【深層】 国旗をめぐる中国と台湾
日本李登輝友の会メルマガ日台共栄より転載
好田 良弘(元香港駐在員)
8月23日付「産経新聞」(東京版)の2面には、尖閣諸島海域に不法侵入した「啓豊二
号」が香港に帰投した際の写真が掲載されている。船首に五星紅旗と青天白日満地紅旗が
並んで翻る光景には、これが「呉越同舟」というものかと苦笑させられる。
また、こうした光景は、両旗が並立することのない五輪の直後だけに皮肉でもある。
元々、香港は中華人民共和国の特別行政府であるにもかかわらず、現地では、例えば、
地元紙が記事中の図版で台湾を表現する場合、青天白日満地紅旗がかかわりなく用いられ
ている。台湾の扱いについて、北京からの口撃に閉口する第三者としては不思議だが、こ
れがまかり通るのも、香港が国という単位を超えた支那社会の拠点であり、それは、中華
人民共和国政府にも、十分に利用価値があることの証明なのかもしれない。
一方、支那社会ではない台湾を知る者としては、「中華民国」との表現を避ける必要上
からであろうが、日本の報道が、青天白日満地紅旗を「台湾国旗」あるいは「台湾の旗」
と伝えるのには違和感がある。もちろん、台湾本土派の方々としても不本意であろう。
この際、報道機関各位には、青天白日満地紅旗を取り上げる場合、鉤括弧付きで構わな
いので、是非、「中華民国」旗と表現していただきたいものである。