念館」と正名したが、中国国民党に政権が復したことでまた「中正紀念堂」に複名される
ことが1月13日に立法院で正式に決まった。おぞましい「蒋介石神話の復活」だ。台湾の
民主化が停滞していることを象徴する事例として、日本人の記憶にも深く留めたい。
なお、蒋中正、すなわち蒋介石については日本でも未だに「天皇制を護持してくれた」
「対日賠償を放棄してくれた」「支那から100万の日本人将兵を無事に送還してくれた」
「米ソによる日本分割を喰い止めた」などの「蒋介石神話」を信じている向きがある。
これは権力によって作られた意図的な「神話」以外のなにものでもない。台湾で1947年
に起こった「2・28事件」についても、すでに台湾総統府の歴史研究機関「国史館」が
「事件の元凶は蒋介石」とする報告書を公表している。
これらについては本会ホームページで、黄昭堂・台湾独立建国聯盟主席の「日本人を感
激させた蒋介石発言『以徳報怨』の背景」や宗像隆幸・アジア安保フォーラム幹事の「蒋
介石神話の創造」などを「蒋介石神話の嘘」というコーナーで紹介している。
また、黄文雄氏は『蒋介石神話の嘘』(明成社、平成20年3月刊)で、中国と台湾を支
配した独裁者の虚像と実像を詳しく描いている。その誕生から日本の陸軍士官学校入学の
ウソ(田母神俊雄・前航空幕僚長には論文を発表する前に読んでいただきたかった!)、
日本軍より味方の損害が大きかった黄河決壊作戦の真相、台湾に落ち延びてから等々。蒋
介石「神話」から目覚めるための、台湾関係者には必読の一書だ。ぜひご一読いただきた
い。
(メルマガ「日台共栄」編集長 柚原 正敬)
■本会ホームページ 蒋介石神話の嘘
http://www.ritouki.jp/uso.html
■黄文雄『蒋介石神話の嘘』
http://www.meiseisha.com/index.htm
*明成社編集部有志のブログも必見! 思わずクスリ、です。
台湾:蒋介石復権、「中正紀念堂」に戻す
【1月15日 毎日新聞・夕刊】
【台北・庄司哲也】台湾立法院(国会)は13日、台北市中心部にある「台湾民主紀念館」
を、元の名称の「中正紀念堂」に戻すことを賛成多数で可決した。「中正」は、蒋介石元
総統の本名で、陳水扁前政権が進めた蒋元総統の威光を排除する政策で07年5月に現在の
名称に変更された。しかし、馬英九政権の誕生で、蒋元総統が率いた国民党が政権奪還を
果たし、名称が戻されることになった。
同施設は蒋元総統の死去後の80年に完成。内部には蒋元総統の巨大な銅像が鎮座して
いる。観光スポットにもなっており、日本からのツアーにも必ず組み入れられている。07
年の変更の際には当時、野党だった国民党が激しく反発し、政治問題化していた。