【NHK訴訟】「島田尋問」報告(中)―歴史捏造の責任追及に反論できないディレクター

【メルマガ台湾は日本の生命線!】より転載

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NHK訴訟「島田尋問」報告(中)―歴史捏造の責任追及に反論できないディレクター

2012/05/21/Mon
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証人席に座ったNHK「JAPANデビュー」の島田雄介ディレクター。案の定、番組内容の無謬を主張したが、いかにも自信がなさそうに見えた。緊張のあまり唇は震え、しばしば裁判官、原告席、さらには傍聴席からも「声が小さい」「聞こえない」と言った注意やヤジを受けていた。

番組の前半部分は自身が担当し、後半部分は濱崎憲一ディレクターが担当したと説明した上で、自らが扱った「日台戦争」「匪徒刑罰令」「人間動物園」等々に関し、その取扱い方は公正だったと主張したのだが、原告側弁護士の追及を受け、まともに反論できない場面がたびたび見られた。

■「日台戦争」に「問題ない」と言いながら

たとえば「日台戦争」と言う用語について。

番組はよほど日本軍の殺戮の不当性、非道性を強調したかったらしく、台湾領有直後の土匪(匪賊)討伐をそう呼んだわけだ。「武力で制圧しようとする日本軍に対し、台湾人の抵抗は激しさを増して行きます。戦いは全土に拡がり、後に日台戦争と呼ばれる規模に拡大して行きました」と。

そして放送後に、「日台戦争」という歴史用語はないとの非難が巻き起こったわけだが、島田氏はこれについて、「日台戦争が適切ではないとの指摘があるが、台湾の政治史に詳しい方々の資料に当たっているので、用語使用に問題はない。公正さを損なうものではないと考えている」と強弁した。

島田氏だけでなくNHK自体も、「日台戦争との用語は適切ではない」との指摘に対しては、「1990年代に、日本の台湾統治の専門家が『日台戦争』と名付け、以後研究者の間では、この表現が使われるようになっています。例えば『日清戦争−秘蔵写真が明かす真実』(講談社、1997年)、『東アジア国際政治史』(名古屋大学出版会、2007年)などがあります」と、電話やメールで回答していた。

そこで原告側の弁護士は「(『日清戦争−秘蔵写真が明かす真実』の著者である)檜山教授が、自分の名前(著書の意図)を悪用されたとNHKに抗議したのは知っているか」と質問した。

「聞いてはいるが、用語、檜山先生の考えを歪曲したとは思っていない」と述べた島田氏。「用語については濱崎がチェックしている」と言って逃げた。

このように碌に反論もせずに逃げなければならなかったのは、「公正さを損なうもの」であることを島田氏自身が知っているからではないのか。

■読んでいないはずがない「匪徒刑罰令」

番組は「日台戦争」なるものを語るにあたり、匪徒刑罰令についてこう解説している。

「後藤(後藤新平・台湾総督府民政長官)は台湾のみに適用される法律、特別法を駆使して行きます。先ず手を着けたのは住民の抵抗運動を抑えることでした。後藤が考え出した条令、匪徒刑罰令です。日本内地ではあり得ない厳しいものでした。略奪、殺傷のみならず、建物や標識、田畑を破壊した者は死刑。未遂であっても同罪とする。総督府警察が、匪徒、犯罪者と見做せば、たとえ未遂でも死刑に処せられました」

