今、なぜ「台湾」なのか─感動の映画「湾生回家」  門田 隆将(ノンフィクション作家)

今、なぜ「台湾」なのか─感動の映画「湾生回家」  門田 隆将(ノンフィクション作家)
12月15日、日華議員懇談会と台北駐日経済文化代表処の共催により、台湾映画「湾生回家」の上
映会が行われた会場は衆議院第一議員会館の多目的ホール。

 本誌で「国会内の施設において台湾映画が上映されるのは恐らく初めてのこと」と伝えたが、台
湾の中央通信社は「初めて上映された」と報じている。

 会場には日華議員懇談会会長の平沼赳夫・衆院議員や謝長廷・台北駐日経済文化代表処代表をは
じめ、衛藤征四郎・元衆院副議長や参院議員の衛藤晟一・総理補佐官など多くの国会議員ととも
に、ノンフィクション作家の門田隆将氏や平野久美子さんの姿も見え、200人入る会場はほぼ満席
だった。

 初めてこの映画を観た門田氏は、感慨深そうに「いやー、良かった」と漏らして会場を去って
いったが、早速その夜、ブログ「夏炉冬扇」に映画を観た感想をつづっている。

 門田氏は12月10日に、2・28事件で犠牲となった日本人と台湾人の間に生まれた弁護士の湯徳章
氏(日本名:坂井徳章)を描く『汝、ふたつの故国に殉ず― 台湾で「英雄」となったある日本人の
物語』を日台同時発売(日本はKADOKAWA、台湾は玉山出版)されたばかり。

 ブログで「映画に登場する湾生たちを観ながら、“ふたつの故国”に殉じた坂井弁護士の心情を
思わずにはいられなかった」と述べ、またトランプ米国次期大統領の言動を振り返りながら「『今
なぜ台湾なのか』という思いで、今日、『湾生回家』を観ていたように思う。世界が『台湾』の存
在を注視し、さらに覇権国家・中国の動向に目を光らせる『時』が、ついに来た」とも述べてい
る。下記にその全文をご紹介したい。サブタイトルは編集部で付したことをお断りします。

 ちなみに、門田隆将氏を講師にお招きして12月23日に開く今年の「日台共栄の夕べ」では、もち
ろん新著『汝、ふたつの故国に殉ず』を取扱い、サイン会も行う。

 すでに沖縄に住んでいた方々数人が2・28事件の犠牲になったことを台湾政府も認めている。本
書を通じ、改めて日本が台湾の2・28事件と無関係ではないことを知っていただければと思ってい
る。今年の掉尾を飾る「日台共栄の夕べ」で、門田隆将氏が心魂を傾けた日本と台湾の切っても切
れない“絆”について話します。ぜひ聴きにいらしてください。


今、なぜ「台湾」なのか
【門田隆将ブログ「夏炉冬扇」:2016年12月15日】

 本日、衆議院第一議員会館の1階多目的ホールで『湾生回家』が上映された。国会議員を対象に
した上映会だったが、私も案内をいただいたので、観させてもらった。

 湾生とは、戦前の台湾で生まれ育った約20万人の日本人を表す言葉である。日清戦争に勝利した
日本は、1895年、下関条約によって、清国が“化外(けがい)の地”と称していた台湾を割譲され
た。

 以降、太平洋戦争に敗れる1945年までの50年間、日本は台湾を統治し、多くの日本人が台湾に
渡った。台湾の人々と共に日本人は台湾の発展のために力を尽くした。その日本人の台湾で生まれ
た子供や孫は、いうまでもなく台湾を「故郷」とする日本人である。彼らが、「湾生」だ。

 日本の敗戦で台湾を離れることを余儀なくされた齢八十を超えた湾生たちに密着し、台湾への郷
愁、父や母への思いを丹念に描き出したドキュメンタリー映画が『湾生回家』である。また、芸妓
をしていた母親と2歳の時に別れた日本女性が台湾人の妻となり、老齢を迎えて病に倒れたもの
の、その娘と孫娘が執念で、日本での墓参を叶えるシーンは涙なしでは観ることのできないもの
だった。

 私の耳には、会場のあちこちからすすり泣きが聞こえてきた。感動のこの映画を観ながら、私
は、台湾がこれほど「クローズアップされている」ことに対しても、心を動かされた。

