【ニュース解説】「台湾独立」こそ中国への対抗策 – 台湾とブルキナファソの正式な断交に関する総統の談話

「台湾の声」【ニュース解説】「台湾独立」こそ中国への対抗策

台湾とブルキナファソの正式な断交に関する総統の談話

我が方とブルキナファソの正式な断交に関する総統の談話
「中華民国」107年(2018年)5月24日

翻訳・解説・註:台湾の声編集部 多田恵 2018.5.27 22:00

解説:

 この声明の注目点は、台湾のことを「中華民国」ではなく台湾と呼び、中国を「大陸」ではなく「中国」と正しく呼んでいる点である。

 4月20日、蔡英文総統が外交関係のあるスワジランドの独立50周年記念式典に出席した際、国王・ムスワティ3世が「エスワティニ王国」への国名変更を宣言した。同行のメディアから「台湾も同様の問題に直面している」と話を差し向けられた蔡総統は「私たちは今ははっきり分かっているのではないでしょうか。みんながこのように呼んでいて、私の態度もなんら変わっていない」と答えていた。

 5月17日、立法院外交委員会で、呉釗燮(ご・しょうしょう)外交部長(2月に就任)が、中華人民共和国を「中国」と呼ぶと答弁した。

 今回の、「中華民国」とブルキナファソとの断交に関して、米国国務省の報道官は台湾の『自由時報』に対し、「中国が現状を変更している」と指摘している。

 これまで蔡英文総統は「現状維持」を唱え、中国に対し善意を示していたが、現状を変えようとしているのが中国であることが国際的に明らかになるのを待って、「台湾独立」へ舵を切った。

本文:

 蔡英文総統は24日夜、我が方とブルキナファソの正式な断交について、重要な談話を発表した。その全文は次の通りである。

 本日、我々はブルキナファソと正式に断交した。先日のドミニカ共和国との断交を含む、中国の我が国に対する、一連の外交的な圧力は、中国の不安と自信の欠如を充分に示すものである。そしてこのような不安、および自信の欠如は、この間に、台湾が米国をはじめ価値観の近い国と、経済および安全面で実質的な関係をさらに多く進展させていることに由来するものである〔註1〕。

 中国の圧力は、軍用機の台湾周回飛行であれ、外交関係のある国の切り崩しであれ、国際企業に対し我が国の名称を変えるよう迫ることであれ〔註2〕、世界保健機関を含む国際組織への台湾の参与を阻むことであれ〔註3〕、さらには、他の国の民間の子どもの絵画の活動すら乱暴な政治的嫌がらせを受けている〔註4〕。

 その行為が横暴であればあるほど、国際社会の反感を掻き立て、彼らの台湾への支持を強化するのである。今回の世界保健機関年次総会で、有史以来最多の国家からの声援を得たことこそ、その明らかな傍証である。

 私は国民同胞に告げる。これら我が国の主権を無くそうとする中国の横暴な行いは、すでに台湾社会の最後の一線に挑戦するものであり、われわれはこれ以上、我慢して譲ることはなく、
ただ決心を一層固め、引き続き世界へ向かって歩み続け、引き続き価値観の近い国と、経済および安全面で実質的な関係をさらに多く打ち立て、国際社会からの理解と支持を勝ち取ろうとするものである。

 私はまた中国政府に告げる。これらの行いは両岸関係の助けとならず、中国の国際的イメージの助けとならず、さらに国際社会の中国に対する疑念を晴らす助けにもならない。

 台湾と国際社会の各方面における実質的関係の進展に直面し、中国が台湾に対し国際的に圧力をかけることは、予測できることである。国際的なパートナーが長期にわたって国際的に台湾との実質的な関係を深め続けたことについて、我々は心から感謝する。我々は約束する。これらの実質的関係は、ただ強化を続けるのみで、決して怯(ひる)むことはない。

 私はまたここにおいて、あらためて述べる。台湾は中国と金銭外交の競争は行わない。しかし、台湾の側に共に立つことを堅持する友邦には、台湾人民は心から感謝し、彼らの各方面における発展を必ず全力で手助けするものである。中国が金銭外交を弄し、巨額の金銭を約束して、多くの国家を抱き込んでいる。こういった手法は、すでに国際社会をして、中国の不当な干渉への不満を深めさせ、その自信の欠如を疑わしめている。

 私は、再び述べる。
中国の圧力は、台湾と国際社会のパートナーシップを一層緊密にさせるだけであり、我々は決して怯まない。

行政院長・頼清徳、総統府秘書長・陳菊、国家安全会議秘書長・李大維、外交部長・呉釗燮、行政院大陸委員会主任委員・陳明通もこの記者会見に同席した。

註1、「米下院、国防権限法を可決
軍高官の台湾への派遣促す」2018/05/25中央通訊社。また6月12日には、米国の窓口機関・米国在台協会が内湖の新しい事務所を開設し、海兵隊が警備を担当する。

註2、中国は4月25日、国際的な航空会社44社に対し、30日間の期限を切って、台湾のことを台湾ではなく「中国台湾」などとするよう要求した。“<中国>外国航空会社に圧力 「中国台湾」表記を要求”2018/5/26配信、毎日新聞記事。ただし、期限内に従ったのは18社であったので、「期限」を2ヶ月延長した。

註3、「WHO総会、23カ国が台湾を支持
中国大陸は虚偽の発言、外交部が厳重抗議」2018/05/24中央通訊社。蔡総統は、ブルキナファソを支援するために用意していた100万米ドルを世界保健機関に対しエボラ熱対策のため寄付すると発表した。“台湾、WHOに100万米ドル寄付
蔡総統「これが中国大陸との違い」”2018/05/26中央通訊社。

註4、「中華民国国旗塗りつぶし
開催した豪自治体、中国大陸の圧力認める/台湾」2018/05/16中央通訊社。


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