日本と「40年来最も良好」馬総統が就任式で強調 支持率低迷、厳しい船出
2012.5.21 産経新聞
【台北=吉村剛史】今年1月の台湾総統選で再選を果たした中国国民党の馬英九総統(61)の2期目の就任式が20日午前9時(日本時間同10時)、台北市の総統府で行われ、馬総統は「中華民国第13代総統」に就任。今後4年間の施政方針を表明する就任演説では、中台関係について「統一せず、独立せず、武力を行使せず」の三つのノー(三不)という従来の対中政策原則による現状維持の姿勢を改めて強調。「両岸(中台)は互いの統治権を否定できない」などとした。
30分余りの演説の中で馬総統は台湾について「われわれの家庭であり、われわれは一つの家族」と表現。中台関係について「『中華民国憲法』に従い処理する」と説明。
中台の政治的衝突を回避する「一つの中国」については「一中各表」(一つの中国を各自が示す)という台湾側の従来の原則を掲げ、「一つの中国とは中華民国」とし、「両岸(中台)は一つの中国の下で互いの統治権を否定できない」とした。
一方、前回2008年の演説で触れられなかった対日関係については、昨年の日台投資取り決めやオープンスカイ取り決めに触れ、「40年来最も良好な関係」と強調した。
馬総統は再選後、電気料金の値上げなどで支持率を大きく低下させ、野党による大規模な反政府抗議デモの中での船出となったが、「改革は必要で、今やらなければならない。市民とのコミュニケーションに努めるので、痛みに耐えてほしい」とした。
この日は、馬総統の再任とともに、呉敦義前行政院長(首相)が新たに副総統に就任した。