国境検疫と観光開放のどちらが大事なのか   林 省吾(台湾独立建国聯盟日本本部)

国境検疫と観光開放のどちらが大事なのか   林 省吾(台湾独立建国聯盟日本本部)

【台湾の声:2023年1月16日】

 中国が1月8日に国境を開放すると発表したのと同時に、日本政府は3年前の教訓により国境での防疫を強化すると迅速に決定した。12月30日以降に中国からの旅客機で入国した搭乗者には検疫が義務づけられると共に、隔離措置を実際に行なう際の問題を考慮して、羽田、成田、関西、中部各空港の4カ所の空港にのみの乗り入れに限定した。

 日本のツイッターでは、中国の国境開放は「バイオテロ」だと指摘し、日本政府の決定を支持する投稿が多く見られた。

 だが、入国制限措置について、観光業にとっては痛手だと心配する声も聞かれた。入国制限を行なう4大空港リストにはない北海道の新千歳空港や福岡空港、沖縄の那覇空港などを入口とする現地の観光業界では、3年ぶりとなる旧正月を目前に、大勢の中国人観光客の訪日を期待して準備と投資を行なってきたからである。当然、入国制限措置によって冷や水を浴びせられた格好となってしまった。

 沖縄タイムスの報道によると、関連業者団体は岸田首相が検疫措置を発表した翌日の12月28日、日本政府に抗議し、香港からの旅客機乗り入れを禁止しないよう強く求めた。この圧力を受けて日本政府は政策を急転換し、現在のところ香港路線を「条件付きで開放する」と修正された。沖縄タイムスは、「日本が観光客の入国を制限する措置を行なうのは、全く根拠のない鎖国だ。政策撤回は当たり前のこと」との観光業者の言葉を引用し報じている。

 筆者はこの発言を目にした時、日本語で書かれてはいるが、まるで台湾にいる中国の代弁者の主張を見ているかのように感じた。どうやら日本にも「中国イコール世界」で、中国からの旅客機を制限することは、まるで鎖国と同じだと思っている人々もいるようである。

 また、一方では一部の日本の業者が未だにかなり中国に依存しており、中国に対する警戒心が不足していることを浮き彫りにもした。危機管理のコストを政府と国民に押しつける彼らの心理とやり方は、不測の事態というものを一切考えていない。もしも日本にもう一度中国から新しいウィルスが入ってきて感染爆発したら、日本経済が復興するのは一体いつになるのか。

 どの国にもおこぼれを頂戴しようとする者たちはいる。愚者は教育できるが、悪人を防ぐのは難しい。

                                          (2023年1月5日記)

・1月16日追記

 日本の検疫強化に対して、中国は日本人へのビザ発行を停止することで報復してきた。このように被害者面をするのは中国の常套手段で、理不尽な「戦狼外交」を合理化する方法であり、恐喝そのものである。相手国の民間人に不利益を強いることで、民間から相手国の政府に圧力をかけさせるのがその目的である。

 この件に対して、経済同友会の櫻田謙悟・代表幹事は1月13日の記者会見で、「科学に基づいた判断でないのは、そちらだろうと言いたくなる」と中国を非難した上、日本政府に対して「安易にスタンスを変えるべきではない」と提言した。

 このような中国側の圧力に屈しない心構えは、リスク管理の面に置いてもあるべき姿だと筆者は考える。全ての企業は「アフターチャイナ」の問題に必ず直面する。今、そのリスクを経営者の責任としてしっかり考えていただきたい。

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