去る9月22日、米国は2011年3月の東日本大震災より続いていた日本食品の輸入規制を撤廃し、EUも10月10日より輸入規制を大幅に緩和し、「放射性物質検査証明書の発行枚数はゼロになり、産地証明書の発行枚数は7割程度削減される見通し」(農水省)となるそうです。
米国の撤廃により、東日本大震災直後は55の国・地域が輸入規制したそうですが、14か国・地域に減少するそうです。
農林水産省が9月21日にEU、9月22日に米国の発表を伝えていますので下記にご紹介します。
環太平洋経済連携協定(TPP)へ加入申請した中国は10都県の多くの食品の輸入を禁止したままですし、台湾も福島県など5県産品(酒を除く)の輸入を禁止しています。米国が撤廃しEUが大幅緩和したのですから、他国にできないはずがありません。特に台湾には頑張って欲しいところです。
—————————————————————————————–米国による日本産食品の輸入規制の撤廃について(東日本大震災関連)
令和3年9月22日 農林水産省
〜9月22日に米国による日本産食品の輸入規制が撤廃されました〜
東京電力福島第一原子力発電所の事故発生時より続いていた、米国による日本産食品の輸入規制が9月22日(水曜日)に撤廃されました。
1.米国の規制の撤廃の内容
(1)9月22日(水曜日)(現地時間9月21日(火曜日)に、米国食品医薬品局(FDA)により、東京電力福島第一原子 力発電所の事故発生時より続いていた日本産食品の輸入規制が科学的根拠に基づいて撤廃されたことが発表され ました。
(参考)米国食品医薬局(FDA)プレスリリース https://www.fda.gov/news-events/public-health-focus/fda-response-fukushima-daiichi-nuclear-power-facility-incident
(2)これまで米国は、福島県産のコメや原木シイタケなどについて輸入停止措置を講じていましたが、9月22日(水 曜日)から輸出が可能となりました。
(9月22日一部修正)
2.米国は第3位の日本産農林水産物・食品の輸出相手国
(1)米国は我が国にとって第3位の日本産農林水産物・食品の輸出相手国であり、2020年の輸出額は1,188億円になり ます。
(2)農林水産物食品の輸出額を2025年に2兆円、2030年に5兆円に増加させる目標を達成する上で、米国向けの輸出拡 大は欠かせません。
(3)今回の規制撤廃を機に、マーケットインの発想に基づき、米国における農林水産物・食品の輸出促進にも一層取 り組んでまいります。
3.これまでの米国への働きかけ
(1)3月に野上農林水産大臣からビルサック米国農務長官に対して、また、4月に行われた日米首脳会談において、菅 総理大臣からバイデン大統領に対して規制の撤廃の働きかけを行い、その後もFDAと農林水産省・厚生労働省との 間で科学的根拠に基づき協議を継続した結果、今回の菅総理大臣の訪米に当たり、米国の規制の撤廃が発表されま した。
(2)なお、旧食料産業局の規制交渉担当と旧国際部の地域担当が本年7月に輸出・国際局に再編されてから、初となる 日本産食品に係る放射性物質輸入規制の撤廃となります。
(9月22日一部修正)
4.各国・地域の輸入規制の状況
(1)2011年の福島第一原子力発電所の事故後、55の国・地域が輸入規制を導入しましたが、今回の米国の規制撤廃によ り、14か国・地域に減少します。
(2)今年は東日本大震災から10年目を迎えましたが、まだ輸入規制を設けている国・地域があることから、引き続き、 政府一体となって、粘り強く規制撤廃に向けて働きかけを行ってまいります。
上記規制の撤廃を含む諸外国・地域の規制内容は、以下の農林水産省のウェブページに掲載しています。
「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う諸外国・地域の輸入規制への対応」 https://www.maff.go.jp/j/export/e_info/hukushima_kakukokukensa.html
(参考1)米国の輸入規制措置の概要(撤廃前) https://www.maff.go.jp/j/export/e_shoumei/pdf/sum_usa.pdf(PDF : 182KB)
(参考2)米国の輸入規制措置の撤廃 https://www.maff.go.jp/j/press/yusyutu_kokusai/chiiki/attach/pdf/210922-2.pdf(PDF : 308KB)
