一方、嘉義農林が決勝戦で敗れた愛知県の中京商と、その戦いを再現する交流試合を両校の流れをくむ嘉義大学と中京大学の野球部が続けていて、8月5日に開幕する第100回全国高校野球選手権直前の8月2日と3日、今年も愛知県内で対戦するという。朝日新聞が伝えているのでご紹介したい。
ちなみに、世界大学野球選手権大会が嘉義市立野球場で7月6日に開幕し、15日まで行われる。大会には地元の台湾はもちろん日本、米国、ロシア、香港、韓国、チェコ、オーストラリアの8チームが出場するという。
高野連は「記念大会は過去100年間に出場したすべての学校関係者に祝福されて成功させねばならない」としているそうだが、朝日新聞の記事によれば「嘉義大の関係者も球場に出かけて式典を見守る予定だ」と報じており、高野連からの呼びかけはなかったようだ。
台湾で世界大学野球選手権大会が開かれ、台湾の高校野球のレベルは相当高く、日本の全国高校野球選手権と同じ趣旨の大会が毎年開かれているにもかかわらず、記念すべき100回大会で高野連がなんのアクションも起こさないというのは誠に残念だ。
————————————————————————————-「KANO対中京商」今年も 1931年甲子園決勝の縁【朝日新聞:2018年7月4日】http://news.livedoor.com/article/detail/14962432/
今年で第100回を迎える全国高校野球選手権で、1931年に日本統治下だった台湾から出場した嘉義農林は、台湾勢としては最高の準優勝を果たした。
決勝で敗れた相手は愛知県の中京商だった。その戦いを再現する交流試合を、両校の流れをくむ嘉義大学と中京大学の野球部が続けており、今年も8月に愛知県内で対戦する。
交流試合のきっかけは、「嘉農」と呼ばれた嘉義農林の野球部を描いた台湾映画「KANO〜1931海の向こうの甲子園〜」が2014年に制作されたことだった。台湾で3億台湾ドル(約10億円)以上の興行収入を記録。日本でも上映され、80年以上前の歴史が再発見された。
嘉義農林は戦後、幾度かの再編を経て嘉義大になり、一方の中京商は中京大付属中京高に。嘉義側に合わせて、中京大が両校の友好提携を申し込み、16年から試合が始まった。
台湾南部の嘉義市にある嘉義大は、台湾の大学野球のランキングで例年10位前後に位置している。中京大は今年、愛知大学野球で39回目の優勝を果たすなど地元の名門校だ。交流試合は16年に愛知、17年に嘉義で計5回の対戦を行い、通算成績は中京大の4勝。今年は8月2、3日に愛知で2試合を予定している。
嘉義大の鍾宇政監督は「甲子園出場は私たちにとっては名誉な歴史。試合は勝負よりも交流を重視したい」と話す。当時の嘉義農林は日本人と漢民族系の台湾人、台湾の先住民の混成チームとして知られた。現在の嘉義大のチームも先住民の学生が3分の1を占める。
中京大の半田卓也監督は「嘉義大の選手は体が大きくバッティングが良い。チームの雰囲気が明るいのが印象的」と話す。試合後の交流会では、嘉義大の選手が民族舞踊を披露したという。
交流試合の後、8月5日に第100回記念大会が甲子園球場で開幕する。嘉義大の関係者も球場に出かけて式典を見守る予定だ。(嘉義=西本秀)