台湾の声編集部
先月初めにアジアを歴訪したトランプ米大統領が、共産党大会で権力掌握を固めた習近平中国国家主席から、紫禁城貸し切り、史上最高の2500億ドル(約28兆円)の契約取り決めなどの大歓待を受けてご満悦の様子が、メディアに大きく取り上げられたのは記憶に新しい。
その直後、習近平は、党大会の結果報告の名目で、党中央対外連絡部の宋濤部長を特使として北朝鮮に派遣するも、金正恩に面会を拒否される。宋濤が中国に戻った11月20日、トランプは北朝鮮をテロ支援国家に再認定、同21日には、北朝鮮の核開発に関わったとして北朝鮮と中国の企業13社を制裁すると発表した。
米国在住の亡命作家、陳破空氏はこの一連の動きについて、「ラジオ・フリー・アジア」(11月26日付)で興味深い指摘をしている。中国に宋濤を追い返した11月20日、金正恩は、自身の政権樹立の功労者である人民軍総政治局の黄炳誓局長と金元弘副局長を突如粛清しているが、陳氏はその理由として2つの可能性を挙げている。1つは、黄、金両氏が中国の言う通りにするよう進言して金正恩の逆鱗に触れた可能性、もう1つは、中国主導のクーデター計画に関与したことがばれた可能性である。
金正恩は親中派の叔父、張成沢を処刑した。中国の保護下にあった金正男も、VXガスで何者かに暗殺された。金正恩と習近平の間の怨念は根深く、修復は不可能と陳氏は言う。そして、党大会で権力を固め、トランプからの圧力を受け、ことごとく金正恩によって面子を潰されている習近平が、遅かれ早かれ対決行動に出るだろうと予測している。
陳氏はまた、著書『米中激突 戦争か取引か』(文藝春秋刊)で、中国が北朝鮮を支援しなければならないのは、一種の朝貢であると指摘している。周りの強い小国による侵略を恐れ、金銭を与えて安寧を得てきた中国の歴史の法則であるという。
北朝鮮と国境を接する吉林省の国営メディア「吉林日報」は12月6日、5面全面を使って、核攻撃から生き残る方法をイラスト入りで詳細に報じた(「ブルームバーグ」12月6日付)。
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