 というのも、先週、私もまた、日本と台湾の切っても切れない“絆”を表わすノンフィクション
を日台同時発売で刊行したばかりだからだ。拙著『汝、ふたつの故国に殉ず』(角川書店)は、日
本人の父と台湾人の母を持つ坂井徳章(台湾名・湯徳章)弁護士が、1947年の「二二八事件」で、
自分の身を犠牲にして、多くの台南市民を救った姿を描いたものである。

 「私の身体の中には、大和魂の血が流れている」「台湾人、万歳!」と叫んで永遠の眠りについ
たこの英雄の命日は、2014年、台南市で「正義と勇気の日」に制定された。私は、この映画に登場
する湾生たちを観ながら、“ふたつの故国”に殉じた坂井弁護士の心情を思わずにはいられなかっ
た。

 日本と台湾の人々がお互いを尊重し、真心と真心が通じ合った「歴史」を共有し合っていること
に、私は感動する。台湾で「あなたの一番好きな国はどこ?」という単一回答のアンケートをおこ
なうと、2位(中国)と3位(アメリカ)に、ほぼ「10倍」の差をつけて、日本がダントツの「1
位」という結果が出て来る。友情と思いやりを基礎に、これほど深い信頼を築いた二国間の関係と
いうのは、他には例を見ないだろう。

 12月2日のトランプ米次期大統領と蔡英文・台湾総統との電撃的な「電話会談」から2週間。トラ
ンプ氏は、この電話会談の前に、中国が南シナ海で進めている軍事施設の建設について情報当局か
ら3時間に及ぶ説明を受け、その際に「元に戻せないのか」と激怒していたことが報じられてい
る。

 また、FOXテレビのインタビューで、従来の“ひとつの中国”政策を維持するかどうかは、
「中国の貿易、外交政策次第だ」と、踏み込んだ発言をおこなった。まさに、“ひとつの中国”、
つまり「台湾併呑」と「南シナ海の完全支配」を目指す中国に、「ノー」の姿勢を打ち出したので
ある。

 一方、中国共産党系の「環球時報」は12月12日、「トランプ氏は、ビジネスしかわかっていな
い。外交を虚心に学ぶ必要がある」と批判し、「中国は断固として戦わなくてはならない」と、猛
反発した。

 激動を予感させるそんな時代を前にして、私は、「今なぜ台湾なのか」という思いで、今日、
『湾生回家』を観ていたように思う。世界が「台湾」の存在を注視し、さらに覇権国家・中国の動
向に目を光らせる「時」が、ついに来たのである。

 日本では、政治家もマスコミも、「中国」と聞けば、ただ「ひれ伏す」だけの時代が長くつづい
た。しかし、今日、『湾生回家』を一緒に観た政治家たちには、よもやそんな人はいまい。

 互いを尊重し、真心と真心が通じる台湾の人々の思いに応えてくれる政治家やマスコミが、少し
でも増えていくことを心から願いたい。


【日本李登輝友の会:取扱い本・DVDなど】 内容紹介 ⇒ http://www.ritouki.jp/

*ご案内の詳細は本会ホームページをご覧ください。

● 映画「湾生回家」全国共通鑑賞券のお申し込み【1,400円+送料】
https://goo.gl/pfgzB4

*チケットは、理由の如何を問わず、取替、変更、キャンセルはお受けできませんのでご了承のほ
 どお願いします。

● 映画「湾生回家」劇場情報【2016年12月16日現在】 http://www.wansei.com/theater/

・東 京:11月12日〜 岩波ホール(03-3262-5252) *終了
・福 井:11月22日〜 メトロ劇場(0776-22-1772) *終了
・大 阪:11月26日〜 シネ・リーブル梅田(06-6440-5930)
・奈 良:11月26日〜 ユナイテッド・シネマ橿原(0744-26-2501)
・徳 島:11月26日〜 ufotable CINEMA(088-678-9113)
・福 岡:12月10日〜 KBCシネマ(092-751-4268)
・青 森:12月10日〜 シネマ・ディクト(017-722-2068)
・京 都:12月17日〜 京都シネマ(075-353-4723)
・宮 城:12月24日〜 フォーラム仙台(022-728-7866)
・愛 知:12月25日〜 名古屋シネマテーク(052-733-3959)
・静 岡:01月07日〜 静岡シネ・ギャラリー(054-273-7450)
・鹿児島:01月14日〜 ガーデンズシネマ(099-222-8746)
・兵 庫:01月21日〜 元町映画館(078-366-2636)
・岡 山:01月28日〜 シネマ・クレール丸の内(086-231-0019)
・岩 手:02月04日〜 盛岡ルミエール(019-625-7117)
・岐 阜:02月04日〜 CINEX(058-264-7151)
・北海道:02月04日〜 シアターキノ(011-231-9355)

