部と受け取られることだ。 もし、「台湾有情」と「中国点描」が対になっているのだとしたら、「台湾有情」の文字数を「中国点描」と同じ くらいにして拡大し、その中で台湾のことを取り上げたらいかがなものかと、余計なお世話と知りつつ一考を促し たい。(メールマガジン日台共栄編集部)

※この記事はメルマガ「日台共栄」のバックナンバーです。

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