電化の単線で、列車のすれ違いにはタブレット交換による閉塞方式を採用しているという共通点が
あったことで、台湾鉄路管理局(台湾鉄道)の平渓線と姉妹鉄道協定を結んだ。
仕掛けたのは由利高原鉄道。1年後、その結果が出た。台湾からの観光客が倍増したという。読
売新聞が伝えているので下記に紹介したい。
由利高原鉄道と平渓線が姉妹鉄道を結ぶ一週間前の昨年4月23日、この平渓線と江ノ電(江ノ島
電鉄)が観光連携協定を結んで一日乗車券の無償交換サービスを始めているが、たいへん好調で今
年も延長している。
また、今年の3月14日、西武ホールディングスと台湾鉄路管理局が友好協定を締結し、西武鉄道
が台湾鉄路管理局と姉妹鉄道協定を結んだことで、4月13日から6月30日まで、傘下の新宿プリンス
ホテル、サンシャインシティプリンスホテル、川越プリンスホテルで「台湾料理キャンペーン」を
開き、西武ライオンズ球場では4月11日と12日を「台湾デー」としてイニング中に台湾の伝統芸能
を披露、8月11日には西武ライオンズ対北海道日本ハムファイターズ戦で、タイアップ企画「KA
NOデー」を開催する。
このように、日台間の鉄道姉妹提携は一見して地味なニュースに見えるかもしれないが、その地
域にとってはさまざまな波及効果を及ぼし、活性化を促している。そして、日台の絆は確実に強く
なっている。
由利鉄 台湾客倍増
【読売新聞:2015年6月25日】
◆相互交流、観光PR奏功
由利高原鉄道(由利本荘市)が、台湾からの観光客の利用を順調に伸ばしている。今年1月から6
月までの利用客は24日現在、351人で、前年同期(184人)の1・9倍に達している。台湾北部のロー
カル線・平渓線と姉妹提携を結ぶなど、台湾の鉄道、観光業界への積極的なPRと営業活動が奏功
した格好だ。
由利鉄を利用する台湾からの観光客は今年に入って増え始め、4月の229人を最多に、半年間で
351人に上った。同社が昨年から営業をかけている台湾の旅行会社が、鳥海山観光をルートに組み
入れ、ほとんどのツアーがチャーター便で東北の空港に乗り入れている。由利本荘、にかほ市の名
所を回るなど地元観光業界への貢献は大きく、本格的なシーズンを迎える7月から秋にかけて、さ
らに増えると期待が高まる。
由利鉄が台湾からの誘客を模索し始めたのは今から2年前。春田啓郎社長が、民間の台日鉄道交
流事業促進協議会を窓口に台湾鉄路管理局に相互交流を提案した。昨年4月には平渓線との姉妹提
携にこぎ着け、主要駅に由利鉄紹介コーナーが設けられた。由利本荘市も全面支援に乗り出し、今
年2月には長谷部誠市長が訪台、トップセールスで交流の機運を盛り上げた。
由利鉄は今年秋にも、初の台湾パックツアーを組んで、相互に観光客を送り合う考えだ。同協議
会の峰雪剛副会長は「大きな鉄道会社がこぞって台湾に営業をかける中、由利鉄は規模は小さいな
がらもよく頑張っている。台湾からの観光客はまだまだ増えるはずだ」と話している。
佐竹知事は22日の県議会本会議で「由利高原鉄道が台湾へ積極的に乗り出したことは、国内外か
らの誘客に大きな可能性を秘めている」と述べ、同社の台湾戦略にエールを送った。