G7初の国防相会議で「台湾海峡の平和と安定の維持は不可欠」と再確認

先進国首脳会議(G7)は10月19日、イタリアのナポリで初の国防相会合を開き、G7メンバー及びNATOの国防大臣、EU上級代表などが出席、地域情勢や防衛力の基盤について幅広い議論が行われ、会合後には共同宣言が発出された。

日本からは中谷元・防衛大臣が出席した。

共同宣言は、5つのセッション(中東、アフリカ、インド太平洋、ウクライナ、防衛準備態勢)で話し合われた内容に沿い、ロシアによるウクライナへの侵攻を「残酷で全面的で違法な侵略戦争」とし「ウクライナに対する我々の揺るぎない支持を改めて表明」し、また中東問題ではイスラエルを支持する旨を表明した。

本会が注目したのは「インド太平洋」の記述だ。

記述は下記のように3つに分けられていた。

・世界の繁栄及び安全保障において極めて重要な役割を有すると我々が認識する自由で開かれた インド太平洋へのコミットメント並びにインド太平洋諸国との安全保障及び防衛に関するパー トナーシップを促進するとのコミットメントを再確認する。

・ 台湾海峡の平和と安定の維持が国際社会の安全と繁栄に不可欠であることを再確認する。

・東シナ海及び南シナ海の状況について深刻な懸念を表明し、海空域におけるものを含む力又は 威圧によるあらゆる一方的な現状変更の試みに対する強い反対を改めて表明する。

国防相会合でも台湾海峡の平和と安定の維持が、国際社会の安全と繁栄にとって不可欠であることが再確認され、防衛省によると、中谷防衛相は会合で「欧州・大西洋とインド太平洋の安全保障は不可分である旨強調」したという。

台湾海峡の平和と安定の重要性が初めて明記されたのは、2021年年3月16日、茂木敏充・外務大臣、岸信夫・防衛大臣、ブリンケン国務長官、オースティン国防長官による「日米安全保障協議委員会(2+2)」の共同発表だった。

日本側の発案だった。

同年4月16日の菅義偉総理とバイデン大統領の日米首脳会談の「日米首脳共同声明」で中国への「深刻な懸念」とともに、初めて「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促す」という文言が現れ、その後の先進7ヵ国(G7)外相会議やG7サミット首脳宣言でも同じ文言を踏襲して採択している。

この「台湾海峡の平和と安定の重要性」に初めて「国際社会の安全と繁栄に不可欠な要素」と付け加えたのは、2023年1月13日にワシントンD.C.で行われた岸田文雄総理とバイデン大統領の日米首脳会談の「日米共同声明」だった。

これまた日本の発案だった。

それは2023年5月に開かれた広島サミットの「G7広島首脳コミュニケ」に引き継がれ、「国際社会の安全と繁栄に不可欠な台湾海峡の平和と安定の重要性を再確認する」と明記される。

今ではG7参加国、特に日米両国が出席する国際会議のほとんどの共同声明でこの日本発案の文言が踏襲されるようになり、完全に国際社会に定着した感がある。

このたびのG7国防相会合でも踏襲され、安倍晋三総理以来の日本政府のたゆまぬ努力を多としたい。

◆G7防衛共同宣言【2024年10月19日】 https://www.mod.go.jp/j/approach/anpo/2024/pdf/1019_g7-j_b.pdf


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