まさに中国人の宣伝する反日史観と軌を一にする強調の仕方だ。そこでこれも批判を受けている。

そのため島田氏は「後藤新平の描き方が偏っているとの指摘については、専門家、資料に当たっているので、公平だと考えている」と弁明した。

そこで原告側弁護士との間で次のようなやり取りが行われた。

弁護士:「日本内地ではあり得ない厳しいもの」と説明したのを覚えているか。

島田氏:はい。

弁護士:匪徒刑罰令が「内地ではあり得ない寛大な面」もあることは知らないか。「自首したら刑を軽減、全免する」と規定しているが、それを放送しなかったのはなぜか。

島田氏:あー!それについては専門家に当たっているが、濱崎に聞かないとわからない。

この「あー!」は、安堵の声に聞こえた。「何だ、そのような話なら、私の責任ではないよ」と言ったような。

しかしこの部分の担当は濱崎氏ではなく島田氏自身なのであり、匪徒刑罰令を読んでいないはずがない。自分でも「資料に当たっている」と証言しているではないか。

このように島田氏はまたしても逃げた。そしてその後も、こうした「逃げ」は続く。

■うっかりと「改姓名」の歴史捏造を認める

匪徒刑罰令の以外に、中国人や日本人左翼の反日史観によってしばしば強調されるものに、台湾人に対する「神社参拝の強制」と「改姓名の強制」があるが、そのいずれもが歴史捏造だ。だが番組はそれらも史実として取り上げた。

たとえば「改姓名の強制」については、「小林(小林躋造台湾総督)は皇民化というスローガンを掲げます。皇民化とは台湾人を強制的に日本人へと変える政策でした」として上で、「皇民化政策は、人の名前の変更にまで及びました。同じ時期、朝鮮半島では新たに氏を創る創氏改名が行われ、台湾では改姓名が始まりました」と解説し、改姓名が強制的に行われたことを匂わせた。

しかし史実を言えば、改姓名は許可制で、強制的に行われたのではなかった。

そこで放送後、中山成彬元文科相がNHKに宛てた質問状で、「台湾で実施された『改正名』が、強制的に実施されたように報道したが、強制を示す資料があったか否か」と質問したところ、番組の河野伸洋エグゼクティブ・プロデューサーは「台湾の『改姓名』は許可制でした」と認めた。

だがその一方で「番組では『強制的に実施』したとはコメントしていません」と付け加えている。しかしこれは批判逃れの詭弁だろう。実際に「台湾人を強制的に日本人へと変える」という皇民化政策は「人の名前まで及び、改姓名が始まった」と説明しているのだから。

そこで原告側の弁護士は「番組が改姓名が強制されたと言っていたのを知っているか」と尋ねると、何と島田氏は「知っている」と答えたのである。

「知っている」と答えることは、番組が改姓名の史実を曲げたのを認めるに等しいことに気付かなかったらしい。

そこで弁護士はすかさず「河野氏は『許可制だった』と言っているが」とたたみかけたところ、島田氏は「知らない」と答えた。

悪びれた様子もなかった。番組の後半に属するその部分は濱崎氏の担当であり、自分は関知していないとして安心しているかに見えた。

■「神社参拝強制」なる捏造には「我関せず」

「神社参拝の強制」について番組は、「皇民化政策は台湾人の心の中にまで踏み込んで行きます。台湾全島に日本の神社を次々に建て、人々に参拝を強制します」とナレーションしている。

そこでやはり中山元文科相は「台湾で神社参拝を強制して、道教を禁止したと報道したが、それを裏付ける資料があったか否か」と聞いたところ、問い質したところ、河野エグゼクティブ・プロデューサーは「人びとに参拝を強制したことを示す資料は、『台湾時報』があります」と回答した。

しかし実際に「台湾時報」(台湾総督府機関誌)に、そのような記載はあるのだろうか。NHKは何年何月に発行の「台湾時報」を指しているかについては、その後黙して語ろうとしない。

そこで弁護士はそれを島田氏に尋ねたのだが、やはり「知らない」と答えた。これも濱崎氏担当の部分に当たるため、「我関せず」ということだろう。

しかしそうした態度は、世の中では通用しない。なぜならあの番組は島田、濱崎という二人のディレクターが共同で制作したものであり、島田氏は番組全体に責任を負っているからである。

このように島田氏は、何でもかんでも濱崎氏の責任に帰して逃げ続けたわけだが、濱崎氏にしても、これらと同じ質問を受ければ、反論一つできないことだろう。

番組が堂々と歴史捏造を連発したのは、間違いなく批判は起こらないと高を括っていたからに違いない。だから島田氏も、まさか法廷でここまで歴史捏造の責任追及を受けるなどとは夢にも思っていなかったのだろうと、この日の島田氏の逃げ惑いの姿を見て確信した。

ところでそうした姿を、裁判官はいかに見たのだろう。

(つづく)


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