日本と台湾の兄弟建築を探して身近に台湾を感じよう!

日本と台湾の兄弟建築を探して身近に台湾を感じよう!

台湾の声編集部 加藤秀彦

 台湾では日本統治時代の建物が今でも使われています。
 有名なところでは台湾総統府があります。台湾総督府庁舎は1907年に日本初の建築設計コンペを行い、長野宇平治の基本設計案が選ばれました。この時の審査員は辰野金吾や伊東忠太など、当時の日本建築界の重鎮が名を連ねていました。
 台湾総督府庁舎は統治機構の象徴として威厳ある外観を求められました。コンペでは長野宇平治の案が選ばれましたが、総統府としての象徴性が乏しいという意見がありました。そのため辰野金吾、野村一郎、森山松之助らが修正を加え、現在の姿になりました。
 辰野金吾は東京帝国大学建築学科の教授で、台湾総督府コンペの審査委員を務めただけでなく、次の建物も建築設計しました。
・日本銀行本店(1896年:重要文化財)
・奈良ホテル(1909年)
・朝鮮銀行本店(1912年:現・韓国銀行本店)
・東京駅駅舎(1914年:重要文化財)
・大阪市中央公会堂(1918年:重要文化財)

 長野宇平治は辰野金吾の弟子で、辰野金吾とともに日本銀行本支店はじめ多くの銀行を建築設計しました。また建築士法の制定にも尽力し、日本建築士会の初代会長を務めました。
・日本銀行京都支店(1906年:重要文化財)
・周防銀行本店(1907年:現・柳井市町並み資料館)
・日本銀行小樽支店(1912年:現・日本銀行旧小樽支店金融資料館)
・北海道銀行本店(1912年:現・北海道中央バス本社ビル)
・六十八銀行奈良支店(1926年:現・南都銀行本店)
・大蔵精神文化研究所(1932年:現・横浜市大倉山記念館)

 辰野金吾が日本銀行本店を設計する一方、台湾銀行本店は西村好時が1938年に設計し、現在も台湾銀行本店として使われています。西野好時は1912年に東京帝国大学建築学科を卒業し、台湾銀行本店をはじめ銀行建設で多くの作品を残しました。現存する主な建築は次の通りです。
・第一銀行熊本支店(1919年:登録有形文化財)
・第一銀行函館支店(1921年:現・函館市文学館)
・旧渋沢邸(1931年:現在は古牧温泉へ移築)
・満州中央銀行本店(1938年:現・中国人民銀行長春中心支行)
・愛知県庁舎(1938年:重要文化財、現在も愛知県庁舎として使用)

 これらの建物は同じ建築家が設計した兄弟建築ともいえます。台湾にある建物と同じ建築家の建物を地元の町で探すと、より一層台湾が身近に感じられますね。


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