月10日、谷垣禎一法務大臣にこの第9期の署名用紙とともに「台湾出身者の戸籍表記是正を
求める要望書」を送達しました。ここにその全文をご紹介します。
ちなみに、これまでの署名総数は3万4,289名(第1期:15,604名、第2期:11,105名、第3
期:1,228名、第4期:1,296名、第5期:2,592名、第6期:570名、第7期:790名、第8期:
752名、第9期:352名)となっています。
実は昨年、台湾の大学を卒業した台北市内に住む知人が台湾人女性とめでたく結婚し、
これぞ「日台共栄」と本人も喜び台湾の友人たちもお祝いしました。ところが、日本で婚
姻届けを出すと、「配偶者の国籍」が「中国」とされたので驚いたそうです。
そこで「僕の妻は台湾人で中国人ではない」と役所に掛け合ってみましたが、「中国」
という国籍を認めなければ戸籍は作れないと言われ、戸籍を作れなければ内縁関係となっ
てしまい、結婚した証となりませんので、泣く泣く受け入れたそうです。
さらに今度はその知人に子供が生まれ、日本で出生届けを出すと、子供の「出生地」が
「中国台湾省台北市」とされていたのでまたまたビックリ。知人は「役所と掛け合っても
無駄だし、子供を戸籍に入れないわけにもいきませんから何も言いいませんでしたけれ
ど、台湾では台湾省が凍結され、車のナンバーからも台湾省が消えているというのに、ど
うして日本では台湾省が生きているんですかね」と不思議がっていました。
そこで、知人に日本の戸籍事情を説明すると、今度は「入国管理局も民事局も同じ法務
省なのにどうなってんですかね」と、まったく納得のいかない様子でした。
同じ法務省なのに、入国管理局が担当する在留カードでは、台湾出身者は「台湾」と記
され、戸籍を担当する民事局では「中国」とされる現状は、どう考えても異常です。配偶
者や子供を人質にした、法務省民事局によるこのような「中国」表記の強制はすぐに止め
させなければなりません。
本会では一刻も早く戸籍問題を解決するため、引き続き署名活動を行い、日本人や台湾
人の声を法務大臣に届けてまいります。ご協力のほどよろしくお願いします。
台湾出身者の戸籍表記是正を求める要望書
私ども日本李登輝友の会は、文化交流を主とした日本と台湾の新しい関係を構築するこ
とを目的として活動している民間団体です。
法務省はこれまで、台湾出身者が日本人と結婚したり帰化した場合、戸籍の国籍や出生
地を「中国」や「中国台湾省」と表記してきました。中国とは中華人民共和国のことであ
り、中国台湾省とは中華人民共和国の行政区を指します。即ち、台湾出身者を中国人とし
ているのが現在の戸籍制度です。
戸籍において、台湾出身者の国籍を「中国」としたのは、昭和39(1964)年6月19日付で
出された法務省民事局長による「中華民国の国籍の表示を『中国』と記載することについ
て」という通達でした。これは政府も、大江康弘・参議院議員の「質問主意書」に対する
「答弁書」で明確に認めています。
昭和39年といえば今から50年も前、東京オリンピックが開催された年で、日本が中華民
国と国交を結んでいた時代です。しかしその後、日本は中華民国と断交して中国と国交を
結ぶなど、日本と台湾・中国の関係は大きく変わっています。
そこで日本政府は平成17年9月から台湾観光客に対するビザ免除を恒久化し、平成19年9
月には自動車運転免許証の相互承認を行い、中国とは異なる対応を続けてきています。東
京都も平成25年5月、住民基本台帳の表記について、台湾からの転入・台湾への転出の際に
は「台湾」の表記を認めるという通知を出しています。
さらに平成24年7月9日、外登証を廃止し新たな在留カードの交付に際しては「国籍・地
域」欄を設け、台湾出身者は「中国」ではなく「台湾」と明記しています。同時に実施さ
れた外国人住民基本台帳でも、台湾出身者の「国籍・地域」は「台湾」と表記するように
なりました。もちろん、台湾が官民挙げて歓迎していることは周知の通りです。
ましてや台湾は、これまで一度たりとも中華人民共和国の統治を受けたことはなく、台
湾を中国領土とするのは、台湾侵略を正当化するための中国の政治宣伝以外のなにもので
もありません。事実、この戸籍表記は日本政府の見解にも合致しておらず、これを放置し
ておくことは中国の覇権主義的主張を受け入れているとみなされかねません。
ついては、法務大臣は戸籍の国籍欄および出生地欄を在留カードにならって「国籍・地
域」とし、台湾出身者は「中国」ではなく「台湾」と表記すべく、早急に民事局長通達を
出し直すよう強く要望します。併せて、ここに私どもの要望に賛同する署名(第9期)352
名分を呈します。
ご承知のように、賛同署名は平成23年11月の第1期分(1万5,604名)以来、昨年8月の第8
期まで3万3,937名分の署名を要望書とともに送付しています。
法務大臣におかれては、すでに在留カードや外国人住民基本台帳が実施された現在、そ
の整合性を図るためにも早急に民事局長通達を出し直し、台湾出身者は「台湾」と表記す
るよう強く要望します。
平成26年1月10日
日本李登輝友の会 会長 小田村 四郎
法務大臣 谷 垣 禎 一 殿