*近日公開予定館
 静岡:CINEMA e_ra、新潟:新潟シネ・ウインド、高田世界館、富山:ほとり座、長野:長野松
 竹相生座ロキシー、広島:サロンシネマ、シネマ尾道、香川:ホール・ソレイユ、愛媛:シネマ
 ルナティック、宮崎:宮崎キネマ館、沖縄:桜坂劇場

● 台湾フルーツビール・台湾ビールお申し込みフォーム
https://mailform.mface.jp/frms/ritoukijapan/rfdavoadkuze

*台湾ビール(缶)の在庫がほとんど切れかかっています。お申し込みの受付は、卸元に在庫を確
 認してからご連絡しますので、お振り込みは確認後にお願いします。【2016年12月8日】

●美味しい台湾産食品お申し込みフォーム【随時受付】
https://mailform.mface.jp/frms/ritoukijapan/nbd1foecagex

*沖縄県や伊豆諸島を含む一部離島への送料は、1件につき1,000円(税込)を別途ご負担いただ
 きます。【2014年11月14日】

・奇美食品の「パイナップルケーキ(鳳梨酥)」 2,910円+送料600円(共に税込、常温便)
 *同一先へお届けの場合、10箱まで600円

・最高級珍味「台湾産天然カラスミ」 4,160円+送料700円(共に税込、冷蔵便)
 *同一先へお届けの場合、10枚まで700円

●書籍お申し込みフォーム
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・藤井厳喜著『トランプ革命で復活するアメリカ』 *new
・『台湾史小事典』(第三版)  *new
・李登輝・浜田宏一著『日台IoT同盟─第四次産業革命は東アジアで爆発する
・李登輝著『熱誠憂国─日本人に伝えたいこと
・王育徳著『台湾─苦悶するその歴史』(英訳版)
・浅野和生編著『1895-1945 日本統治下の台湾
・片倉佳史著『古写真が語る 台湾 日本統治時代の50年
・王明理著『詩集・故郷のひまわり』
・李登輝著『新・台湾の主張
・李登輝著『李登輝より日本へ 贈る言葉
・宗像隆幸・趙天徳編訳『台湾独立建国運動の指導者 黄昭堂
・石川公弘著『二つの祖国を生きた台湾少年工
・林建良著『中国ガン─台湾人医師の処方箋』
・盧千恵著『フォルモサ便り』(日文・漢文併載)
・黄文雄著『哲人政治家 李登輝の原点
・李筱峰著・蕭錦文訳『二二八事件の真相』

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・『KANO 1931海の向こうの甲子園
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・『跳舞時代』
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・片倉佳史先生講演録「今こそ考えたい、日本と台湾の絆」(2013年12月23日)
・渡部昇一先生講演録「集団的自衛権の確立と台湾」(2013年3月24日)
・野口健先生講演録「台湾からの再出発」(2010年12月23日)
・許世楷駐日代表ご夫妻送別会(2008年6月1日)
・2007年 李登輝前総統来日特集「奥の細道」探訪の旅(2007年5月30日〜6月10日)
・2004年 李登輝前総統来日特集(2004年12月27日〜2005年1月2日)
・許世楷先生講演録「台湾の現状と日台関係の展望」(2005年4月3日)
・盧千恵先生講演録「私と世界人権宣言─深い日本との関わり」(2004年12月23日)
・許世楷新駐日代表歓迎会(2004年7月18日)
・平成15年 日台共栄の夕べ(2003年11月30日)
・中嶋嶺雄先生講演録「台湾の将来と日本」(2003年6月1日)
・日本李登輝友の会設立総会(2002年12月15日)


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