【詩】多謝(ありがとう) -日頭花(ひまわり)の風を受けて-

多謝(ありがとう) -日頭花(ひまわり)の風を受けて-

                        小関秀雄

台湾の人々は語る
「驅向未來」
「孤立する『地域』ではなく確固たる主権国家へ」
叫びたい衝動をこらえ 語る
一足飛びには 未来に到達し得ないから
(それは多くの犠牲を強いること さらなる弾圧を生んでしまうこと)
だから地を進む
「多謝多謝」と我が身を護る笑みを浮かべながら…

時計の針が進むだけでは 現れない未来
故郷に住みながら 「私の国」と呼べない人々
「金熾熾e未來」
彼らの語る未来は 耀くような黄金の実像
昨日描いた未来も
今日抱く未来も
「独立」の歓喜に沸く光景

這いつくばり(駆け抜けることを夢見て)
命をかけて刻んできた独立への道しるべ
新しい道しるべを
次の世代、さらに次の世代が刻み続ける

彼らが深く印した足跡から日頭花(ひまわり)が育っていく
その若々しい日頭花達が起こす風
その風は台湾を囲む海に波を起こす
その風や波を
私は受け止めよう 知らしめよう

「多謝」
何げないひと日に
何を背負うでもない自由な空気の中で
この言葉を台湾の一人一人が語れる未来を
私も思い描こう
実像として

注 詩中の「驅向未來」「金熾熾e未來」「我が身を護る笑み」は王明理女史の『故郷のひまわり』収録の詩に拠る

2015.6.8 14:00


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