王 明理(台湾独立建国聯盟日本本部委員長)
4月14日、現在の主席である蘇貞昌氏と、次期主席に立候補すると見られていた謝長廷氏は、共に出馬しない考えを表明した。民進党内部での分裂や足並みの乱れを回避し、今年11月の統一地方選挙に向けて、一致団結して行動するための英断である。つまり、以前より、立候補を表明していた蔡英文氏に力を集約することが決まったのである。蔡氏は民進党の役割について改めて考え直し、国民と共に国を徹底的に変えていく決意を述べた。
このところ、1986年の党結成時の志を忘れたかのような民進党の様子に、多くの台湾人が失望していたが、今回、党首脳部自らが、最近の党のあり方を反省し、未来へ向けて国の改革に真摯に取り組む姿勢を見せたことは、大いに評価できるものである。
今回の「太陽花(ひまわり)学生運動」で、学生たちが見せた勇気と、絶対に民主台湾を中共の手に渡したくないという情熱は、台湾の大人たち、特に民進党の政治家にも大きな反省と覚醒を促したものと思う。
学生たちは「島嶼天光」という歌の中で、こう歌った。
「私は私たちをいじめる相手と戦わなければならない」
「ここにはたくさんの人がいる。私たちの夢を守るために」
「今度はわたしたちがあなたたちを守る番だ」
また、大人たちへ向けたメッセージビデオ「30年前汝們守護我們 現在換我們守護台灣」の中で、こう言い切った。
「今の民主主義は、全て血と涙と引き換えて得た自由なのだ。愛するお父さんお母さん、30年前あなたたちは私たちを守ってくれました。今度は私たちが台湾を守る番です」
今の学生たちは、2000年から2008年の陳水扁政権の時に台湾の歴史や台湾語を学ぶ授業を受けた世代である。(ちなみに、馬英九政権は、再び、その授業時間を削り、中国の歴史や地理の勉強時間に振り替えている。)台湾の本当の歴史を知って目覚めた学生たちが、台湾社会に警鐘を鳴らし、今ならまだ間に合うと、民進党の背中を押してくれたのだ。
その風をきちんと受け止めた蘇貞昌主席、謝長廷氏、蔡英文氏の決断に拍手を送りたい。若者たちに恥じないよう、そして、これまで台湾の民主化のため、台湾が本当の主権独立国家になるために血と汗と涙を流してきた我々の先輩たちに恥じないよう、粉骨砕身努力してほしいと願う。
もちろん、民進党だけのことではない。台湾が民主国家として存続していく現状維持を願う者は、力を合せて民進党を支援し、監督し、協力していかなければならない。
今、台湾に吹く民主主義の風を帆一杯に受け止めて! 台湾の将来のために!
2014.4.15 17:00