新刊『愛する日本の孫たちへ』の出版に携わって[福岡 永嶋直之]

歴史に埋もれさせてはならない台湾日本語族11名(蔡焜燦、許文龍、蔡徳本、李啄玉、
   陳絢暉、葉子成、許昭榮、黄茂己、郭振純、鐘紹雄、劉心心)の証言

新刊『愛する日本の孫たちへ−かつて日本人だった台湾日本語族の証言集1』(東京・桜
の花出版)の出版に携わって

                     福岡李登輝友の会・台湾研究会
                               事務局長 永嶋直之

 私は2003年11月に初めて訪台して李登輝前総統や蔡焜燦さんにお目にかかり、また、そ
の後は友愛グループの陣絢暉会長や鐘紹雄さんなど、いわゆる台湾日本語族の方々と親し
くさせていただくようになって、領台時代のことや蒋介石の白色テロの時代のことなどに
ついていろいろお話を伺って驚き、感動し、そして自分の無知に恥じ入りました。

 そのお話の中には、戦後の日本人が知らない、または知らされていない日本と台湾の歴
史がありました。私は、この日台の歴史に関わる、その時代を生き抜いてこられた人々の、
肉声による証言を歴史の狭間に埋もれさせてはいけない、この人々の生き様を、叫びを、
主張を、日本の若い世代に、後世に伝えたいとの思いから、台湾日本語族の方々の聞き書
き本の出版を企画しました。

 幸いにして、猪股幸子(筆名:猪股るー)という新進気鋭のフリーライターにめぐり合
うことができ、2004年の2月から2006年の7月までの間、四度の取材行によって11名の方々
の証言を記録することが出来ました。

 即ち、老台北の蔡焜燦さん、寄美実業のオーナー許文龍さん、『台湾のいもっ子』の著
者の蔡徳本さん、台湾川柳界の巨匠故李啄玉さん、友愛グループ会長の陳絢暉さん、退役
海軍軍人の葉子成さん、同じく退役海軍軍人の許昭榮さん、台湾高座会斗六会長の黄茂己
さん、火焼島OBの郭振純さん、同じく火焼島OBの鐘紹雄さん、そして紅一点劉心心さ
んの11名の方々です。 

 かなりの量の録音テープからの書き起こし作業は、戦後生まれの者にとって聞きなれな
い用語やら、やや癖のある言葉使いもあり、根気の要る作業でしたが、執筆担当の猪股幸
子はそれをよく聴き取り、一言一句正確に、語りの雰囲気までも再現したすばらしい文章
にまとめました。

 そして昨年秋に脱稿、本日16日に東京の桜の花出版より『愛する日本の孫たちへ〜 かつ
て日本人だった台湾日本語族の証言集1』として全国発売されました。

 私は、来月23日から、初対面にもかかわらず企画意図に快く賛同してくださり、要領の
悪い長時間のインタビューにお付き合いいただいた11名の方々にお礼を申し上げるために、
刷り上った本をもって訪台しますが、これに留まることなく一里塚として、気力と資力の
続く限り、一人でも多くの台湾日本語族の方々の証言を採録し手参りたいと思っています。

■書名 愛する日本の孫たちへ−かつて日本人だった台湾日本語族の証言集1
■著者 猪股るー
■版元 桜の花出版 http://www.sakuranohana.jp/
■発行 平成19年4月16日
■定価 1,575円(税込)



投稿日

カテゴリー:

投稿者: