年を迎えた昨日(9月29日)、日中間で“慣例”となっていた両国首相間の祝電交換も見送
られたという。未だに中国国内は不穏な状態が続いており、北京の日本大使館前では武装
警官らによる警備が続いているという。
このような状況を受け、安全を確保できないとして、長崎県の県立高校6校がすべて中国
への修学旅行を中止するなど、日本から中国への修学旅行が次々と中止されている。MS
N産経ニュースがそのことを伝えているので下記に紹介したい。
神奈川県藤沢市の藤嶺学園藤沢高校は上海市と杭州市への修学旅行を北海道に変更した
(9月21日付「読売新聞」)と伝えられているが、産経の記事では、中国から台湾に変更し
た高校として、埼玉県の早稲田大学本庄高等学院や神奈川県の私立白鵬女子高校が紹介さ
れている。台湾に変更したケースとしては、その他にも広島県福山市の銀河学院高があ
る。
栃木県では「11月に台湾への修学旅行を予定する佐野高は、尖閣諸島問題が台湾に飛び
火していないか慎重に情報収集している」(9月19日付「下野新聞」)という。
ただし、埼玉県では「県教育局によると、本年度に修学旅行で中国へ行く小・中学校、
県立高校はなく、県立高校では4校が台湾へ行く予定だが、影響は出ていないという」(9
月19日付「埼玉新聞」)と伝えているように、また本誌でも台湾の状況をお伝えしたよう
に、台湾国内では尖閣の影響はまったく出ていないと言ってよい。
全国有数の進学校として知られる東京の私立麻布高校も台湾への修学旅行を予定、なん
ら変更は考えていないという。東日本大震災への台湾からの支援に感激した生徒たちが、
自発的に台湾への修学旅行を決定したと漏れ聞く。
「反日」怖い…修学旅行先、中国敬遠広がる
【MSN産経ニュース:2012年9月29日】
尖閣諸島(沖縄県)の国有化をめぐる中国での反日感情の高まりを受け、修学旅行シー
ズンを迎えた国内の高校が、中国への渡航を取りやめる動きが広がっている。一部が暴徒
化し、日系企業などを襲撃したデモは沈静化したものの、「怖い」「何かあったら…」と
いった不安は根強い。変更した先が、25日に漁船団が尖閣沖に押し寄せた台湾だったケー
スもあり、保護者や生徒に困惑が広がる。
■保護者も「不安」
中国、韓国、台湾の3コースを設定し、生徒の選択式としていた早稲田大学本庄高等学院
(埼玉県)は来月2日の出発を目前に急遽、中国行きのコースだけを中止。希望していた3
年生55人を台湾コースに振り向けることを決めた。
「このまま行って大丈夫か」との保護者の声があったためで、保護者らに説明したとこ
ろ、53人は台湾行きに同意したが、1人は参加を辞退。もう1人は「健康上の理由」か
ら、韓国コースへの変更を希望した。
私立白鵬女子高校(横浜市)も11月予定の中国行きの中止を決定し、台湾に渡航先を変
更。ところが、25日に台湾の漁船団約40隻が尖閣沖の領海に侵入すると、再び保護者から
「何かあったらどうするのか」との声が噴出。今後、渡航先などを再度検討する。
尖閣諸島のある沖縄県石垣市の県立八重山商工高校も「危険な場所に生徒を行かせるこ
とはできない」と来年3月の中国行きを中止。参加予定は2年生の14人で、中国語の勉強の
ため、ホームステイなどを行う予定だった。台湾への変更も模索したが、「反日デモが台
湾にも波及する恐れがあるので…」(仲宗根勝教頭)と決断は難しく、英語圏への変更も
視野に検討を進めるという。
■教委もドタバタ
対中貿易など歴史的に関係の深い長崎県は、県立6校が中国行きを予定。県教委が、現地
の様子の聞き取り調査を行い、各校長と緊急会議を開くなどして対応を検討した結果、6校
すべてが渡航中止を決定。担当者は「中国との交流は続けたいが、今は生徒の安全が第一
だ」と話す。
また、東京都教委も各校の修学旅行の状況を調査。中国に行く都立校はなかったが、竹
島をめぐる対立が続く韓国と、台湾への渡航が各3校あったため、それぞれに安全確保を
徹底するよう通知した。
■「2年前より中止多い」
文部科学省によると、今月21日時点で、中国行きを予定していた19校のうち、7校がすで
に取りやめを決定。4校が中止、1校が延期、2校は行き先を台湾や国内に変更したという。
修学旅行で海外に行く学校は、文科省に出発30日前までの届け出が義務づけられている
が、今回は届け出前に取りやめたケースもあり、キャンセルは全国で数十校に上る可能性
がある。
文科省国際教育課では「2年前の中国漁船衝突事件でも中止する学校はあったが、これほ
ど相次ぐのは初めて。台湾や韓国に比べ、リスクが高いと判断した学校が多いのではない
か」としている。