【映像】濱崎憲一が語るNHK台湾取材
http://www.youtube.com/watch?v=rBy4Kbz4w2A&hl=ja
文字化は http://jif.blog65.fc2.com/blog-entry-173.html より転載
【転載歓迎】
語り・濱中博久:
今から150年前、西暦1859年、横浜開港。この年、海外との自由貿易が始まり、日本は世界の荒海に乗り出して行きます。近代国家を目指したジャパン。この国を世界はどう見ていたのか。グローバルな視点で、開港から1945年敗戦までの、日本の実像に迫ります。NHKスペシャル「JAPANデビュー」。第一回のテーマは「アジア」です。
日本列島の南西に位置する台湾。日清戦争に勝利した日本は、半世紀に渡り台湾を統治しました。近代日本、最初の植民地です。
西洋列強を目指し、世界の一等国になろうとした日本。台湾の統治は、その命運を握っていました。首相・伊藤博文の言葉です。
「台湾の統治に失敗すれば日の丸の御旗の光が失墜する」
そんな日本の台湾統治を、西洋列強は詳細に観察していました。
「まったくの未経験者に台湾が統治され、きわめて残念だ」
1937年、日中戦争が勃発。以後、台湾は日本のアジア進出の拠点となっていきます。二万六千冊に及ぶ台湾総督府文書。日本の台湾統治の実態を解き明かす、貴重な資料です。さらに近年発見されたフィルムには、皇民化政策によって、日本精神が叩き込まれていく台湾人の姿が映し出されていました。
★台北一中同窓会の風景
卒業生(日本語で語る):
「嫌だ、差別。ばかにしよって」
太平洋戦争では、およそ二十一万の台湾人を、日本軍に入隊させました。
★公園の風景
群衆の一人、日本語で語る:
「当時の大日本帝国軍人。生き残った兵です。ハハハ」
群衆の一人、日本語で歌う:
「守るも攻めるもくろがねの……」
★NHK編集スタジオ
ディレクター濱崎憲一:
「一番印象的だった、ことはですね。台北市の公園に行った時なんですけれども、こう、御年配の方達が私達が取材していると、ふーと、こう集まってきて、流暢な日本語でこう話し掛けてくると。日本時代懐かしいですね、なんてことも、ずっとおっしゃってるんですけれども、こう、ふとした拍子に、えー、ホントに唐突にって言ってもいいと思うんですけれども、日本統治時代の、日本の支配に対する批判をね、ふっと、こう」
群衆の一人、日本語で語る:
「人を馬鹿にしているんだ、日本は。命を、命を掛けて国のために尽くしたんだよ」
ディレクター濱崎憲一:
「それは本当にね、驚くような変わりぶりで、僕らも本当にそれは、なんだろうな、とずーと考えてきたこと、ですね。で、その番組御覧頂く方にも、是非そのあたりをね、一緒に見て、考えて頂けたらなあと、思うんですけども」
日本は、これからアジアの人々と、どう向き合っていけばよいのか。シリーズJAPANデビュー。第一回「アジアの“一等国”」。放送は4月5日、日曜夜9時です。
★ ★ ★ ★ ★
★編集スタジオ
語り・礒野佑子:
プロジェクトジャパンは、歴史をグローバルな視点で見詰めることを大切にしますが、映像化する際には、コンピュータ・グラフィックスで、分かり易く伝えることを心掛けます。
★CGチーフ・エンジニア 小田健市
プロジェクトJAPAN 総合デザイナー森内大輔:
「えっとこれは、ナビゲーションシステムといって、今回の番組のために、えっと開発したものです。150年間の時代の中でですね。様々な年代、様々な場所で、起こった出来事を、地図と年表と画像、これを一つのインターフェイスに収めてですね、時間と空間を越えて、色々な事象を説明出来るように、考えました」
オムニバスCDの人気シリーズ、イマージュ。第一線で活躍するアーティスト達が、プロジェクトジャパンの壮大なテーマを奏でます。
★羽毛田丈史 加古隆 松谷卓 Aura 宮本笑里 小松亮太 ゴンチチ 古澤巌
NHKスペシャル「プロジェクトジャパン」、5月以降のテーマは、
「天皇と憲法」「貿易」「軍事」です。
語り・濱中博久:
第2回は、天皇と憲法がテーマです。150年前、世界にデビューした日本は、近代国家としての骨組である議会や内閣、そして天皇の位置付けを憲法に定めました。その大日本帝国憲法の制定時の資料が、世界の様々な国に残されていました。
そして、憲法起草の中心人物であった井上毅が残した、六千点にも及ぶ資料。これら膨大な資料を、日本や世界の論客によって繙きながら、大日本帝国憲法による国家体制が、どのように、そして何故崩壊していったのかを検証します。
★山室信一 御厨貴 立花隆
続く第3回のテーマは、日本経済の基礎となった貿易です。
チーフプロデューサー益田秀樹:
「あの、今進んでいる金融危機の中でですね、日本の経済はその、海外への輸出が滞ってしまうと、たちまちダメになってしまうってことを、ひしひしと日々実感されているわけですけれども、まあ、こういう経済の仕組になったのは、昨日や今日のことではなくて、横浜を開港して、世界と自由貿易を始めた150年前に、もう始まっていましてですね」
自由貿易により国内の金銀が流出。日本は経済危機に陥ります。国を立て直す鍵は、海外との貿易でした。
チーフプロデューサー益田秀樹:
「総合商社、まあ世界に類の無いですね、ビジネススタイルを作り出して、それでアメリカ、イギリスなどを猛追していったんですけども、それが、世界恐慌で、どんどん世界から締め出されて、太平洋戦争への道を歩んでしまうと、いう過去がありました。まあ、取材ではですね。その商社マンが辿った酷寒の地から、灼熱の熱帯までですね、足跡を辿ったんですけれども、そこから、まあ、この開国からですね、三度目の経済危機の中で、少なくとも、まあ再びですね、太平洋戦争に行ったような過程を辿らないためにはですね、どうやっていったらいいのかと、考えてみたいと思っています」
第4回のテーマは、軍事。富国強兵を目指しながら、世界のパワーバランスの中で、次第に孤立していく日本の姿を描きます。
ナビゲーション・礒野佑子:
これからプロジェクトジャパンでは、150年の歴史をグローバルに見詰めて、未来へのヒントを探ります。謂わば「未来へのプレーバック」です。この他、プロジェクトジャパンでは、様々な関連番組を予定しています。
ETV特集では、今月から10回シリーズで「日本と朝鮮半島2000年」をお送りします。古代から海を越えて、密接に結び付いていた日本と朝鮮半島。仏教伝来、朝鮮通信吏など知られざる交流を描きます。また「世界と出会った日本人」というミニ番組も放送します。近代日本を作った先人達の物語です。