【産経新聞:平成25(2013)年1月26日】
【台北=吉村剛史】沖縄県・尖閣諸島への主権を主張する台湾の抗議船と巡視船が尖閣沖
の接続水域に一時侵入した問題で、台湾当局が日米両国に対し、抗議船の出港を認めると
事前通告していたことが25日、分かった。こうした事前通告は初めて。尖閣での中台“共
闘”を演出しようとする中国に対し、統一工作の一環とみて警戒する台湾側のジレンマが
うかがえる。
台湾当局の幹部らが明らかにしたところによると、事前通告は「中華民国(台湾)は自
由民主国家であり、法律上の問題がなければ遊漁船の出港を阻止できない」とする内容。
台湾は尖閣への主権を主張する一方、尖閣で「大陸(中国)とは連携しない」との立
場。事前通告は、尖閣を「固有の領土」とする台湾の立場を弱めかねないものの、日米に
背景を説明することで、共闘という誤ったイメージが広がるのを防ぐとともに、抗議船出
港の悪影響を最小限に抑えようとしたとみられる。
今回、台湾の抗議船が接続水域に入った際、中国の海洋監視船が近づいてきたが、台湾
の巡視船は電光掲示板で「中華民国の海域から直ちに離れよ」と警告、中台連携と受け取
られないように注意している。