検討與展望」と題するシンポジウムを開催した。
第1部に登壇した羅福全・台湾安保協会名誉理事長は「台湾は独立主権国家であると国際社会に
宣言する」状況に来ており、それが「蔡英文総統の責任だ」と訴え、また、陳南天主席も「公的な
場で使われる呼称を『台湾』にする正名運動を積極的に展開する時期に来ている」との認識を示し
た。中央通信社が伝えているので下記にご紹介したい。
5月22日からジュネーブで開催される世界保健機関(WHO)年次総会(WHA)への台湾参加
を圧し潰そうとする中国の露骨な干渉に対して、「現状維持」を表明している蔡英文総統も堪忍袋
の緒が切れたようだ。
5月5日にインド、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイのメディアによ
る合同取材を受けた際、これまで中国を「中国大陸」や「海峡の対岸」と呼んできたにもかかわら
ず、新南向政策について述べたくだりでは「中国と競争するのではなく、この地域の一員として、
台湾が自身の優位性をもって互恵関係を発展させていくことだ」と発言したという(ただし、総統
府の報道では「中国大陸」と表記)。
これに対して中国政府の報道官は「われわれの両岸関係の問題についての態度は非常に明確だ。
世界にはただ一つの中国しかなく、大陸も台湾も一つの中国に属する。両岸関係は国と国の関係で
はない」(5月11日「Record China」)と噛みつき、あくまでも台湾は「中国の一部」であり、蔡
総統の発言は受け入れられないと主張した。
やはり台湾は、中国を刺激しまいとしていつまでも「中国大陸」や「大陸」、あるいは英語表記
で「Mainland China」などと使わず、はっきりと「中国」と呼ぶべき時期に来ているようだ。中央
通信社をはじめとした台湾メディアも、すでに自由時報が使っているように「中国大陸」ではなく
「中国」と表記すべきであろう。
同時に、米国と日本を後ろ盾として、亜東関係協会が「台湾日本関係協会」と名称を変更するこ
とでもあり、陳南天主席が主張するように公的な場において「台湾」と称する時期に来ている。そ
して、羅福全氏が指摘するように「台湾は独立主権国家であると国際社会に宣言」できるなら、そ
れに越したことはない。
台湾の独立主権国家宣言、蔡総統に求める=対日窓口機関元会長
【中央通信社:2017年5月15日】
(台北 15日 中央社)台湾の対日窓口機関、亜東関係協会の元会長で、台湾安保協会名誉理事長
の羅福全氏は15日、台湾の独立を目指す団体が開催した座談会に出席し、台湾は独立主権国家であ
ると国際社会に宣言することが蔡英文総統の責任だと訴えた。
羅氏は、中国大陸が一方的に主張する「一つの中国」をめぐる「92年コンセンサス」を蔡総統が
認めていないのを背景に、中国大陸側は国際社会において、一つの中国原則による台湾への脅迫が
できない状況にあると指摘。この1年間、「台湾は中国に属さない」ということは国際社会では公
認の事実になっているとし、足りないのは総統名義による世界に向けた宣言だけだと述べた。ま
た、中国大陸による主権侵害を阻止する反併合法の制定を提案した。
座談会を開催した台湾独立建国聯盟の陳南天主席は、蔡総統が掲げる両岸(台湾と中国大陸)の
「現状維持」に、中国大陸からの好意的な反応は得られておらず、反対に台湾の外交に圧力がかけ
られていると批判。公的な場で使われる呼称を「台湾」にする正名運動を積極的に展開する時期に
来ているとし、「国際社会や国際組織に参加し、国連に加盟する時が来た」と語った。
(呂欣ケイ/編集:名切千絵)