(参考3)2020年米国向け食品・農林水産物の輸出額(出典:財務省貿易統計) 1,188億円(アルコール飲料、ぶり、緑茶他)、世界第3位
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EUによる日本産食品の輸入規制の緩和について (東日本大震災関連)
令和3年9月21日 農林水産省
〜10月10日よりEUによる日本産食品の輸入規制が緩和されます〜
9月20日(月曜日)(現地時間)に新しいEU規則が公表され、東京電力福島第一原子力発電所の事故発生時より続いている、EUによる日本産食品の輸入規制が10月10日(日曜日)に大幅に緩和されることとなります。
1.EUの規制の緩和の内容
(1)現地時間9月20日(月曜日)に、EUにより、日本産食品の輸入規制に関するEU規則の改正が公表され、10月10日 (日曜日)以降、日本産食品の輸入規制が緩和されることとなります。
(2)今回の改正により、放射性物質検査証明の対象品目が限定され、これまで「栽培された」きのこ類等をEUに輸出 するために必要とされた放射性物質検査証明書や産地証明書の発行が不要となります。
(3)これにより、過去の貿易実績に照らすと、(ア)放射性物質検査証明書の発行枚数はゼロになり、(イ)産地証明書 の発行枚数は7割程度削減される見通しであり、大幅な緩和が実現することとなります。
【参考EUの規制による証明書の発行実績(2020年1月から12月まで)】
放射性物質検査証明書 14件 産地証明書 1,502件
2.EUは日本産農林水産物・食品の重要な輸出市場
(1)EU向けの2020年の輸出額は488億円と、我が国にとって重要な日本産農林水産物・食品の輸出市場です。加えて、 アイスランド、ノルウェー、スイス、リヒテンシュタイン(EFTA)4ヶ国等がEU規則を準用しており、EUの規則の 見直しはこれら4ヶ国等にも影響します。
(2)農林水産物・食品の輸出額を2025年に2兆円、2030年に5兆円に増加させる目標を達成する上で、EUにおけるマー ケットの拡大は欠かせません。
(3)今回の規制緩和を機に、マーケットインの発想に基づき、EUにおける農林水産物・食品の輸出促進にも積極的に 取り組んでまいります。
3.これまでのEUへの働きかけ
(1)7月の国連食料システムサミットのプレサミットの機会を活用して野上大臣からキリアキデスEU保健衛生・食品 安全担当委員、ヴォイチェホフスキEU農業担当委員に働きかけるなど、これまでEU及びEU加盟国に対して度重な る働きかけを行ってまいりました。
(2)なお、旧食料産業局の規制交渉担当と旧国際部の地域担当が本年7月に輸出・国際局に再編されてから、初とな る日本産食品に係る放射性物質輸入規制の緩和となります。
4.各国・地域の輸入規制の状況
(1)2011年の原発事故後、55の国・地域が輸入規制を導入しましたが、これまでの働きかけにより、規制を維持する のは15か国・地域となっています。
(2)今年は東日本大震災から10年目を迎えましたが、EUを含め、輸入規制を設けている国・地域があることから、引 き続き政府一体となって、粘り強く規制撤廃に向けて働きかけを行ってまいります。 上記規制の撤廃を含む諸外 国・地域の規制内容は、以下の農林水産省のウェブページに掲載しています。
「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う諸外国・地域の輸入規制への対応」 https://www.maff.go.jp/j/export/e_info/hukushima_kakukokukensa.html
(参考1)EUの輸入規制措置の概要(緩和前) https://www.maff.go.jp/j/export/e_shoumei/pdf/sum_eu.pdf
(参考2)EUの輸入規制措置の概要(緩和後) https://www.maff.go.jp/j/export/e_shoumei/oshirase/europe.html#eu
(参考3)2020年EU向け食品・農林水産物の輸出額(出典:財務省貿易統計) 488億円(アルコール飲料、ソース混合調味料、緑茶他)
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