【産経記事】日台間の漁業ルールづくり再開へ 中台連携牽制も

【産経記事】日台間の漁業ルールづくり再開へ 中台連携牽制も
2012.11.20 産経新聞

 【台北=吉村剛史】沖縄県・尖閣諸島周辺海域の扱いが焦点となる日台漁業協議再開に向け、双方の窓口機関が今月末に東京での予備協議開催を目指し、最終調整していることが19日、日台の関係者の話で分かった。2009年2月以降中断し、尖閣諸島をめぐる一連の騒動で再開が先送りされてきた日台間の漁業のルールづくりが事実上再開することになる。

 関係者によると、予備協議開催は台湾側が強く要望。日本の衆院選での政権交代の可能性も考慮し、選挙後の漁業協議の本格再開を主眼に今月末を軸に調整中という。民間漁業取り決め締結へ向けた議題や論点整理が行われる見通しだ。

 協議は1996年8月から2009年2月まで、計16回の会合が開かれたが、双方の排他的経済水域(EEZ)が重なる部分の線引きをめぐって折り合わず、暗礁に乗り上げていた。

 台湾側が巨額の義援金を寄せた東日本大震災以降、再開機運が高まり、一時は10月初めの再開も見込まれたが、日本政府による尖閣国有化に対し、台湾漁民の抗議漁船団などが9月25日に尖閣の日本領海に侵入。再開は先送りされていた。

 協議では、台湾が主張してきた尖閣の「主権問題」について言及を避ける見通し。また、日台間の中間線から大きく日本側にはみ出した、台湾側が独自に主張する「暫定執法線」の扱いなどが焦点となる。

 日台間での民間漁業取り決めは、対中関係が冷え込む日本にとって、台湾との衝突の芽を摘み、尖閣を軸とした中台連携を牽制(けんせい)できる。また保守勢力や中国に配慮し、尖閣の「主権問題」で強硬な姿勢を示してきた台湾当局にも、対日関係を安定させれば、地域の安全の鍵となる対米関係の安定化につながるとのもくろみがある。


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