【本会ホームページ「お知らせ」:2016年4月8日】
http://www.ritouki.jp/index.php/info/20160408/
2000年から2004年の民進党政権で駐日代表を務めた羅福全氏の回顧録『台湾と日本のはざまを生
きて』が藤原書店より刊行されました。
この本は、日本時代の台湾や人物の著作も多いジャーナリストの陳柔縉女史が羅大使の口述をま
とめたもので、台湾では2013年8月に天下文化出版社から『榮町少年走天下:羅福全回憶?』のタ
イトルで出版されたものの日本語訳です。
奇しくも、3月に本会会長に就任したばかりの渡辺利夫・前拓殖大学総長が「『棄(すつ)るは
取るの法なり』の人生を生きた台湾人」と題した序文を寄せ「羅福全の人生は、一面では、台湾の
運命によって余儀なくされた不可避のものであった。しかし、他面では、国民党のブラックリスト
に載せられて安住の地を放棄させられ、母上逝去の報せを受けても帰郷できないという、普通の人
間であれば呪うべき己の人生を、まるで逆手に取るように自在に操り、ついには世界に知のネット
ワークを張ることに成功した希有の人物である」と評している。
・『台湾と日本のはざまを生きて─世界人、羅福全の回想』
・羅福全/著 陳柔縉/編著 小金丸貴志/訳 渡辺利夫/序
・四六判、上製、 352ページ ISBN: 9784865780611
・刊行日: 2016年2月
・定価:3,888円(税込)
http://www.fujiwara-shoten.co.jp/shop/index.php?main_page=product_info&products_id=1487
下記に4月3日付の毎日新聞「今週の本棚・新刊」欄に掲載された書評をご紹介したい。
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台湾で出版された『榮町少年走天下:羅福全回憶?』
2000〜04年に台湾駐日代表を務めた羅福全氏の回顧録。1935年生まれの羅氏は裕福で教育熱心な
家に育ち、6歳の時、「より良い就学環境」を求める母に連れられ日本へ渡り、戦時中の学童疎開
も経験した。台湾に戻ったのは戦後の46年。
台湾大卒業後、早稲田大大学院を経て米ペンシルベニア大大学院へ留学した。台湾独立運動に参
加したため国民党独裁下の台湾へ戻れなくなったが、国連の経済専門家として長年、世界中を飛び
回った。
数奇を極めた人生の中で独特な人脈を築いたことに驚かされる。後にノーベル経済学賞を受賞す
るクラインに師事し、米駐日大使を務めたライシャワーや朱鎔基元中国首相ら多くの著名な学者、
政治家らと出会っている。中国が反発した李登輝元総統の訪日は、羅氏が駐日代表の時だった。
60年安保闘争でブントの中枢にいた生田浩二と、米留学時代に親友だったことも興味深い。不慮
の火事で亡くなった生田夫妻の葬儀、追悼式は羅氏がおこなったという。
談話を台湾のコラムニストがまとめたものだが、含蓄に富むエピソードが平易につづられ、一気
に読ませる。