「伊万里市台湾経済交流訪問団」として基隆市、新北市、台北市などを訪問、26日は「台
湾の景徳鎮」と呼ばれる陶芸の町、新北市鴬歌区を訪ねて焼き物交流を行った。
伊万里焼で有名な伊万里市のこの訪台団には地元の陶磁器関係者も多く「鴬歌と協力し
合い共同で成果を上げていきたい」と伝えると、鴬歌側も「大いに相互交流が可能だ」と
応えたことを台湾メディアが伝えている。
日台の自治体がその特性を生かした交流が長続きすることは温泉交流などですでに証明
済みだが、これまで日台間で焼き物交流をしている例は寡聞にして知らない。歌手の坂本
九の故郷で、笠間焼で有名な茨城県の笠間市が新北市の鴬歌と交流したいと言っていたこ
とを漏れ聞く程度だ。
佐賀県の古川康(ふるかわ・やすし)知事が観光キャンペーンを展開するために台湾を
訪問したのは、その数日前の11月21日。首長に関心がなければ日台の自治体交流は難し
い。佐賀県そのものが台湾に目を向けはじめた中で、伊万里市と鴬歌が陶芸の町同士で交
流が深まることを期待したい。
伊万里と鴬歌、焼き物の町同士で日台交流
【中央通信社:2013年11月27日】
(台北 27日 中央社)伊万里焼で有名な佐賀県伊万里市の塚部芳和市長ら地元の陶磁器
関係者からなる代表団は26日、こちらも台湾の焼き物の産地として名高い新北市鴬歌区を
訪れ、洪見文区長を訪問した。27日付け中国時報が伝えた。
一行は台湾の業者と市場調査や経済交流について懇談した後、塚部市長に洪区長から台
湾桜鱒をレリーフした記念の磁器プレートが贈られ、鴬歌と伊万里が協力し合い共同で成
果を上げていきたいとした。
塚部市長は、伊万里は九州北部の佐賀県に位置し、古くより伊万里焼や鍋島焼などがも
てはやされ幕府や朝廷へも献上されてきたと同市の伝統を誇った。
これに対して洪区長は、台湾の鴬歌は人口も面積も伊万里市と同規模の、同じく陶芸で
有名な町で、鴬歌陶瓷博物館には年間140万人の入場者が、鴬歌の陶磁器街(陶瓷老街)に
は60万人の観光客が訪れているとし、産業文化面で大いに相互交流が可能だと強調した。
このほか参加者からは、日台の陶磁器産業は中国大陸の低価格な製品との競争を余儀な
くされており、陶磁器と観光と結びつけたり、デザインやブランド化に力を入れ、絵付け
や釉薬などを工夫し新しい焼き物を創り出すことで競争力をつけていかなければならない
などの意見が出た。
(編集:谷口一康)