紹介が遅れましたが、去る2月27日、山岡淳一郎氏の新著『後藤新平−日本の羅針盤と
なった男』(草思社)が全国書店で発売された。今年は後藤新平生誕150年の節目の年(後
藤は1857年6月4日生まれ)、後藤新平の評価は近年高まりつつあるが、その決定打となる
本格評伝だ。
なった男』(草思社)が全国書店で発売された。今年は後藤新平生誕150年の節目の年(後
藤は1857年6月4日生まれ)、後藤新平の評価は近年高まりつつあるが、その決定打となる
本格評伝だ。
台湾については第3章「台湾統治」で扱っていて、児玉源太郎総督の下での後藤の辣腕
ぶりが余すところなく描かれている。阿片を専売として税収をはかりつつ殖民衛生の糧と
する妙策、行政改革として1080人の冗員整理、土匪(ゲリラ)対策、台湾銀行の設立、道
路と下水道の整備、二重所有を解消し地籍明確化による土地改革など、「極論すれば台湾
を本国の経済機構に巻き込むために『人間の命に値段をつける』作業の連続」(P174)を
手堅い筆致で描く。改めて後藤新平の卓越した行政手腕と構想力の壮大さを知ることがで
きる。
台湾取材では「黄昭堂氏、張炎憲氏、呉密察氏、黄俊明氏、蔡焜燦氏、陳文添氏らの貴
重なお話を聞くことができた」(あとがき)という。この一事をもってしても内容が察せ
られるであろう。一読をお奨めしたい。 (編集部)
■著者 山岡淳一郎
■書名 『後藤新平−日本の羅針盤となった男』
■版元 草思社
■定価 2,415円(税込)
http://www.soshisha.com/book_search/detail/1_4794215681.html