【書評】赤い中国消滅~張子の虎の内幕~ (扶桑社新書) [新書]

【書評】赤い中国消滅 ~張子の虎の内幕~ (扶桑社新書) [新書]

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国民新聞より転載

 文化大革命から天安門事件、投獄、そして亡命と激動の中国を生き抜いてきた著者だからこそ書き得た中国の真実が満載された衝撃の書である。

 衝撃の真実、その一。人民解放軍では入隊・出世をめぐる賄賂と武器・麻薬密貿易、売春宿経営などのサイドビジネスが横行し、腐敗が頂点に達している。その腐敗ぶりは習近平が禁酒令を出し、さらにそのために造酒業界が大打撃を受けたほどだ。「腐敗によって負け、腐敗によって滅亡することが、解放軍の最終的な宿命として運命づけられている」と分析する。

 衝撃の真実、その二。二〇一二年の尖閣国有化をめぐる反日デモは毛沢東左派によるクーデターの予行演習で、政権が交替する第十八回党大会開催時には左派の攻撃を恐れ厳戒態勢が敷かれていた。包丁一本買うにも実名購買制だったという。今や国内の治安維持費は軍事費を上回っており、「内部に抱える敵が外の敵よりも多くなっており、赤い中国が末日を迎える火も遠くはない」と指摘する。
 
「地主出身」として文革の影が落とされた不遇な幼少時代、民主化運動のリーダーとして天安門事件に関わり投獄された青春時代、亡命しゼロから掴んだアメリカンドリームの著者の半生を綴った前半部分も読みごたえがある。とくに獄中の著者が取った勇気ある行動は読者を驚かせるに違いない。そのほか中国の行動規範や思想、中国民衆の考え方まで、中国人である著者の実体験から導き出された鋭い分析は興味深い。


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