台湾が北京冬季五輪の参加名称「中国台北」に反発し開閉会式に不参加!

 2月4日から20日まで中国・北京で開催される「北京冬季オリンピック」には、台湾の選手15人も参加する。ところが、読売新聞が伝えるところによれば「1月26日、中国の国務院台湾事務弁公室報道官は定例記者会見で、「台湾選手団を、過去の五輪でその中国語訳として使用されてきた『中華台北』でなく『中国台北』と呼んだ」ことで、台湾の参加名称がオリンピック出場名の「チャイニーズ・タイペイ(中華台北)ではなく「中国台北」という名称となっていることが判明した。

 台湾側は当然のことながら「台湾が自らの一部であるとする中国の立場に基づく呼称だ」と反発し、開会式と閉会式には選手団を参加させない方針を決めたという。

 産経新聞は本日付けの1面トップ記事として「北京五輪 台湾 開閉会式に不参加」との大見出しの下、「『中国台北』にされると、中国が主権を握る香港の呼称である『中国香港』と横並びになってしまう。『中国の一部である台湾』と受け止められかねない」し、また「台湾選手団が『中国台北』と書かれたプラカードを持って行進しなければならない。中国がこれを政治宣伝に利用することを、台湾当局は強く警戒しているとみられる」と報じている。

 2008年の北京夏季オリンピックでも、台湾は「中華台北」で参加している。しかし、産経新聞が報じているように「中国は主催国として『台湾は中国の一部だ』とする一方的な主張から漢字表記を変更した」のだ。

 国際オリンピック委員会(IOC)は、どうしてこのような中国の政治的主張に基づく台湾の参加名称変更を黙認しているのだろう。

 それなら、昨年、日本で開催した2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会でも、英語名称は「チャイニーズ・タイペイ」で致し方ないとしても、主催国として「日本では『台湾』と呼んでいるので、参加名称の漢字表記は『台湾』とする」と表明してもよかったのではないか。少なくとも、IOCは今回の中国の措置を容認したようなので、同じ理屈からすれば、漢字を使う日本としての独自表記が可能であることを示しているように思われる。

—————————————————————————————–北京五輪 台湾 開閉会式に不参加 「中国台北」表記に不満か【産経新聞:2022年1月30日】

 【台北=矢板明夫】台湾教育部(教育省に相当)は新型コロナウイルス感染対策を理由に、2月4日に開幕する北京冬季五輪をめぐって、開会式と閉会式には選手団を参加させない方針を決めた。中国が一方的に打ち出した台湾選手団の漢字表記「中国台北」への不満が背景にある。事実上の開会式と閉会式のボイコットとの見方もある。選手は予定通り競技出場する。

 問題になったのは、台湾代表の漢字による表記。国際オリンピック委員会(IOC)では、台湾の名義を英語による表記で「チャイニーズ・タイペイ」としている。漢字の表示はこれまで「中華台北」とされ、昨年の東京五輪などでも踏襲された。だが中国は主催国として「台湾は中国の一部だ」とする一方的な主張から漢字表記を変更した。

 IOC正式メンバーの台湾は従来、中国側との摩擦は避けるため、「チャイニーズ・タイペイ」「中華台北」との呼称を受け入れつつ選手団は派遣するとの現実的対応をとってきた。

 だが「チャイニーズ・タイペイ」の漢字表記を「中国台北」にされると、中国が主権を握る香港の呼称である「中国香港」と横並びになってしまう。「中国の一部である台湾」と受け止められかねないからだ。

 さらに、開会式と閉会式に出席すれば、台湾選手団が「中国台北」と書かれたプラカードを持って行進しなければならない。中国がこれを政治宣伝に利用することを、台湾当局は強く警戒しているとみられる。

 2008年の北京夏季五輪の際は、対中融和策を進めていた中国国民党が台湾で政権与党だった。当時は関係が比較的良好で、中国側は「中華台北」の呼称を認めた経緯がある。しかし今回は、中国とは距離を置く民主進歩党が政権与党であり、中国当局は呼称問題で譲らなかったようだ。

 台湾大手紙のスポーツ担当記者によると、北京冬季五輪への台湾選手団は計15人。その大半は開会式後に北京入りし、閉会式よりも前に北京を出る日程。新型コロナの感染リスク低減が主な理由となっている。

 北京冬季五輪の参加をめぐっては、野党の時代力量を中心に、台湾当局にボイコットを含む厳しい対応を求める決議案が昨年秋に出され、28日に可決されるなど反発が渦巻いていた。

 決議案作成にかかわった台湾の人権活動家、楊憲宏氏は取材に対し、「中国は台湾を矮小(わいしょう)化するためスポーツを政治利用し、さまざまな工作をしてきた。五輪期間中、台湾選手に『台湾は中国の一部』と強引に言わせるなど、嫌がらせする恐れもある」と話した。

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