【AC論説】台湾人のアメリカ認識

【AC論説】台湾人のアメリカ認識

 アンディ チャン

いつも思うのだが、民主主義投票で国民の一人ひとりが同等の権利
を持つ票を投じることが出来ることに疑問を感じる。投票権を持つ
国民の政治意識、愛国心、責任感に大きな違いがあるのに一票の権
利が同等と言うのはおかしい。

どこの国でも政治に関心のない国民が大多数であり、メディアの宣
伝や小さな利得関係、彼らの生活範囲内の「空気」で票が動く。国
益に無関心で投票するものが多い。ヒラリーやトランプが大統領候
補になること自体が国民の認識の浅薄さを示している。民主主義の
大本営を自認するアメリカでさえこんな具合だから台湾人民に正し
い認識が欠如していても不思議ではない。

民主投票には国民の正しい国家観念が大切である。台湾人のアメリ
カに対する認識不足が独立の妨げにならないことが大切だ。アメリ
カは日米安保条約があっても中国の漁船が尖閣諸島の近海に侵入し
ても日本の領海を守ろうとせず、軍艦を派遣して漁船を追い払うこ
とをしない。安保条約のない台湾にアメリカが台湾を中国の侵略か
ら守ると言う保証はない。台湾人はこの事をしっかりと認識すべき
である。

●アメリカは台湾に何をしてきたか

多くの台湾人は対米認識が不足である。日本はサンフランシスコ平
和条約で台湾の主権を放棄した。その後蒋介石の中華民国政権が台
湾に流亡してきたが、アメリカは中共と国交を回復すると中華民国
と国交断絶した。台湾独立は放置され、台湾人の総統が誕生しても
中華民国が米国の言う「台湾の行政政府」である。

アメリカは台湾が中国の領土であると認めない。しかしアメリカは
中国と戦争したくないから台湾独立を支持しない。現状維持で台湾
の現政権が民主政治を維持することを要求する。

つまりアメリカの台湾政策とは「現状維持と民主主義」だけである。
中国の併呑に反対だが介入しない。結論としてアメリカは台湾独立
運動を支持しない。

正名制憲、独立の国民投票、中台関係の悪化に反対である。

●アメリカのアジア政策の矛盾

アメリカは台湾がに中国の武力侵攻を防ぐ力を持つ軍事力を持たせ
るが中国の侵攻に数日だけ抵抗できても、強すぎて中国を攻撃しな
いようにしてアメリカに頼る、「生かさず殺さず」のように仕向けて
いる。これがアメリカの台湾政策だ。

台湾の独立運動が高まると中国を刺激するから反対する、中台関係
の「敵対せず併呑せず独立せず」がアメリカの現状維持である。中
国が武力を増強して脅威が増えても武力侵攻しなければ黙視する代
わり、台湾独立運動の高揚、防衛力増強には反対である。

これは非常に矛盾した政策である。今まではアメリカの軍事力が中
国を上回っていたが、中国の武力がアメリカと対等になれば衝突は
避けられない。その時にアメリカが頼りになれるのは日本と台湾の
武力なのである。アメリカは中国の武力発展に注意すると同時に日
本と台湾の武力増強を推進すべきだ。

●台湾人のアメリカ認識不足

台湾人は独立したい。だがアメリカが好意を持って援助してくれる
と思ってはならない。2003年に陳水扁の独立政策を厳罰し、2008年
に国民党候補を支持、2012年はダグラス・パールを派遣して公然と
投票干渉した。蔡英文が政権を取ると現状維持、中台会談を押し付
けている。アメリカは台湾人に好意的ではなく高圧的である。

このような過去があってもアメリカが独立を支持してくれると思っ
ている台湾人が多い。台湾民間では(1)一致しない独立運動、(2)
台湾名義で国連加盟、(3)南沙群島の太平島は中華民国の領土だ、
(4)アメリカが台湾の占領権を持つと言う嘘、(5)日本天皇は台
湾の主権を放棄していないと言う嘘、など政治運動が乱立している。
蔡英文政権はアメリカと中国の外に人民の無理な要求に対処しなけ
ればならない。

●台湾独立に必要な課題

独立を達成したいなら以下のような課題を研究するのが先決だ:

(1)、アメリカが台湾独立に対し、理解と支持に変わるようにする
外交政策とロビー活動を優先すべきである。

(2)、台湾人民に正しい米国認識を普及させ、今のアメリカは台
湾独立に好意的でないから、外交努力が必要と教育すべきである。
台湾独立はアメリカに有利、台湾国はアメリカのアジア政策に援助
となると説得する。アメリカが独立を援助すれば中国の恫喝を怖れ
る必要もない、台米双方に有利である。

(3)、台湾には独立運動団体が多すぎる。独立団体が多いことは独
立の方法が一致せず団結していないことだ。諸団体が同意する独立
論を協議達成し、人民の大局観、愛国心、世界の動向と時代の認識
を高める「人民教育」を推進すべきである。全人民の支持があって
こそアメリカを納得させ、中国の覇権に対抗できるのである。

(4)、アメリカの現状維持の圧力があるため蔡英文は独立・統一両
論に言及しない。蔡英文は「92共識」に反対だから独立意識があっ
ても沈黙しているだけだ。蔡英文を批判し敵対するのは間違い、台
湾人民全体が一致して独立を推進すべきである。

(5)、アメリカが台湾の占領権を持つと言うウソ、日本天皇が台湾
の主権を持つと言うウソ。台湾をアメリカの第51州にすると言うウ
ソ。人民を惑わすウソは断固阻止すべき、人民を教育すべきである。


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