【AC論説】独裁者が法を創れば

【AC論説】独裁者が法を創れば

11月1日、中国の第12回全国人民代表大会常務委員会(全人代)
の第11次会議の閉幕の前に?反スパイ法?と「行政訴訟法修正案」を
通し、習近平が署名して発布を宣言した。この二つの法案は全人代
の主軸である「依法治国」と関係がある。中でも反スパイ法が最も
注目されている。反スパイ法を使えば国家の安全に関わるものは全
てこの法案で処理できると言う。

民主国家は国民の平和と安全のために法律を作る。独裁国家は国民
を取り締まり、監督するために法律を作る。法治を人民に強要し、
従わないものは制圧する。つまり民主国家の法律は国民のために作
られるが、独裁国家の法律は独裁を強化するために作るのである。

民主国家では警察が人民を守るが独裁国家では警察が独裁の手足と
なって人民を監督する。台湾や香港では人民の抗議デモに対し警察
が「違法行為」と書いたプラカードを掲げて警告し、催涙ガスや放
水車でデモ群集を散らし、逮捕する。

●香港の雨傘革命

反スパイ法は香港の雨傘革命を鎮圧するために作られたと言われる。
法を作って違法行為を警告すれば警察を使って鎮圧できる、「依法治
国」と言い張るに違いない。中国各地で起きた暴動の鎮圧と同じで
ある。

だが香港は中国の認めた一国二制度の土地だから89年の天安門事
件のような流血事件にはならないとする意見もある。98年の香港返
還から16年しか経っていない。中国は香港をじわじわと締め付け、
強圧的な態度で人民を制圧する、成功しなければ中国のメンツに関
わると思っている。別面、香港は徐徐に民主自由を失いつつあるが、
中国政府が強圧的処分を取れば諸国は黙っていない。雨傘革命を制
圧して世界から批判されるのは中国にとって不利である。

中国にとって雨傘革命の収集は台湾のヒマワリ革命にも大きく影響
するので引き下がるわけに行かない、だから反スパイ法を行使して
雨傘革命には台湾や外国の影響している、または外国のスパイが居
る、国家安全に関わると言い張るに違いない。

●民主化ではなく住民自決である

香港や台湾でこれまであった政治運動と違い、雨傘革命とヒマワリ
革命の若者たちは独裁と対決する決心がある。つまり彼らは独裁の
民主化ではなく国民自決を求めているのである。

これは台湾の民進党や李登輝が常に口にする「台湾は民主が足りな
いだけだ」といった独裁政権の改善や民主化とは完全に違い、それ
だけに対立も明確でリスクも大きい。

雨傘革命の若者たちが掲げる「抗命不認命」(強権の命令に抵抗し、
運命と思って諦めることをしない)とは、命を賭けて人民自決権を
確保することで、軟弱なポリティシャンとは違うのである。

独裁政権と対決して勝ち目はあるかと言えばわからない。習近平も
天安門事件のように鎮暴部隊が発砲して制圧するわけには行かない。
国家安全と住民自決の対立は智謀・陰謀の戦いである。

●香港政府の要求

香港の行政長官・梁振英は、街頭を占拠している若者たちに彼らの
行動が政府人員の出退勤を妨げているので、6日までに街頭から退
去するよう要求した。これに対し若者たちは市政府人員の出退勤を
妨げないよう通告した。若者たちは梁振英との対話が実現し要求を
受け入れるまで退去しない覚悟を示したのである。

梁振英の6日までと言う期限は、7日から中国で開催されるAPECの
前に雨傘革命を終わらせたい考えと思われる。だが若者たちは要求
が受け入れられるまでは街頭から撤去しない覚悟なので、ここ数日
内に大きな変化がおきる可能性はかなり高い。つまり若者たちの要
求を受け入れるか、警察を使って強制退去の行動に出るかである。
この場合、中国側は外国の影響があるのでスパイ法を使って依法治
国を持ち出すだろうと思われる。

雨傘革命の処分は台湾のヒマワリ革命の動きと、今月29日に行われ
る「九合一選挙」に大きな影響を及ぼす。中国、香港、台湾で6日
以後にどのような事がおきるか注目したい。


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