5月10日発売の「週刊ポスト」5月23日号でも、この叙勲について、ジャーナリストの井上和彦氏
が「司馬遼太郎が敬愛した台湾人・蔡焜燦『誇り高い日本精神(リップンチェンシン)よ、再び』
と題し、3ページにわたって執筆しています。
井上氏は蔡焜燦先生から「日本の息子」と言われるほど親しく交流しており、『台湾人と日本精
神』(小学館文庫、2001年)の出版でも資料収集などでお手伝いした、蔡先生をよくよく知る井上
氏ならではのお祝いの一文です。
この中で井上氏は、蔡氏と司馬遼太郎との交流について触れ、『台湾人と日本精神』から蔡氏が
司馬にヘチマ料理を振る舞ったときのやりとりについて「司馬が『痰一斗(たんいっと)』と詠む
と、蔡氏はすかさず『ヘチマの水も間に合わず』と返す」場面などを紹介し、司馬氏が蔡氏を「博
覧強記の人」「日本語の語感が確かな人」と評したことにも言及しています。
今回、ご紹介する坂口隆裕氏の叙勲お祝いメッセージでも、蔡先生から「東風吹かば」で問いか
けられる同じような場面を紹介しています。
ここで「にほひをこせよ梅花主なしとて春を忘るな」と即答できれば、蔡先生は「おっ、よく
知っているね」とほめられるのですが、二の矢、三の矢が続きますので、ほとんどの日本人は答え
られなくなります。そこで、蔡先生は嬉しそうに下の句を披露されます。
坂口氏も即答できなかったようですが、蔡先生のこの問いかけにより「日本人としての自覚を呼
び覚まされて、心が震えました」とつづられ、坂口氏はこれが縁で「台湾歌壇」の同人になったと
いうことです。
◆週刊ポスト
http://www.shogakukan.co.jp/magazines/detail/_sbook_2005405114
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● 新緑に旭日映ゆる清し季節(とき)老台北の受章うれしや
坂口 隆裕(東京都国分寺市、会社員、台湾歌壇同人、59歳)
待ちに待った蔡焜燦先生のご受章! おめでとうございます!
・新緑に旭日映ゆる清し季節(とき) 老台北の受章うれしや
蔡焜燦先生に初めてお会いしたのは、私が半導体関係の仕事で台湾に赴任していた7年前、半導
体関係会社会長として台北の事務所にお越しいただいたときでした。
「東風吹かば・・・の下の句を言えるか」
がICの仕事? のミーティングの第一声でした。
あっけにとられている私たちを「昨今の日本人は日本を知らない!」とユーモアを交えながら愛
情たっぷりに導いて、気付きを与えてくれました。
「日本人以上に祖国日本を愛する人が台湾にいる。日本人よ胸を張りなさい」として『台湾人と
日本精神』の著者である蔡焜燦先生は、気付きを与えてくれました。
私は感銘を受け、日本人としての自覚を呼び覚まされて、心が震えました。自分の不甲斐なさを
恥じて、台北のアパートで何度も涙がこみ上げてきたことを思い出します。そんなときに、なぜ
か、心の底からわきあがってきて書き留めた、拙い短歌三首です。
・老台北の励ましの言葉身にしみて 今行動で何事かせむ
・日本と台湾の未来拓きたし 老台北の熱き想いで
・わが国の明るい未来切り拓き 老台北に見せんとぞ思う
短歌は学生時代に参加した国民文化研究会の夏合宿以来約40年ぶりのことでした。
それからすぐ台湾歌壇にお誘いいただいて、月例会で日本人としての薫陶を受けることが出来た
ことは私の財産になっています。改めて御礼申し上げます。
これからも日本を見守り、日本人を導いていってください。ご健康と更なるご活躍をお祈りいた
します。