【CSISシミュレーション】中国の台湾進攻は成功できるか?

【CSISシミュレーション】中国の台湾進攻は成功できるか?

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「台湾の声」編集長 林 建良(りん けんりょう)

  
米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)が1月9日に発表したレポート、「The
First Battle of the Next War」次の戦争の最初の戦闘。
その内容とは、「Wargaming a Chinese Invasion of Taiwan(2026)」
中国の台湾進攻のシミュレーション(2026)という意味。
アメリカ政府も中国との戦闘のシミュレーションをするが、あえて悲観的にして、アメリカ軍が負けるように作られている。恐らく国防予算を勝ち取る策略、国会対策の一つだと考えれている。

今回CSISから発表された中国の台湾進攻シミュレーション。
ここに関わる当事者は中国と台湾以外にもアメリカ、そして日本が関わってくる。少なくとも四ヶ国が当事者になるので、この四カ国の軍事状況、武器の数量、軍隊の数、軍の指揮系統といった内部で細かいことまで把握できないと、正確なシミュレーションができない。特に今回はWar
Game、大掛かりなシミュレーション。日米台は情報開示しても、侵略者である中国は情報を自ら提供することはない。中国の軍事状況に精通している専門家がいないと今回のシミュレーションは正確なものと言えない。アメリカの国防総省は意図的にシミュレーションを操作するので、信頼できないが、政府と深い関係がある民間のシミュレーションの方が真実に近いと言える。今回のCSISのシミュレーションにもアメリカ軍のOB、米国防総省のOBが参加している。現役軍人や政府機関もこのレポートを参考にしている。

このシミュレーションには四つのシナリオがある。
Base(基本)、Pessimistic(台湾からすると悲観的)、Optimistic(台湾からすると楽観的)、Taiwan
Alone(台湾だけで戦争する)
全部で24回行われたシミュレーションの中で、中国が台湾を侵略して成功したのは1回だけ。それは台湾に侵攻した際に他国が手を伸べなかった時だけ。

基本的シナリオ、楽観的シナリオ、悲観的シナリオ、米軍が介入すれば全て中国は失敗、中国は台湾を占領することはできない。唯一中国が台湾占領を成功できるときは他国の介入一切なしのみ。

基本的シナリオが成り立つ前提として、四つ条件がある。
1.台湾による激しい抵抗。
2.武器提供のみの援助のウクライナモデルは通用しない。
3.米軍の介入は日本の米軍基地を絶対利用しないといけない。日本政府が協力的であることが必要。
4.アメリカに敵基地と艦艇を攻撃できる長距離ミサイルを大量確保。

このレポートの結論とは、
1.中国は勝利できない。
2.すべての参加国は極めて高いコスト。中国共産党の地位が危なくなる。アメリカの世界的地位が下がる。(この結論は正しくない)
3,台湾の軍事的経済的インフラが破壊される。

そしてレポートには言及されていないが、中国の侵攻があったら台湾は必ず法理的に独立する。法理的に独立を躊躇する理由がなくなるからだ。

CSISの結論の見方にすべて賛同するわけではないが、
CSISがこのレポートで4つの良い提言を出している。

1.日本とグアムにある米軍基地の強化
2.今までの巨艦大砲主義は良くない。なるべく小さくて安い艦を多く作ること。
3.優先すべきものは潜水艦と爆撃機。
4.戦闘機を作るのであればできるだけ安いコストの戦闘機を沢山作る。

性能より数量が大切。
これは台湾の元参謀総長の李喜明氏も唱えている。
「Overall Defense Concept」
これはCSISと似ている提案である。
小規模、分散、精密、高威力に注力し、全民国防(ゲリラ戦法)を用いる。
このような構想はアメリカも支持している。

CSISのレポートの想定時期は2026年。
決して遠い将来ではない。
まだいくつかの問題が残っている。

台湾軍と米軍の一体作戦ができない。
そして自衛隊、日本政府が台湾軍との接触を拒否していること。
日本が中国に対する配慮のため。

脅威は中国であるので、日本が中国に配慮するのは理論的矛盾である。


台湾の声

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