――「拘留、収容審査、逮捕、労役拘禁、有期・無期懲役、死刑執行猶予・・・死刑」劉青『チャイナ・プリズン 中国獄中見聞録』(凱風社 1997年)

【知道中国 1945回】                       一九・八・念四

――「拘留、収容審査、逮捕、労役拘禁、有期・無期懲役、死刑執行猶予・・・死刑」

劉青『チャイナ・プリズン 中国獄中見聞録』(凱風社 1997年)

 天安門事件の10年ほど前で改革開放直前の中国に、一陣の民主化の風が吹いた。北京の一角で「民主の壁」運動が始まったのである。著者の劉青(本名:劉建偉)は、この運動への参加を機に活動家となる。“民主化の英雄”であった魏京生の救援活動に参画したことで79年末に身柄を拘束された後、11年間の牢獄生活。1992年7月、国内情勢の変化と国際世論の圧力を前にした当局は、やむを得ず出国を許可。その後、ニューヨークへ。

 この本は11年余の獄中生活における自らの体験と見聞――政治・思想犯と一般犯罪者を問わず、独裁国家における過酷な牢獄生活――が克明に描かれている。どの頁にも想像を絶する凄まじくもおぞましい様子が克明に記されているが、思いついたままに記してみる。

 1)「中国人は共産党に導かれて共産主義の『天国』へと向かうが、天国に入る前にまず人間改造の煉獄で『人間の罪悪の本性』を脱ぎ捨てなければならない。それゆえ中国人は罪悪の所業を目にすることがあまりにも多く、それらの行為をとっくに不思議ともなんとも思わなくなってしまったのだ」。

2)「(看守は)囚人を素っ裸にして一列に並ばせ、脱がせた服を糞尿の流れる暗渠に蹴り入れると、跳びかかって殴りはじめるというもので、手に持っていたものが何でもそのまま振りかざされる。警棒、棍棒、皮の鞭、手錠、巨大な鉄製の錠前、時には重たい足枷が登場する」。

 3)「(看守は部下を使って囚人の)頭を押さえつけて便桶に突っ込ませた。九月のある日のことで、伝染病の下痢がはやっており、桶の表面には緑や黄の泡が立ち、泡が破裂する音が聞こえ、房内には吐き気を催す臭気が立ち込めていた。(その囚人は)溺れた者のように、ゴボゴボとたくさん飲んでしまい、呼吸をするたびにはじける気泡の音が静まりかえった房内に響いて耳を差した。(中略)粘りついた液状のものが頭からゆっくりとしたたり落ちた」。

 4)「実は、拘置所内で糞を食ったり尿を飲んだりということは少しもめずらしい話ではない。(中略)井治華は箸を肛門に差し込み、箸についた糞をきれいになめ尽くすよう強要された。(中略)井治華は箸をきれいになめた」。

5)「あるいは飢えのため、あるいは寒さのため、あるいは例の笞打ち」によって囚人は死ぬ。「誰かが自殺したり死亡したりすると、中国の規定に従い、これを厠に放りこみ三日間放置する。そこでネズミがこれを食い荒らす。中国には一部に空腹のあまりそのネズミを食らう囚人もいる。前記の三日間が経過すると(役人がやってきて)死体の脚に輪縄をひっかけ、野原のほうへ開けた牢獄の外門までそれを引き摺ってゆ」き、「鉄張り棒で死体の尻を三発きつく殴」る。「生の兆候は認められず、死んでいることは確かである」と認められた死体だけが、「ごみ捨て場に投棄」される。「いかなる者も死んだふりなどできぬよう」、ここまで徹底しなければならないということだろう。

 6)「(当局は移植用に刑死者の内臓を売却するだけではなく)民間人の中にも死刑囚の体から難病・奇病を治療する薬剤を取る者もいる。中には肝を食べれば肝の、脳を食べれば脳の栄養になるという民間伝承を依然として信じているものまでいて、死刑囚がズタズタに切り刻まれてしまうこともある」。

 人権もクソもない。経済大国の抱える“不都合な真実”が満載だ。興味を持ったなら本書に当たってもらいたい。ところで5項目は明朝爛熟期の牢獄を視察したドミニコ会士ガスパール・ダ・クルスの報告からの引用だが、中国の監獄環境は数百年前も現在も大差なし。やはり中国の牢獄は時代を問わず“伝統的”に底なし地獄・・・ならば今後も!?《QED》

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