【新刊紹介】金美齢著『夫婦純愛』 夫との最後の日々と波瀾万丈の夫婦愛物語

台湾に関心を持つ人で金美齢先生を知らない方はいないと言っても過言ではありませ
ん。金先生の夫君・周英明先生ががんで亡くなったのは昨年11月。台湾から東大大学院
に国費留学した周先生は超秀才。一方、活発でプレーガールだった金先生は、早大に留
学する。2人は日本で出会い、共に台湾独立運動に加わり、互いを認め合って結婚。

 しかし、その独立運動のためにパスポートの更新ができず、2人は政治難民に。それで
も2人は多くの難題を金先生の負けん気と周先生の論理的頑固さで乗り越えてきた。医者
嫌いの周先生は一昨年春、末期の大腸がんとわかり、1年半の闘病の後、家族に囲まれて
旅立った。金美齢先生がしっとり綴る夫との最後の日々と波瀾万丈の夫婦愛物語。

 今どき「純愛」は珍しい。だから本書は次のように結ばれる。
「純愛の二文字にふさわしいのは夫であって私ではない。私は常に自分が最優先であっ
た。それでも私たちは幸せな家庭を築いてきたといえる。それはすべて彼の純愛がもた
らしてくれたものである。『ありがとう。あなたと出会ったから、私たちの家族の幸せ
があります。』」                          (編集部)

■著者 金 美齢
■書名 夫婦純愛
■発行 小学館
■定価 1,365円(税込)

http://skygarden.shogakukan.co.jp/skygarden/owa/solrenew_detail?isbn=9784093877473

【10月27日付 産経新聞「産経抄」】
▼歯切れのいい論評で知られる金美齢さんが『夫婦純愛』(小学館)という本を上梓
(じょうし)された。1年前に先だたれた夫の周英明さんの思い出を描いたものだ。40年
以上も支え合った「純愛」がほのぼのとして伝わってくる。夫婦の絆についても考えさ
せる。▼お二人を結びつけたのは「留学」だった。台湾から日本にきている留学生組織
の幹事役の選挙で、金さんが周さんに投票したのがきっかけだという。留学して台湾独
立派に傾いていた金さんが、周さんのことをやはり独立派シンパと感じ取ったためだっ
た。▼たかが留学生の幹事選びではなかった。当時、独立派は国民党政府から厳しい監
視を受けていた。そうした中で日本への留学生たちは密(ひそ)かに独立運動を行って
おり、選挙もその舞台であった。言ってみれば、若い留学生二人が「同志」的に近づい
ていったのである。▼台湾だけでなく、かつて「留学」は重い意味を持ち、ドラマを生
んだ。明治4年「岩倉使節団」とともに海を渡った留学生たちは、明治の国づくりとい
う重責を担っていた。孫文による中国の辛亥革命では、日本に留学してきていた中国人
たちが大きな役割を果たしている。(以降略)



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